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7月2日からフランス国鉄(SNCF)が導入する新サービス「InOui(イヌイ)」について、5月末に現地メディアが報じてから、「TGVの名前がなくなる」「TGVからイヌイに名前が変わる」といった内容が散見されます。混乱がないように整理すると、今回の発表はTGVという呼び方がなくなることではありませんし、TGVがそっくりそのままイヌイという名前に置き換わることでもありません。
パリ・ボルドー間の新線整備に伴い、リニューアルされたTGV車両をベースに提供されるSNCFの輸送サービスのブランド名がイヌイという名前になる、という意味です。そして、そのイヌイというサービスは7月2日のパリ・ボルドー間を皮切りに、順次フランス国内各方面のTGV路線に適用されていきます。
2013年にTGVのローコスト(LCC)版「Ouigo(ウィゴー)」が導入され、今までフランス国内の高速鉄道といえば1つのイメージしかなかったものが、要は「普通のTGV」と「格安TGV(ウィゴー)」の2つになりました(厳密に言えば普通のTGVも、iDTGVなど具体的な名前が付いているものはありましたが)。格安TGVであるウィゴーに対し、普通のTGVをWiFi対応するなど時代に合わせて車両をアップグレードし、その商品名をイヌイとするということです。
この件について、5月29日にパリ市内モンパルナス駅で開かれた記者会見で、SNCFのギヨーム・ペピ会長は「『TGVに乗る』といった表現は(今後も)使われるし、『どこ? 』と問われたときに『TGVの中だ』と答えることもできる。TGV(Train à Grande Vitesse)は『高速鉄道』であり、例えば『TGVにいるよ』『どのTGV? ユーロスター? タリス? それともウィゴー?』『イヌイだよ』と言える」と答えています。
つまり、今まで単に「新幹線」と呼んでいたものを、新しい車両を導入することを機会に、新型車両とそれに付随した運賃体系を「のぞみ」と呼ぶようにする、と言えば分かりやすいでしょうか(環境が違うため少々意味の誤差はありますが)。新しい新幹線とその運賃体系は「のぞみ」ですが、その「のぞみ」に加え、以前からあった「ひかり」も「こだま」も総じて「新幹線」です。そのため「新幹線」という言葉は今後も使われつつも、「のぞみ」という言葉が新たに加わる、という形です。