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こんにちは~北杜・山梨特派員の水月です。
「人気の山梨県北杜市"田舎暮らし"の楽しみ方」も20回を迎えました。今回は「水張田(みはりだ)」のある風景」です。「水張田」は短歌に使われる言葉で、田んぼに水が入り、お田植えまでの水だけが張られた時期の田んぼのことです。俳句の季語では「田水張る」などがありますね。
トップの写真から西を向けば南アルプス連峰が望めるここは、北杜市明野町浅尾地区。
大寒の頃には、山々が真っ白に見える日もあります。
ガイドブックにはもちろん、ネット上でも取り上げられないこの場所は、最近わたしの秘密の定点観測地点になっています。
こちらは、同じく明野町の浅尾新田地区。ここからも、南アルプス連峰が見えています。特に甲斐駒ヶ岳の美しさが際立っていますね。
5月もなかばを過ぎると、お田植えが終わっている田んぼもちらほら見かけます。この小さな稲が育ち、秋には実りを迎えるんですね。新米の季節が今から楽しみです。
22年前に、ここ明野町(当時は明野村)に越してきたんですが、地元の方が「田植え」ではなく「お田植え」と「お」をつけて呼ぶことに驚きました。それだけ田んぼを、お米を育てることを大切に暮らしているのだと感銘を受けました。
(写真提供:YasuoMaeda)
夕暮れ。甲斐駒ヶ岳がくっきりと浮かび上がるように見えています。気温が下がり空気が澄んでいるのでしょう。
同じく明野町の御領平(ごりょうだいら)地区です。
(写真提供:YasuoMaeda)
ここからは、八ヶ岳が田んぼに映る姿も見られます。
この風景、筆者の家の北側の窓から見えるんですよ。八ヶ岳が見える「ピクチャーウインドウ」を日々楽しんでいます。これから移住して家を建てるという方は、好きな山や風景が見える窓を設置するのもおすすめです。
水がそこにある。それだけで癒されますよね。植物を動物を人を潤す水。太陽の光を浴びてきらめく水。山々を空を木々を映す水。どんな入れ物に入れても水平を保つ水。
人は、水なくして生きられません。
だからこそ、生きる糧である米が育つ田んぼに水を張られた様子に、心揺さぶられるのだと思います。
これから夏へ田んぼの稲は、日に日に緑を濃くしのびのびと空へ向かっていきます。
「水張田のある風景」は、その稲の緑が水を覆い隠すまでのあいだだけのささやかな楽しみなんです。田舎暮らしの醍醐味がここにあるといっても過言ではないでしょう。
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「人気の山梨県北杜市"田舎暮らし"の楽しみ方」バックナンバーはこちらです。
第1回「定点観測」
第2回「野鳥観察」
第3回「山菜を満喫」
第4回「空を眺めて」
第5回「薪ストーブ」
第6回「野の草花に親しむ」
第7回「蝶とたわむれて」
第8回「小さい秋みつけた」
第9回「石仏に親しむ」
第10回「甲州弁を学ぶ」
第11回「スモークベーコンを手作りする」
第12回「庭に宿根草を植える」
第13回「アマガエルは友達」
第14回「お庭でバーベキュー」
第15回「マンホールコレクション」
第16回「夕暮れにたたずむ」
第17回「郷土料理をいただく」
第18回「マイ富士山スポットを見つける」
第19回「桜を愛でる」