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今年9月15日から10月14日まで、パリ市立プティ・パレ美術館にて「若冲―〈動植綵絵〉を中心に」展が開かれています。伊藤若冲とは江戸時代に京都で活動した画家です。プティ・パレの説明によれば、18世紀後半、浮世絵、写実的な画風の丸山・四条派、中国の影響を受けた南画など、各種芸術運動が盛んだった中、若冲は独特な画風で高く評価されていたそうです。
その若冲の作品から、京都の相国寺への寄進を経て皇室に献上されたコレクション「動植綵絵」全30幅と、本来は相国寺で共に飾られていた「釈迦三尊像」3幅が、今回一堂に会しています。
展示室に足を踏み入れると、まずその鮮やかな色彩に驚かされます。「動植綵絵」の魚介や鳥など、博物画のように細かく表現され、それら背景に描きこまれた木々など自然も、豊かに描写されています。プティ・パレの説明によれば、1999年から6年間をかけて、これら作品の修復作業が行われたそうです。
「動植綵絵」も目を見張るのですが、その中でも存在感を放っているのが、中央に釈迦如来、脇侍に普賢菩薩と文殊菩薩を描いた3幅の「釈迦三尊像」です。
プティ・パレの解説によれば、若冲は熱心な仏教徒だったそうで、相国寺の高僧・大典禅師との交流を通じて、人間的にも芸術的にも多大な影響を受けたといいます。そして若冲自身の永代供養を願って「動植綵絵」と「釈迦三尊像」を寄進しました。
プティ・パレの中に33幅がずらりとかかる様子は圧巻です。ジャポニスム2018の一環として行われてイベントの中でも、見逃せない企画展の一つです。
【データ】
住所:Avenue Winston Churchill 75008 Paris
開館時間:10〜18時
休み:月曜
最寄り駅:地下鉄1、13号線Champs-Élysées – Clemenceau