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北海道でも2021年8月27日から9月12日までの期間、緊急事態宣言が発令されました。飲食店などの営業時間を短縮するなど、再び生活環境が変化している状況ですが、町角で見かけるナナカマドは今夏の降水量不足にもかかわらず、変わりなく色づき始めました。
「ナナカマド」は全国の山地に自生しているそうで、北日本を中心に街路樹にナナカマドを植えている市町村があるようです。
北海道では、ざっと数えたなかでは、179市町村中34の市町村でナナカマドを「市町村の木」に指定しています(「市町村の木」をふたつ以上指定している市町村を含む)。
ちなみに「イチイ」(オンコ)を指定している市町村も26と多く、北海道ではナナカマドとイチイがなじみ深い木といえるのだと思います。
ナナカマドを市町村の木に指定している自治体が多い北海道では、街路樹にナナカマドを植えているところがとても多く、日常的に目にする樹木のひとつです。
名前の由来が「七回、竈(かまど)に入れても燃え尽きることがない」ことから「七竈」(ななかまど)と呼ばれるようになったと聞いています。
赤く色づいたナナカマドの実は、子供の頃よく集めては"ままごと"でご飯に見立てて遊んでいました。
家の近くの街路樹にナナカマドがあり、秋になると実があちこちに落ちていたからです。
身近なナナカマドは、15年ほど前からスーパーフードなどと呼ばれ北海道で栽培されている「アロニア」の仲間だそう。
栄養価が高いアロニアは、そのまま食べることはできませんが、ジュースやジャムに加工しアロニアジュースをメニューにしているお店にときおり遭遇することがあります。
ナナカマドについては、ヨーロッパなどのナナカマドはジャムにして食べるられる種類の木があるそうですが、北海道のナナカマドはどのように調理しても、まだ食用にできる調理法は見つかっていないようです("ナナカマド酒"には利用されているようです)。
真っ赤な実が印象的なナナカマド、札幌で見かけるナナカマドの1年を追ってみました。
3月には、すっかり葉が落ちて裸の枝ばかりだったナナカマドも4月に入ると一気に小さな葉が出始めます。
"春紅葉"でもあるのか、赤い葉も目立ちます。
5月のナナカマド。
真っ白で可憐な花が咲きます。
花の時期は短く、1週間くらいで美しい花の時期は終わってしまいます。
毎年、気をつけていなければ、じっくり見ないうちに花の時期が終わってしまいますが、緑の葉のなかに無数に咲く白い花は、ナナカマドの赤い実と肩を並べるほどきれいです。
花が終わると、すぐに若い実ができていました。6月のナナカマド。
そして8月には、実が色づき始めます。
緑の葉に赤い実がなっている様子は、コントラストがとてもきれい。
10月になると葉の色が真っ赤になり、ナナカマドは紅葉と赤い実で全体が真っ赤に。
夕日に照らされたこの時期のナナカマドは、燃えるような赤い姿になります。
10月下旬から11月にかけて、どの木も紅葉(黄葉)した葉はすっかり落ちてしまいますが、ナナカマドの実だけはしっかり枝に残ります。
ナナカマドの実が印象的なのは、葉が落ちた裸の木が多いなか、唯一、木と空のコントラストのなかに彩りを加えているからかもしれません。
雪が降り始めると、ナナカマドの赤い実は、一層その存在感が増します。
ナナカマドの赤い色が真っ白な世界にある唯一の色味になるからです。
3月。どんな風雪にも耐えて木の梢に残っていた赤い実がひと粒もなくなくなっている季節です。
人間には苦くて食べられないナナカマドですが、実は栄養価が高いそう。
食べ物がなくなる冬、野鳥がエサとして食べており、よくヒヨドリやムクドリがナナカマドの実をついばんでいる様子を目撃します。
それにしても、見事なほど食べ尽くされ、毎年いつのまにか実が何もなくなっている木を見て驚きます。
2021年もナナカマドの実が色づき始めました。
日当たりの良しあしの影響か、イチョウの黄葉と同様に木によって色づき方が異なります。
同じ日に撮影していますが、オレンジに色づいている木があれば、まだ黄色になったばかりだったり……
かなり赤に近く色づいている木もあり、この時期だけはナナカマドの実が色づいていくグラデーションを目にすることができます。
今年は降水量が少なかったためか、例年のこの時期に見られる「濃い緑色に赤い実」のナナカマドよりは実の色付きが少し遅く、紅葉は早いように見えます。
まだ夏日が続いている札幌ですが、ナナカマドの色は少しずつ秋色になり始めました。
全国的には猛暑が続いていたり、北日本では季節の変わり目だったりと、体調を崩しやすい環境になっているところが多いと思います。
どうぞ皆さん、ご自愛のもとお過ごしください。