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Sut mae!(シュマイ!こんにちは!)
2021年3月最終日、ウェールズは気温20℃を超す春本番どころか初夏の陽気となりました。
絶好のお花見日和ということで先日のロックダウン緩和を受け、29日から営業を再開したばかりのポウィス城で庭園散策を楽しんできました。
そこで今回はウェールズの観光名所の現在の様子をお伝えするとともに、美しい庭園が自慢のポウィス城からウェールズの春を届けたいと思います。
ウェールズでは現在もイングランドを含め、国外からの訪問は規制されていますが、事態が収束したら、ぜひ訪れてほしいおすすめの場所です。
■ 『天空の城ラピュタ』のモデル?!中部ウェールズのポウィス城
中部ウェールズ、ポウィス地方の町ウェルシュプール(Welshpool)には、ジブリのアニメ映画『天空の城ラピュタ』でモデルになったとされる「ポウィス城(Powis Castle)」があります。
現存するウェールズの古城はほとんどがウェールズ征服のためにイングランド王たちが建てたものですが、このポウィス城は13世紀後半にウェールズの王子によって丘の上に築かれた頑強な要塞で、その後歴代の所有者らにより優美な宮殿風に改装された「ウェールズの天空の城」です。
▲ ウェールズの天空の城「ポウィス城」
最後の城主ジョージ・チャールズ・ハーバート伯爵の遺志により、1952年に景観保護団体ナショナル・トラストへ寄贈され、城と庭園が一般公開されていますが、現在は新型コロナウイルス対策のため、庭園のみ見学が可能となっています。ただし人数が制限されているため、入場には事前のオンライン予約が必要です。
広大な敷地にある城と庭園ですが駐車場は城のすぐ麓にあります。
通常は城内受付にてチケットの購入や会員証の確認が行われますが、現在は駐車場に案内所が設けられていて、到着時に事前予約の有無を確認されます。
▲ 駐車場に設置された案内所
案内所には政府のガイドラインに基づき、散策中のソーシャルディスタンス確保や、トイレ、売店を利用する際のマスク着用など、いくつもの注意書きがありました。
ただ、人数制限に加えて、広大な敷地ということもあり、周囲の人たちとの距離はほとんど気にせずに散策が楽しめます。
▲ いつもは地元の家族連れでにぎわう入口付近のピクニックエリア
入口の受付は閉鎖されていましたが、中庭では庭園内で放し飼いされている優美なクジャクが出迎えてくれました。
このクジャクはイギリスの植民地だったインドで財を成した城主のクライブ男爵がインドから持ち帰り、繁殖させたといわれています。
▲ 城の中庭。中央の建物が城内見学の入口(現在は閉鎖中)
中庭にはショップとカフェが併設されていますが、現在ショップは休業中。カフェは店内の飲食スペースが撤去され、テイクアウト商品のみの販売となっています。
▲ 中庭に併設されたカフェ内の様子
庭園へはいったん中庭を出て、別の庭園専用入口から入ります。
スタッフに庭園入口で再度予約を確認されますが、見学については一方通行などの制約もなく、自由に散策することができます。
庭園に入るとすぐにモコモコした巨大なイチイの生け垣(トピアリー)が見えてきます。
▲ ラピュタの世界観が広がる?!イチイのトピアリー
木の内側は空間になっていて、中に入ることもできます。
庭園内にはベンチが設置されているイチイがいくつもあり、木陰で涼むだけでなく、人気の撮影スポットにもなってます。
イチイが植えられたのは1680年頃で当時はコーン型やオベリスク型に刈り込まれていたそうですが、1780年代に刈り込みをしない自然のままのスタイルが流行したため、そのまま放置されて巨大化し、再び刈り込みが行われるようになったことで現在のようなドーム型になったようです。
▲ イチイのトピアリーに設置された案内板
丘の上に築かれたポウィス城の庭園は急な斜面にテラス式で造られています。
一番上のテラスにはイチイのトピアリーが並び、その下のテラスには羊飼いの彫刻が庭に向かって配置されています。
さらに下の段にはオランジュリー(温室)もあり、テラスからはウェールズの美しい大自然の眺望が楽しめます。
▲ オランジュリーのテラスから見上げたポウィス城
▲ 羊飼いの彫刻とテラスからの眺め
さらにボーダー花壇やバラ園などが続き、イチイのトンネルや階段を下って、一番下まで進むと広い芝生が広がっています。
▲ 巨大なイチイのトンネル
▲ 満開のモクレンとウェールズの国花ダフォディル(ラッパ水仙)
▲ 麓の噴水エリアは子供たちに人気の遊び場
チューリップはまだつぼみでしたが、グレープヒヤシンスと呼ばれるムスカリが色鮮やかに咲いてました。
▲ ブドウのような青紫色の花を咲かせるムスカリ
また麓にはコーヒーショップとトイレもあり、広い庭園の散策ものんびりと楽しむことができます。
ちょうど休憩をしていた庭師さんに声を掛けられたので、地元在住でナショナルトラストの会員であることを伝えると、「シャクナゲや藤、キングサリはもう少し後に咲き始めるから毎週、来たらいいよ!」とアドバイス?をいただきました。
▲ 麓のコーヒーショップも現在はテイクアウト商品のみ販売
庭園内にはウェールズの春を象徴するダフォディルの群生地もあります。
▲ ダフォディルの群生地とポウィス城
そして、今回期待していた桜も見事に咲いていました!
▲ ポウィス城の三本桜
ただ、桜の下にはイースターのイベント用に案内板が設置されていて、子供はもちろん同伴の大人たちも満開の桜にはまったく目もくれず……足早に次のポイントへと向かってました。
"桜よりイースターエッグ(チョコレート)"のようです。
▲ 庭園内に設置された「イースターエッグ・ハント」の案内板
庭園内の池でスカンクキャベツと呼ばれる異臭を放つ黄色水芭蕉を見つけました。
▲ スカンクのような臭い?がする黄色水芭蕉
池の近くには電気がなかった昔に池の凍った氷を貯蔵したアイスハウスがありますが、現在は散策路が閉鎖されています。
池を通過し、庭園を一周すると緩やかな上り坂になり、庭園専用入口へ戻ります。
1時間ほどでひとまわりできますが、じっくり花を観賞したり、天気の良い日はのんびり日光浴も楽しめるので時間を気にせず訪れたい場所です。
今回は地元ウェルシュプールのポウィス城より、ウェールズの春を届けましたが、これから本格的なガーデニングシーズンを迎えます。
まだまだ遠出は難しい状況ですが、身近で春を見つけて、皆様に紹介したいと思います。
■Powis Castle and Garden : National Trust
・住所: Welshpool SY21 8RF