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【セーヌ橋物語その1】詩にも詠われたLe Pont Mirabeau

HIROMI

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東京特派員

更新日
2020年4月8日
公開日
2020年4月8日
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Bonjour こんにちは!

今日はパリ市内に数ある橋のひとつ、

15区と16区を結ぶle Pont Mirabeau ミラボー橋をご紹介します。

どちらも住宅街で目立った観光名所はありませんが、おいしいパン屋さんやエッフェル塔が望めるカフェが多くある落ち着いた地区。

パリはセーヌ川を挟んで北を右岸、南を左岸と呼びます。

右岸には凱旋門、ルーブル美術館、ヴァンドーム広場、サクレクール寺院、

左岸にはエッフェル塔、オルセー美術館、モンパルナス、ソルボンヌがあります。

パリ市内には右岸と左岸を結ぶ橋がなんと37もあります。

ミラボー橋は下流から3つ目です。

有名なアレキサンドル三世橋と同じ建築家による橋で、煌びやかさこそ劣るものの、優美さでは抜きんでた橋です。

この橋は、20世紀初頭の詩人、アポリネールの詩が有名です。橋のたもとにも詩の冒頭が彫られた青銅板が飾られています。

日本語にするとうまく表現できないのですが、美しいLyme リム、韻を踏んでいるのです。

ちなみにフランス語で「リムがない」というと「意味がない」という意味にもなります。普段の会話からリズムを大切にするお国柄が感じられます。

フランス文学ではよく愛が水に例えられます。

アポリネール氏は画家のマリー・ローランサンと恋仲にありました。自身と年の近い、ミラボー橋に自身の愛を重ね合わせたといわれています。

彼もイタリアからパリに来て華開いた芸術家のひとり。

言葉で絵を描く前衛的な詩のつむぎ方(カリグラム)をしたことでも知られています。表現方法もそれまでとは違う自由なもの。まさに、詩の世界のアヴァンギャルドavant-gardeだったのです(gardeは守るという意味。その前にいる=前衛的と訳されます)。

アポリネールを紹介する上でもうひとつ欠かせない場所があります。

カフェ=ド=フロール café de Flore。

サン=ジェルマンにあるとても有名なカフェのひとつです。

彼は自身の創刊する文学雑誌の編集室としてこのカフェを友人と買い取りました。

この詩も、そうして創刊されたひとつ、「Alcools」に収められたのです。この創刊の翌年にパリは世界第一次大戦に突入します。

パリの町並みは古く、それだけに一つひとつ歴史があります。知っているとその場所を通るとき、過去と繋がれるような気がして少しうれしくなります。

これからも、町の紹介とともにこういった歴史や文学をほんのちょっぴりお伝えしていきたいと思います。

これからテラス席にはぴったりの季節の到来ですが先月よりパリではカフェの営業は禁止。

どうか一刻も早い終息を祈って、訪れたい場所を夢想しながら今は自宅待機です。

それではまた、à bientôt!

ミラボー橋

この橋の下、セーヌは流るる

私たちの愛もともに

覚えておかねばならぬ

喜びはいつも苦しみのあとに

夜の帳がときを打つ

私を残してときは去る

手を繋ぎ、向かい合うとき

私たちの間に

セーヌのごとく永遠がそこに

夜の帳がときを打つ

私を残してときは去る

愛はこの流れのように流るる

愛は流るる

長すぎる人生を残して

大きすぎる希望を残して……

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