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今年2021年は例年より少し早く、ミズバショウの季節がやってきました。
ミズバショウというと、湿原や湿った草原などに自生しており、4月~5月にかけて釧路湿原を歩いたとき、すでにピークが少し過ぎていたのですが、緑色の湿原にポツポツと広がるミズバショウがとても印象的でした。
北海道の早春、ようやく木々の芽が膨らみ始める頃にやっとみられるようになる"花"のひとつがミズバショウです。
雪解け水の中にひょっこり顔を出して白い花を咲かせる様子は、道産子が待ちわびていた「春」を象徴するような輝きにも見えます。
そんなミズバショウ、札幌から遠く離れた湿原(例えば釧路湿原など)へ行かなければ見られないかというと、そんなことはありません。
札幌からほど近いところに、なんとミズバショウの大群落がある湿原があります。
それが札幌市に隣接する石狩市にある「マクンベツ湿原」です。
「札幌駅」界隈から車で出発すると、40分ほどで「マクンベツ湿原」に到着します。
「中央バス札幌ターミナル」(大通東1丁目3)から乗車すれば、バスでのアクセスも可能です(バスの場合は所要時間約1時間)。
マクンベツ湿原最寄りの「矢臼場停留所」から湿原木道入口までは、徒歩約10分で到着です。
「マクンベツ湿原」の駐車場に車を停め、湿原木道入口まで歩いていると、まだ若いフキノトウをみつけました。
札幌市内をはじめ、平地では、フキノトウはかなり成長していますが、ここでは開いたばかりのフキノトウがいくつも咲いています。
ほどなく木道入口に到着します。
幅1mくらいの木道は、石狩川に向かってのびています。
木道を歩き始めると、すぐ足元近くにミズバショウが、そしてハンノキの森の奥深くにまで、ミズバショウが広がって咲いていました。
マクンベツ湿原は、「低層湿原」という湿原の表面が地下水位よりも低いところにある湿原です。
低層湿原には、ミズバショウが咲いたり、ヨシやスゲという植物が多く見られます。
今年は少し早く開花したようで、ミズバショウの葉は伸びていましたが、真っ白い花が一面に咲いている情景に息を飲みました。
マクンベツ湿原は、ハンノキの森のエリアとヨシが茂るエリアに分かれており、ミズバショウはハンノキの下に咲いています。
木道を進んでいくと、ハンノキが途切れ、突然視界が開けます。
そこにはハンノキとミズバショウの森とうは打って変わり、まるでアフリカのサバンナのような(サバンナには行ったことはありませんが)光景が広がります。
さらに木道を進むと、再びハンノキの森へ入ります。
次第に石狩川へ近づいているのですが、こちらの森のミズバショウは、それほど大きく育っていないようです。
見ると、ところどころに雪が残っていました(今日の雨で解けたかもしれません)。
そして木道の最深ポイント、石狩川に到着。
川の向こう側には、まだ薄っすらと雪が残っている山々が見えます(恐らく樺戸連山)。
川面に波が立っているのを見てもわかるように、風がビュービューと吹いて川べりはかなり寒かったのですが、川と山を臨む広々とした景色に清々しい気持ちになりました。
ちなみにこの日、最高気温は15℃で、この時期としてはかなり暖かい日でしたが、強風のため体感温度は5~6℃くらいに感じました。
マクンベツ湿原は、北海道内でも有数の規模を誇るミズバショウの大群落だそうです。
ミズバショウの可憐な姿に癒やされつつ、もうひとつの個人的な楽しみは、水面に映るハンノキの枝ぶりです。
深い色の水とそこに写ったハンノキのコントラスト、さらに白いミズバショウが点在しているところは、よりおもしろい光景だと思います。
最後になりましたが、木道を歩かずとも、堤防と湿原に沿って整備されている遊歩道からでもミズバショウを見ることができます。
時間があまりないとき、木道が混んでいるときなどは、遊歩道からミズバショウを背景に記念撮影をする人もいました。
2021年春のミズバショウシーズンは、そろそろ終盤を迎えそうですが、札幌近郊で湿原を堪能したい場合にも、ぜひ「マクンベツ湿原」の木道を歩いてみてください。