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2020年10月7日から2021年2月6日まで、パリ市内エッフェル塔近くにあるパリ日本文化会館にて、江戸時代の化粧文化と当時の美意識を紹介した特別展「美の秘密 – 浮世絵に見る江戸時代の化粧と髪型」が開かれています。
同展はポーラ文化研究所との共催で、江戸時代の化粧風俗を描いた浮世絵作品と、化粧に用いられた道具や装身具、日本髪を再現した結髪雛形などを展示しています。前期(2020年10月7日〜2020年11月28日)と後期(2020年12月3日〜2021年2月6日)の2期入れ替えでの開催です。
初日前日にプレス向けの説明会が開かれたので、少し紹介します。
すっかりウィズコロナの生活が定着してしまいましたが、取材などに関しても同じです。今回の説明会も、以前であればまとめて行われていたものが、参加者をいくつかの時間ごとに振り分けて行われました。せっかくなので私は、朝イチの時間帯に。
朝のエッフェル塔は気持ちいいですね。おはようございます!
さて、特別展の内容を見ていきましょう。展示は大きく4つに構成されています。
1: 化粧の情景―白・黒・赤の粧い
2: 髪化粧の情景―日本髪と髪飾り
3: 身分とよそおい
4: 江戸美人百花
1: 化粧の情景―白・黒・赤の粧い
眉化粧の道具一式を収めた「違鷹羽根紋蒔絵櫛台」など、江戸時代に使われていた蒔絵や繊細な装飾が施された化粧道具について展示されています。江戸時代の化粧は、白(白粉)・黒(お歯黒と眉墨)・赤(口紅)の3色だけで行われていたそうです。
2: 髪化粧の情景―日本髪と髪飾り
浮世絵や文献を参考に日本髪を再現した模型「結髪雛形」は、日本髪の技巧美を知ることができます。日本の結髪文化は、4つの基本型に始まり、数百種類といわれるまで多様に進化したそうです。
3: 身分とよそおい
江戸時代は身分社会であり、化粧や髪型、ファッションには身分に合わせたさまざまな決まりがありました。浮世絵に描かれた女性たちかは、それら身分や職業、階級などの違いや生活の様子を読み取れます。化粧や髪型を知ることで、浮世絵鑑賞が身近になっていきます。
4: 江戸美人百花
浮世絵数十点から成る揃物(テーマに基づき複数の浮世絵でシリーズ化したもの)を展示しています。三代歌川豊国「江戸名所百人美女」や一鴬斎国周「当勢三十二想」、楊洲周延「千代田之大奥」といった貴重な浮世絵が並びます。庶民の女房から高位の遊女、御殿女中、大名の姫君まで、属性の異なる女性の違いを見ることができます。
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全体を通して個人的に気になったものは、「千代田之大奥」など錦絵の鮮やかさ。そして「違鷹羽根紋蒔絵櫛台」などの蒔絵の美しさです。そして映像で鑑賞できる日本髪を結う様子は必見。立体的な日本髪は、こうやってできていくんだと実感できます。
普段であれば、パリ日本文化会館には年間を通して何かしらのイベント取材でお邪魔するのですが、今回は新型コロナのこともあり、およそ半年ぶり。少しずつですが、こうやって以前のようにいろいろと社会が開いていくのがうれしいです。
コロナ禍のなか、コロナ以前と変わらないように準備を整えるのは、相当のご苦労があったと推察されます……。日本文化に触れられる、すてきな特別展です。
ひとつ注意が必要なのは、今回は感染拡大を防ぐため、完全事前予約制になっていること。予約をパリ日本文化会館のウェブサイトで入れてから、訪れてください。
・住所: 101 bis Quai Branly 75015 Paris
・開催期間: 前期(2020年10月7日〜2020年11月28日)、後期(2020年12月3日〜2021年2月6日)
・最寄り駅: 地下鉄6号線Bir Hakeim/RER C線Champ de Mars – Tour Eiffel
・入場料: 「美の秘密」展は€5(完全事前予約制: 予約は同館ウェブサイトから)