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本州では紅葉が始まる11月、すでに北海道では初雪の便りが届く季節です。
紅葉のピークは過ぎましたが、この時期ひときわ美しい紅葉があります。
「カラマツ」は、北海道のほぼ全域で見られるマツです。
本州では長野や東北などの標高が高いところで見られるカラマツですが、寒冷地の北海道では、山に限らず、平地でもよく見かけます。
そのカラマツ、実は晩秋の北海道には欠かせない美しい景観を作っている樹木で、ほかの木々の紅葉のピークが過ぎたときこそ、その存在感が際立ちます。
もともと北海道には自生しておらず、明治期に本州から種子を持ち込み、苗を育てて植樹したことから、北海道で見られるカラマツが生えているところは人工林です。
このため、カラマツはまっすぐに並んでいたり、1か所に集まっていたりと、自然の風景のなかで美しいコントラストを作り出している点も特徴のひとつです。
そして何より、曇った日にこそ黄金色が強調されるのもまたカラマツ林の美しさだと思います。
カラマツといえば、日の光に照らされて黄金色に光る紅葉した葉が印象的ですが、雲が出ているときには、雲間から日が差している日向の場所と日陰の場所のコントラストは、カラマツの黄金色がより強調されて見える風景です。
特に夕方、山間の道を通っていると、雲による影と山による影ができているなか、そこだけがスポットライトを浴びているかのような風景をよく目にします。
こちらの写真は後志エリアの喜茂別町で遭遇したカラマツ林のものです。厚い雲の間から差す陽光が、ひと筋、ふた筋とカラマツを照らしている風景です。
光の加減で、風景のこの部分だけを切り取ると、まるで絵画のような幻想的風景に見えています。
曇り空からカラマツ林にだけ日が当たっている風景。曇った薄暗い空に黄金色が映えます。
ちなみに手前に写っているものは、収穫されたビート(てんさい)です。
山腹にいろいろな樹とともに生えているカラマツは、さまざまな色のコントラストが美しいのはもちろん、もうひとつ面白いのは、白樺との共演です。
11月初旬に道北を旅していると、"カラマツの手前に葉が落ちてしまった裸の白樺"がセットになった景色をよく見かけます。
通常、カラマツの幹の表面は暗く濃い色なのですが、白樺の木が手前にあることで、遠くから見ると白い幹に黄金の葉が美しい木のように見えます。
美瑛町のカラマツ林と畑の人が造り上げた息をのむような美しさは、やはり晩秋、そして曇りの日にも健在です。
美瑛の丘からは、どの方角を見ても黄金色のカラマツが目に入ります。
羊蹄山の麓、京極町でも秋まき小麦とカラマツ林の風景。
遠くに、近くに、山の麓に広がるカラマツ林と畑に沿って生えている防風林のカラマツの風景です。
タイミングが合えば遭遇できるかもしれない雪の日のカラマツ林。
カラマツは、日本のマツ類のなかで唯一の落葉樹で、雪が降る頃には葉は落ちてしまいますが、特に平野部に先駆けて雪が降る山間部では、まだ黄金色のカラマツ林と、地面に白く積もる雪のコントラストが見られることも。
道央エリアの観光スポットでは、支笏湖周辺がカラマツ林が見られる場所のひとつです。
国道453号線や三国峠付近では道路沿いや視界に入る山並みにカラマツ林が見られるほか、千歳市から支笏湖や支笏湖温泉方面へ向かう「支笏湖スカイロード」でもカラマツが見られます。
北海道の最も有名な観光スポットのひとつ「青い池」(白金青い池)にもカラマツ林があります。
青い池の周りに見える黄金色の葉をつけた樹がカラマツですが、青い池の象徴でもある池の中の立ち枯れた樹もカラマツです。
また、青い池へ向かう道道966・十勝岳温泉美瑛線は、白樺街道と呼ばれていますが、この道沿いにはカラマツも見られます。
北海道の晩秋を彩る「カラマツ林」は、北海道のあちこちで見られる樹木です。
ほかの広葉樹の紅葉が終わり、雪景色が広がるまでのわずかな期間にのみ見られる貴重な風景は、ドライブの際にぜひ探してみてください。