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5月に入りGWの最中ですね。
本来ならば、さまざまな行事でにぎやかな時期ですが、コロナ禍で予定されていた行事の多くが中止になっているのが残念です。
今月紹介する井原市星町は、岡山県の西南部にある自然豊かな星空の美しい町です。
美星町には、昔3つの流れ星がこの地に落ち、それから星の郷とよばれるようになったと伝えられる「星尾降神伝説」があります。 美しい星空を守るために全国でも先駆けて光害防止条例を施行・実施した町です。
そんな美星町で紹介したい場所は「中世夢が原」です。文字通り、中世(鎌倉時代~室町時代)の吉備高原一帯の風景と文化を再現した場所です。
(写真は過去のゴールデンウィークに訪れたときのものです)
入口を入るとすぐにお堂があります。
お堂の中でも最も簡単な造りのもので、このあたりの峠や村の辻などにあったそうです。
さらに進むと農家が点在しはじめます。
このあたりの土は赤土だから、壁の赤が目に鮮やかです。
開口部が少なく、土壁が厚く、軒が低いのは寒さを防ぐためだそうです。
藍染の農家もありました。
家の中の壁や床は、竹が多く使われていて、東南アジアの民家にも似ています。
峠を越えると「三斎市」。三斎市とは月のうち3日開かれていた市の総称です。
掘っ立長屋で、鳥・米・布・履物・壷などの生活必需品が売られていました。
当時は、このくらいの物があれば生活できていたんですね。
精密な時代考証により再現しているので、映画のロケにも使われ、NHK大河ドラマ「武蔵」や上戸彩主演の「あずみ2」「たたら侍」「坂の上の雲」「八つ墓村」などの撮影をしています。
また最近は、コスプレイベントの撮影スポットとしても使われるそうですよ。
こんな風景一枚を切り取っても絵になりますね。
こちらは商人や職人たちの町のエリアです。
ここでは本当の土産物の売店や、食事処もあります。
のぼりや炊事の煙が、人の息吹を感じさせるいい雰囲気を出しています。
中でも目を引いたのが鍛冶屋さんです。
かまどの左に鞴(ふいご)があり、そこから風を送り、炎を大きくし、鉄が真っ赤になるまで燃やしています。
その鉄を取り出し、槌で伸ばしていく作業を何度も繰り返していました。
こちらは刀鍛冶。3人が呼吸を合わせ、鍛錬しています。
この日はゴールデンウィークということで居合いの実演もあり、藁の人型を斬ったり制定居合の演技があったそうですが、午後から訪れたので見逃してしまいました。
半分に切った厚み3cmほどの雑誌が置かれていたので、刀鍛冶の方にお話を聞いたら「居合の実演をした人が、日本刀でこの雑誌まで斬ってくれたよ」と笑いながら教えてくださいました。
一刀両断です。
私も居合をやっていて三段をいただいていますが……。雑誌も藁も一度も斬ったことはありません。
小高い山の上には、山城がそびえたち、武器や食料を貯蔵する建物もあります。
この上まで登った夫は「すっごい、眺めがよかったで~!」と吉備高原の眺めが堪能できたと喜んでいました。
その山の麓には武士の屋敷や城主の館がありました。
このあたりまでくると、薄暗くなりはじめ駆け足で観光します。
館は広大な敷地で棚垣で囲まれていましたが、中には入らず写真だけ。
以前に来たとき、中を見せていただいたことがあります。中世はまだ、鉋(かんな)のなかった時代なので、柱や床などは釿(ちょうな)がけをしてあり、細かい工法まで当時の姿をとどめていて感心したものです。
炭焼き小屋や登り窯のような建物もありました。
広場では、子供たちが竹とんぼや竹馬、コマ回しなどの昔の遊びを体験しています。
中世夢が原は、ガイドブックにはあまり大きく取り上げられることはなく、倉敷や蒜山の陰に隠れた観光地ですが、まさにここは生きた博物館です。
いまはコロナ禍で都市部には非常事態宣言が出ている時期ですが、終息したらぜひ訪れていただきたい場所のひとつです。
ちなみに今年のGWは規模を小さくしてイベントを開催するようです。
備中神楽 5月3日(月) 11:00~14:30頃
子供神楽 5月5日(水) 11:00~12:30頃
鍛冶実演(GW期間中)
5月4日(火) 3人で行う刀鍛冶鍛錬
語りの会 5月4日(火)・5日(水)
折り紙教室、的当てゲーム、竹とんぼ作りなど(GW期間中)
■中世夢が原
・住所: 〒714-1406 岡山県井原市美星町三山5007
・電話番号: 0866-87-3914
・公式サイト: 中世夢が原公式サイト
・営業時間: 9:30~16:00
・定休日: 木曜日、祝日の翌日、12月29日~1月3日
・料金: 大人(中学生以上)500円、子供(小学生)300円 ※12月~2月は共通300円
・交通アクセス: (公共)井原鉄道矢掛駅から大倉三山行きバスで約35分、美星診療所前下車
・駐車場: 普通車300台、バス10台