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Suet Mae!(シュマイ!こんにちは!)
今回も引き続き、2020年の秋に訪れたイングランドの観光地を紹介します。
いまだ世界中でたいへんな状況が続いていますが、事態が収束し安全に旅を楽しめるようになったら、ぜひ皆さんにも訪れてほしいおすすめの場所です。
■ 大自然と田舎風景が魅力の「ヨークシャー・デイルズ国立公園」
イングランド北部のヨークシャー地方に広がる「ヨークシャー・デイルズ国立公園(Yorkshire Dales National Park)」は緑豊かな牧草地やムーア(荒野)で覆われた20以上のゆるやかなデイル(谷)と石灰岩の山々で形成された大自然が美しいイギリス屈指のカントリーサイドです。
国立公園内には伝統を色濃く残す魅力的な田舎町や村が点在し、懐かしいイギリスの風景に出合えます。
それもそのはず……このヨークシャー・デイルズ国立公園は「イギリス田園風景保全活動」の最初のモデルとなった場所なのです。
キャンプ場も多く、さまざまなフットパスやトレッキングルートが整備されているので、春から秋にかけては観光客だけでなく、ハイキングやアウトドアを楽しむ人たちでもにぎわいます。
▲ ヨークシャー・デイルズ国立公園入口に設置された石碑
▲ ヨークシャー・デイルズの看板羊たち
■ ターナーやワーズワースも魅了した3層の滝「エイスガースの滝」
ヨークシャー・デイルズ国立公園の北東部、森と農地に囲まれたエイスガース村の外れに自然が造りあげたおよそ1マイル(1.6km)にわたる3層の滝「エイスガースの滝(Aysgarth Falls)」があります。
デイルから流れ出た水がウレ川(River Ure:全長119km)となって、広い石灰岩の階段をアッパー・フォールズ(Upper Falls)、ミドル・フォールズ(Middle Falls)、ロウアー・フォールズ(Lower Falls)と名づけられた3つの滝となって流れ落ちる景観は美しく、また見る場所や季節、気候によって変化し、200年以上、訪れた人々を魅了し続けています。
▲ 上流の滝「アッパー・フォールズ」
▲ 中間に位置する滝「ミドル・フォールズ」
▲ 下流の滝「ロウアー・フォールズ」
イギリスの名だたる芸術家たちもこの滝を愛し、画家のターナー(Turner)や桂冠詩人のワーズワース(Wordsworth)は、日ごとに変わる滝の美しさに夢中になったと案内板に記載されています。
また、映画『ロビンフッド:泥棒の王子(Robin Hood:Prince of Thieves)』(1991年)の撮影もこの滝で行われたそうです。
▲ 滝巡りの起点となるナショナル・パーク・センター
▲ ナショナル・パーク・センターに設置された案内板
川沿いにはフットパスが整備されていて、川の流れと滝の景観を間近で観賞できるようになっています。
3つの滝を見てまわるには1~1.5時間ほどかかりますが、アップダウンが少ないので誰でも気軽に散策が楽しめます。
また1~2月はスノードロップ、4月はサクラソウ、5月にはブルーベルなどの野花が咲き、野鳥やリス、鹿なども生息し、秋にはまれに鮭が滝を跳ね上がるのを見ることができるそうです。
▲ ロウアー・フォールズへと続くフットパス
アッパー・フォールズ近くには橋が架かっていて、橋の上からはやや遠目ですが滝を正面に見ることができます。
また橋を渡るとかつては水車小屋だった石造りのすてきなティールームがあります。
エイスガースの村へはこの橋を渡って、大通りに出て西へ約1km、徒歩約20分ほどです。
▲ 橋の上から見たアッパー・フォールズ
▲ 石造りのすてきなティールーム「Mill Race Teashop」
見上げたり、見下ろすような落差のある豪快な滝ではありませんが、のんびり散策しながら美しい自然景観を楽しめるのが魅力といえます。日本のガイドブックにはあまり紹介されていませんがおすすめの観光スポットです。
■ Aysgarth Falls National Park Centre
・ 住所: Aysgarth, Leyburn DL8 3TH
■ ヨークシャー・デイルズのチョコレート・ボックス「ホウズ村」
イギリスにはコッツウォルズなど有名な村以外にも、美しい村はたくさんあります。
ヨークシャー・デイルズの小さな村「ホウズ(Haws)」もそのひとつ。
国立公園の北西部に位置する人口1100人ほどの小さな保養地ですが、「チョコレート・ボックス」と称されるほど、村の景観はかわいく、イギリスのカントリーサイドの魅力が詰まってます。
▲ ホウズ村の案内板
▲ 村に設置された案内標識
▲ 石造りの建物が建ち並ぶメインストリート
人や車でにぎわうメインストリートから一歩路地に入るだけで、素朴な村の雰囲気が漂います。
季節の花や植物で彩られたすてきな石造りの家やティールーム、B&Bなどが建ち並び、ついつい中をのぞき込みたくなります。
▲ 自然に見せるのがイギリス流。庭だけでなく壁や軒先も華やか
ホウズにもウレ川の支流が小川となって流れこんでいて、石造りの古い建物の間で小さな滝を造り出しています。
この風景はホウズの写真や絵はがきにもよく使われていて、人気の撮影スポットです。
▲ 日本の紀行番組「欧州鉄道の旅」でも紹介されたホウズの風景
また村にはアンティーク・ショップもいくつかあり、店内を自由に見てまわることができます。
扱っている商品だけでなく、店そのものがアンティーク(笑)。時間をかけてじっくり楽しみたい場所です。
▲ ホウズの町並み。写真中央がアンティークショップ
▲ アンティークショップ内の様子
▲ 店内地下の様子
村のメインストリートから500mほど南にはイギリスのテレビ番組『ウォレス&グルミット』で知られる「ウェンズリーデイル・チーズ(Wensleydale Creamery)」があります。
併設のショップやできたてのチーズが味わえるレストランは、いつも観光客でにぎわってます。
▲ クリーミーなチーズが人気の「ウェンズリーデイル・チーズ」
■ Wensleydale Creamery
・ 住所: Gayle Ln, Wensleydale, Hawes DL8 3RN
■ エイスガース村&ホウズ村への行き方
・ ロンドン・キングス・クロス(London King's Cross)駅から列車で約2時間30分、ノーザラートン(Northallerton)駅下車。ノーザラートンから73番バス(日中1時間おき、日曜運休)で約25分のビーデイル(Bedale)に行き、156番バス(日中1~2時間おき、日曜運休)に乗り換えてエイスガース村まで約25分、ホウズ村まで約45分。
交通の便はよくありませんが、いずれの村も訪れる価値は十分あるので、静かでのんびりしたイギリスのカントリーサイドを楽しみたい方にはおすすめです。