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Suet Mae!(シュマイ!こんにちは!)
イングランドの再ロックダウンが本日(5日)未明から始まりましたが、ウェールズはロックダウン2週目を迎えてます。
予定ではウェールズのロックダウンは今週末の8日までですが、さて、どうなるのでしょうか??
この数日でまたウェールズ自治政府から何かしらの発表があるのではないかといわれています。
それでは、今回も引き続き、スコットランド編です。
ウェールズからキャンピングカーで北上し続けた私たちが目指したのはイギリス本島最北端の村「ジョン・オ・グローツ(John O' Groats)」からさらに北、北海と大西洋の境界に浮かぶ島々「オークニー諸島(Orkney Island)」です。
豊かな大自然と野生動物の宝庫として知られるオークニー諸島には先史時代からの遺跡が数多く残っていて、その一部が1999年に「オークニー諸島の新石器時代遺跡中心地」として世界遺産に登録されたことから、史跡や遺跡巡りの聖地にもなってます。
今回はそんな古代遺跡と大自然が魅力のオークニー諸島を紹介します。
いまだコロナ禍が続くイギリスですが、収束したらぜひ訪れてほしいおすすめの場所です。
■ オーカディアンの誇りが息づく神秘の島々「オークニー諸島」 オークニー諸島は約70の島々からなり、そのうち最大の島「メインランド島(The Mainland)」を含めた17の島におよそ2万人が暮らしています。
名前の由来は諸説あるそうですが、古代ゲール語でシャチを意味する「オルカ(Orca)」から名づけられたともいわれ、島民たちは「スコッツ(スコットランド人)」ではなく、「オーカディアン(オークニー人)」と自称し、独自の文化と方言を守り続けています。
そんなオーカディアンの誇りが息づくオークニー諸島へはエディンバラやグラスゴー、アバディーンなどのスコットランド各地から、メインランド島のカークウォール空港まで飛行機で行くことができます。
またアバディーンやジョン・オ・グローツ、ギルズの各港からはフェリーも運行。
ほかにもジョン・オ・グローツからフェリーで渡って、メインランド島を中心に観光バスでオークニーの見どころを巡る日帰り観光ツアー(John O'Groats Ferries/5月〜9月催行)などがあり、夏には多くの観光客でにぎわいます。
▲ イギリス本島最北端の地「ジョン・オ・グローツ」の人気撮影ポイント
今回、私たちはジョン・オ・グローツに立ち寄ったあと、ギルズ・ベイ(Gills Bay)から、サウス・ロナルドセー島(South Ronaldsay)のセント・マーガレット・ホープ(St Margarets Hope)行きカーフェリー(Pentland Ferries)に乗船。約1時間の船旅を楽しみながら、オークニー諸島に向かいました。
▲ セント・マーガレット・ホープ行きカーフェリー(Pentland)の船内
■ 北欧文化が色濃く残るオークニー諸島の州都「カークウォール」 メインランド島北岸の港町「カークウォール(Kirkwall)」はオークニー諸島の州都であり、観光の拠点となるオークニー最大の町です。
▲ カークウォールの町に設置されたオークニー諸島の案内板
8世紀からノルウェー人が移り住み、ヴァイキングの本拠地となったオークニー諸島は11世紀にはノルウェー王国が支配し、そのあともデンマーク王国の領土になるなど、15世紀にスコットランド王国に編入されるまでの長い間、北欧の一部とされていました。
そのため、州都のカークウォールは北欧とスコットランドの文化が交差する町ともいわれ、イギリスというより北欧に近い雰囲気が感じられます。
町の中心部にはひときわ目を引く美しい砂岩の大聖堂「聖マグナス大聖堂(St.Magnus Cathedral)」があり、その尖塔は町のどの方角からも望むことができるカークウォールのシンボルです。
▲ 12世紀に建てられたイギリス最北端の大聖堂「聖マグナス大聖堂」
■ オークニーの大自然が生み出す至極のウイスキー「スキャパ」 ウイスキーの本場スコットランドには現在、100ヵ所あまりの蒸溜所があるそうです。
そして、オークニーのメインランド島にもイギリス最北端のウイスキー蒸溜所「ハイランド・パーク(Highland Park)」と「スキャパ(Scapa)」があり、いずれも試飲付き見学ツアー(事前予約が必要)が観光客に大人気の場所です。
ただ、私たちが訪れた時期はCOVID-19の影響で、ハイランド・パーク蒸溜所は一般客の受け入れを休止していたため、今回はカークウォールの町から3km南、スキャパ湾を望む高台にあるスキャパ蒸溜所を訪ねました。
▲ 戦時中はイギリス海軍の兵舎に使用された「スキャパ蒸溜所」
スキャパ蒸溜所も従来の見学ツアーは休止していましたが併設されている直売店での試飲と買い物は可能で予約も不要でした。
店内では知識豊富なスタッフによるていねいな商品の説明のあと、テイスティングリストから数種類のウイスキーを選んで、無料で試飲させてもらえるという至れり尽くせりのサービス。
しかも、直売店だけあって、市場よりもお値打ちな価格でお目当てのウイスキーを購入できたので、ウイスキー党の主人はすっかり"スキャパの虜"となりました。
▲ オークニーの帆船がデザインされたウイスキーが並ぶ店内。スキャパはノース語(バイキングの言語)で「船」の意味
■ Scapa Distillery ・ 住所: St Ola, Kirkwall, Orkney, KW15 1SE ・ URL: https://www.scapawhisky.com/
■ オークニーのおすすめ絶景スポット「イェスナビー」
メインランド島の西海岸にある「イェスナビー(Yesnaby)」は高くそびえた赤砂岩の断崖が続く地域で壮大な美しい絶景が望める場所として人気があります。
▲ 無料駐車場に設置された「イェスナビー」の案内板
イェスナビー周辺はトレイルが整備されているので、名所とされる奇岩「イェスナビー・キャッスル(Yesnaby Castle)」までは激しく波打つ断崖や空中に舞う波の花など、オークニーの大自然が生み出す景観を楽しみながら、のんびり散策ができます。
▲ 海中にそびえ立つ高さ50mの奇岩「イェスナビー・キャッスル」
夏には運がよければ、野鳥のパフィン(Puffin)にも出合えるというおすすめ絶景スポットです。
■ 古代ロマンあふれるオークニーの世界遺産①「スカラ・ブラエ」
イェスナビーから北へ8km、メインランド島西岸のスケイル湾に面した「スカラ・ブラエ(Skara Brae)」は1850年の嵐によって発見された新石器時代の石造りの集落遺跡です。
▲ 世界遺産「スカラ・ブラエ」の入口に設置された案内板
約5000年前の紀元前3100年から紀元前2500年頃まで、50人から100人が定住生活を営んでいたとされるスカラ・ブラエは新石器時代の集落としては最も完全なもので、その良好な保存状態が評価され、1999年にほかのメインランド島の遺跡群を含めた「オークニー諸島の新石器時代遺跡中心地」として、世界遺産に登録されました。
▲ 新石器時代の集落遺跡「スカラ・ブラエ」
このスカラ・ブラエの住居跡には寝室や暖炉、地下道や排水設備まであったことが解明されていて、その当時すでに高度な文明と技術力があったとされます。
▲ ベッド(写真左右)と狩猟の道具や戦利品を飾ったドレッサー(写真中央)、囲炉裏が残る住居跡
集落遺跡には住居跡だけでなく、石器や陶器、動物の骨や木を使った道具などを造るワークショップなどもあり、当時の集団生活の様子がうかがえます。
▲ 囲炉裏(写真中央)を囲みながら、作業したとされるワークショップ
イギリス最北端の厳しい自然環境におかれたこの島で古代の人々がどのような生活をしていたのかと想像がふくらむ古代ロマンあふれる場所です。
2020年11月現在、見学には事前の予約が必要となっていますので、訪問前に下記ウェブサイトで確認されることをおすすめします。
■ Skara Brae
・ 住所: Sandwick, Orkney, KW16 3LR
■ 古代ロマンあふれるオークニーの世界遺産②「リング・オブ・ブロッガー」
メインランド島北西部、ステネス湖とハーレー湖に挟まれた地峡にある「リング・オブ・ブロッガー(The Ring of Brodgar)」は紀元前2500年から2000年前に建造されたとされる新石器時代のヘンジと環状列石の遺跡群です。
小高い丘の上に高さ5mほどの巨大な石が27基、直径104mのきれいな円形状に並び、神秘的な景観を造りあげています。
▲ 有名なストーンヘンジよりも古い時代に建造されたとされる「リング・オブ・ブロッガー」
スカラ・ブラエとともに世界遺産に登録されているリング・オブ・ブロッガーですが、無料で自由に見学ができるようになっています。
ただ、以前は巨石に触れることもできたそうですが、現在は周囲の濠に柵が設けられ、駐車場から続くトレイルに沿って遺跡群の外周を散策しながらの見学となります。
▲ 手掘りの濠で囲まれた「リング・オブ・ブロッガー」
かつては60基の巨石が並び、そのほとんどが落雷や風化によって倒壊したとされるリング・オブ・ブロッガーですが発掘がほとんどされていないため、何のために造られたのかなど詳しいことはわかっていません。
そんな謎に包まれた遺跡群を眺めながら、悠久の時を体感できるオークニーのおすすめスポットです。
■ オークニーのロマッチックな教会「イタリアン・チャペル」
メインランド島とサウス・ロナルドセー島の間に位置する島「ラム・ホルム島(Lamb Holm)」にポツンとたたずむかわいい教会「イタリアン・チャペル(Italian Chapel)」があります。
第二次世界大戦中、連合軍の捕虜になっていたイタリア兵が礼拝のために兵舎を改造して建てたカトリック教会で現在の建物は1990年に修復されたものですが、その周囲の自然と相まって美しい景観は訪れる人々を魅了し、オークニーの人気観光名所となってます。
▲ ロマンチックな外観が結婚式場としても人気の「イタリアン・チャペル」
残念ながら、私たちは営業時間外で中に入ることができませんでしたが、入口にチャペルの説明と教会内の写真が掲載された案内板がありました。
教会内にはイタリア兵によって描かれた神秘的で美しい聖母子像の壁画や祭壇、色鮮やかな天井画など、小さいながらも見応えのある装飾が施されているそうです。
ほかの観光スポットとはまた違うオークニーの歴史に触れられる場所です。
■ Italian Chapel
・ 入場料: 大人£3.00(12歳以下は無料)
・ 営業時間: 毎日10:00〜16:00 (冬期10:00〜13:00、クリスマス&元旦は休業)
・ 住所: Lamb Holm, Orkney KW17 2SF
オークニー諸島には今回、紹介した場所のほかにも世界遺産「メイズハウ(Maeshowe)」や「ストーンズ・オブ・ステネス(Stones of Stenness)」、廃船で造られた防壁「チャーチル・バリア(Churchill Barriers)」など、見どころや人気の観光地、絶景ポイントがたくさんあります。
いまはまだ海外旅行が難しい状況ですが、次回のスコットランド旅行にはぜひ神秘の宝庫「オークニー諸島」も訪ねてみてください。
▲ 廃船を沈めた防壁「チャーチル・バリア」はオークニーの人気ダイビングスポット