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スペインでは日常生活で本名ではなく名前の短縮形を名乗り、それで呼ばれる人が大勢います。
たとえば、「ペペ」や「ロラ」といったスペイン語名を聞いたことはありませんか? これは実は短縮形なんです。ペペ(Pepe)は男性名ホセ(José)の、ロラ(Lola)は女性名ドロレス(Dolores)の短縮形になります。でも、ホセの短縮形がペペって特に短縮されていませんよね? そもそもなぜホセがペペになるのか。ロラはなんとなくわかるものの、なぜLoraではなくLolaなのか。ちなみにDoloresという女性はロラのほかにも、ロリ(Loli)、Lolita(ロリータ)、ロレス(Loles)と名乗ることも。短縮形はひとつとは限らないんです。
短縮形にはいろんなパターンがありますが、わかりやすいのは名前の最初か最後の音をとったものです。男性だとニコラス(Nicolás)→ニコ(Nico)、ギジェルモ(Guillermo)→ギジェ(Guille)、フェルナンド(Fernando)→ナンド(Nando)、アルベルト(Alberto)、ロベルト(Roberto)→ベルト(Berto)、ベト(Beto)、女性ではエスペランサ(Esperanza)→エスペ(Espe)、ベアトリス(Beatriz)→ベア(Bea)、グアダルーペ(Guadalupe)→ルペ(Lupe)など。これは日本でカズヨシ→カズのような感じなので納得がいきますね。
ほかには、名前の最初か最後の1~2音節をとってiをつけるタイプもあります。男性だとアントニオ(Antonio)→トニ(Toni)、オスカル(Óscar)→オスキ(Osqui)、女性だとスサナ(Susana)→スシ(Susi)、コンセプシオン(Concepción)→コンチ(Conchí)など。これはパパがパピ、ママがマミになるのと同じですね。
ふたつの名前を持つ人はそれを複合させて短縮形をつくることも。男性ではフアン・マヌエル(Juan Manuel)→フアンマ(Juanma)、ホセ・ミゲル(José Miguel)→ホセミ(Josemi)、女性だとマリア・テレサ(María Teresa)→マイテ(Mayte)、マリア・デル・カルメン(María del Carmen)→マメン(Mamen)など。
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〈父と息子、母と娘が同じ名前ということもスペイン語圏のあるある〉
こんな感じで本名と短縮形を比べるとたいていは「なるほどね」となるものの、たまにルールがよくわからないものも山ほどあります。ここにいくつか挙げてみます。
〈男性〉アントニオ(Antonio)→ノノ(Nono)、フランシスコ(Francisco)→パコ(Paco)、クーロ(Curro)、キコ(Quico)、ホアキン(Joaquín)→チモ(Chimo)、エドゥアルド(Eduardo)→ラロ(Laro)、ゴンサロ(Gonzalo)→チャロ(Chalo)、イグナシオ(Ignacio)→ナチョ(Nacho)、イニャキ(Iñaki)
〈女性〉ホセファ(Josefa)、ホセフィーナ(Josefina)→ぺパ(Pepa)、ペピ(Pepi)、フランシスカ(Francisca)→パキ(Paqui)、ロサリオ(Rosario)→チャロ(Charo)、マヌエラ(Manuela)→ネリ(Neli)、マリア・ヘスース(María Jesús)→チュス(Chus)、サンドラ(Sandra)→チャナ(Chana)
などなど。
ちなみに20数年前にセビージャの友人宅に居候させてもらっていたのですが、彼女の本名はホセファでした。自分ではペパと名乗っていましたが、家族はペピと呼んでいて「ペピだと子供みたいな気がして嫌なの。私はペパ!!」と言っていました。そういうこだわりもあるのですねえ。
また、スペイン語では名前の下に-ito(-cito)、-ita(cita)という文法用語でいう示小辞をつけて愛称をつくることも多々あります。男性だと、フアン(Juan)→フアニート(Juanito)、ラモン(Ramón)→ラモンシート(Ramoncito)、女性だとエバ(Eva)→エビータ(Evita)、カルメン(Carmen)→カルメンシータ(Carmencita)など。これはどちらかと言うと自分で名乗ることよりも、愛称としてまわりからそう呼ばれる方が多いです。
さてさてスペイン語圏のお友達がいる方、いつも呼んでいるその名前はお友達の本名ですか?