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今回は広い境内の中にある茶室・鈴松庵に行ってみようと思います。
椿大神社内にある延命長寿の神様を祀る行満堂神霊殿や弓道場、松下幸之助氏を祀る神社などを通り、茶室に向かいます。
道中、池堀の中に金色の鯉を見つけました。
茶室・鈴松庵の入口です。
苔むして緑に染まった屋根がすでに【わびさび】の世界です。
松下幸之助翁が日本庭園と共に寄進された茶室。
一流一派に偏らず、一般開放されています。
門をくぐると、椿大神社らしい椿の花が咲いていました。
薄いピンクの椿もきれいでした。
こちらは、定番の赤い椿。
茶室によく見受けられる網代天井です。
この茶室は、小間(三畳台目)、広間(十畳書院)、立札席(六坪)の三室で構成されています。
さまざまなお茶碗が飾られています。
まず小間の方が受付になっており、入場料800円でお呈茶をいただくことができます。
お抹茶にお菓子。いただいたお菓子の銘々皿も持って帰ることができます。
先に和菓子が配られます。
床の間に立派な茶釜。
客人にお茶をもてなしされている和服姿の方に少しお話をうかがいしました。
和菓子や銘々皿にお茶碗のことなどを教えていただきました。
(ご協力ありがとうございました)
まずはお菓子から。
先にお菓子をいただいてからお茶を頂戴します。
このピンクの花をかたどった美しいお菓子は【寒椿】というそうです。
着物の柄と同じく、季節を少し先取りして表現するそうです。
たまたま【寒椿】だったのですが、椿大神社に相応しいお菓子でした。
甘く口の中で溶けていきます。
お菓子は季節とともに変化していくとのこと。
初霜(はつしも)、霜柱(しもばしら)、蛍(ほたる)などといった季節を表現したものだそうです。
前述したように1ヵ月から1ヵ月半くらいを目途に先取り表現していくそうです。
繊細な四季の変化をとらえてお菓子にそれを表現する……和菓子職人さんたちの心意気を感じます。
四季折々を愛でて文化に取り入れてきたとても日本らしいお話でした。
出されるお茶碗もひとりずつ違います。
特別に椿のお茶碗を用意していただきました。
食べてしまうのがもったいないようなきれいなお菓子でしたが……
すっかり完食。
そしてそのあとにお抹茶をいただきました。
和菓子をのせていた銘々皿。
懐紙に包んで持って帰ることができます。
ちなみにこの濃い群青色のお皿は丸みを帯びているのですが、よく見ると三角形。
実はこの和菓子をのせるお皿は地元の万古焼だそうです。
京都建仁寺などの禅寺で見受けられる【○△□】まるさんかくしかくという禅の精神からきているそうです。
丸と三角形と四角形を毎年、神事に使われる五色絹の五色と組み合わせて、3×5の15周年サイクルで作っておられるとのこと。
ちなみに五色絹は紫(黒)、白、赤、黄、緑(青)の五色で、椿岸神社に祀られている芸事(茶道含む)の神様・天鈿女命(アマノウズメノミコト)が巻いていた布の色ともいわれているそうです。
また仏事にも五色布を使用します。
色も同じです。
禅思想といい、神仏が混合されているのもとても日本的に感じました。
よく有名ブランドの食器を毎年買い求められる方もおられますが、この小さな空間・茶室の15種類の銘々皿を15年かけてコツコツと集めていくのもひとつの趣のような気がしました。
私が今回、手にした銘々皿は深い群青色(多分、紫にあたる)の三角形のお皿。
次にこのお皿の色と形になるのは16年後……。
時の流れを思うと、少しロマンチックな感じがしました。
わざわざ用意してくださった椿のお茶碗。
華やかなお茶碗でした。
一人ひとりていねいにお菓子とお茶を置いていかれます。
日本庭園と茶室を寄贈された松下幸之助氏のことを記した石碑。
発明家であり、哲学者でもあり、経営の神様といわれた松下幸之助氏はこの椿大神社とのご縁が深いようです。
……
……
次回は銘々皿も作っている万古焼の里を訪れてみたいと思います。