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以前、鳥取へ行く途中、偶然この美術館を見つけたときは、"妖精の森"という不可解なネーミングに誘われて入ったのですが、今回は少しだけ、お勉強をしてリピートしました。
ここは世界的にも珍しいウランガラス専門の美術館です。
ウランガラスは1830年代にチェコのボヘミア地方で作り始められ瞬く間に欧米で人気を博し、装飾品から日常生活のあらゆる領域で使われていたといいます。
1階は19世紀の工芸技術を粋をつくしたボヘミアガラスの名品から、現代にいたる世界のウランガラスが鑑賞できます。
ここ! 整然と並んだガラスが幻想的に輝いてウットリします。
こんな風に貴婦人たちのドレッサーの上で愛用されていたみたいです。
ロシア皇帝のゴブレット。
細かい細工がされていてさすが皇帝の愛用品ですね。
これが普通の照明をあてた状態です。
このゴブレットに紫外線ランプをあてると怪しくエメラルドグリーンに輝きます。
ランプのボタンを押しながらシャッターボタンを押すのが不安定で本当はもっと輝くんですよ。
この輝きこそ、ガラス原料に着色剤として微量のウランが入っているからです。
ウランというと放射能が含まれ"怖い"イメージがありますが、ガラスのなかからウランが溶け出すことはなく、ワイングラス1個から出ている放射線の量は人間の体内でカリウムが出している放射線量にほぼ等しく、日常で飲食に用いても問題はないそうです。
1900年頃から日本でも作られ始め、大正から昭和初期にかけて大量に製造されていたそうです。
アール・ヌーヴォーを代表するフランスのガラス工芸家エミール・ガレも数多くの作品にウランガラスを使っていました。
ウランガラスを型吹きし、背景をエッチングで彫り窪めたあと、エナメルで草花と蝶の文様を絵つけしています。
このミルクピッチャーは製造年のわかるもののなかでは世界最古のウランガラスの製品だそうです。
紫外線をあてるとこうなります。
2階へ移動して。
1階の硝子は薄暗い部屋のなかに展示されていましたが、ここからのウランガラスは太陽光の紫外線です。
作品は現代の作家さんのものです。
自然光のなかではホワッとした蛍光色ですね。
特別展のガラスです。
変わったものでは、日本の機関車のヘッドライトの反射鏡にウランガラスが使われていたものが展示されていました。
京都の梅小路蒸気機関車館に残るお召し列車にもウランガラスが使われ、今も見ることができるそうですよ。
スーベニアショップではウランガラスの製品も売られていました。
もちろん、現代の作家さんの作品ですよ。
いいなぁ。と思ったワイングラスはお値段もよくて手が出ませんでしたが、お手頃価格のキーホルダーなどもありました。
自粛生活が緩和されたとはいえ、まだ、あまり多くの人が動かないようで、1時間ほどの滞在中、美術館のなかは私たち夫婦だけの貸し切り状態でした。
写真も自由に撮れるのでインスタ映え(古っ!)する写真を撮ってみてはいいかでしょうか?
■妖精の森ガラス美術館
・住所: 岡山県苫田郡鏡野町上齋原666-5
・電話番号: 0868-44-7888(妖精の森ガラス美術館)
・開館時間: 9:30~17:00(入館は16:30まで)
・休館日: 火曜日(祝休日の場合は開館)
・料金: 大人 500円、高校生400円、小・中学生 300円、幼児(未就学児) 無料
・駐車場: 一般車35台、大型車5台 ※無料
・アクセス: 【鳥取方面から】鳥取自動車道・用瀬ICから国道482号を上齋原方面へ/
【大阪、広島方面から】中国自動車道・院庄ICから国道179号線を奥津温泉・上齋原方面へ
・URL: https://fairywood.jp/
この「妖精の森ガラス美術館」から5kmたらずで鳥取県三朝町になります。
2020年の3月上旬に"蟹取県の「三朝館」で温泉と蟹三昧"をアップしたときは、コロナ禍で隣の県へ行くことができなくなるなど夢にも思っていませんでした。
6月1日は全国の花火師が各地で一斉に打ち上げる「悪疫退散祈願のためCheer Up!花火」が打ちあがりましたね。
岡山市内は4ヵ所で打ち上げられ、わが家からも今保、藤田、神道山の3ヵ所が見られました。
写真の花火は神道山から打ちあがる花火です(これでもできのよかった1枚です)。
後楽園からも上がったのですが、あらゆる方向から打ち上げの音がしていたので
廊下に出ないと見えない後楽園の方向に気がつかなかったのが残念です。
県内の花火大会はほとんど中止が決定されました。2020年の今年は最初で最後の花火でしょうか。
以前のように安心して生活でき、他県を自由に旅行できるよう、1日も早い終息を祈って。