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11月初旬。JR旭川駅から車で約1時間、JR上川駅からバスで約30分の層雲峡温泉は、紅葉の季節をとうに終えていましたが、層雲峡エリアに入るまでは第2の紅葉といわれるカラマツの林が断続的に続き目を楽しませてくれます。
そしてこの断崖絶壁が見えてくると、いよいよ層雲峡温泉です。
峡谷の真っ只中にある層雲峡温泉は、温泉水の心地よさはもちろん、この峡谷を眺めながらの湯浴みが醍醐味のひとつです。
そしてこの日、この峡谷のすぐ背後の山々には、すでにうっすらと雪が積もっていました。
層雲峡温泉には、ひと足先に冬が訪れているようです。
旭川門別自動車道(2022年11月現在無料区間)から上川層雲峡IC・国道39号を経由し層雲峡温泉に入ると、前方の高台に見えてくる白い建物が、今回の目的地「ホテル大雪 ONSEN & CANYON RESORT」です。
15時頃に到着してチェックイン。駐車場への誘導を担当するスタッフの方が笑顔で出迎えてくれます。
そしてロビーに入ると、真っ先に目に入ってくる解放感あふれる館内にワクワク感が高まりました。
フロントに隣接するロビーラウンジは、ゆったりとした空間にさまざまなデザインのイスやテーブルがあり、思わずどのイスにも座りたくなります。
座ってみると、とても居心地よく、ラウンジに並んだ本を読んだり、フリーのウェルカムドリンク(18:00まで)を楽しんだり、時間を忘れて過ごせるスポットです。
なかにはパソコンを持ち込み、仕事をしている人も見かけます。
そしてこのイスやテーブルは上川エリアに工房が点在する旭川家具だそう。スタイリッシュで座り心地がよい旭川家具でくつろぐチャンスです!
そして客室へ。「ホテル大雪」の客室は、「和室」や和室にベッドの「和風ツイン」、「和洋室」「デラックスツイン」「スタンダードツイン」「特別室」があり、今回は「スタンダードツイン」に宿泊。
23㎡の「スタンダードツイン」にはソファセットもあり、広々と過ごすことができます。
客室のデスクに用意されていた緑茶ティーバッグなどのお茶セットの横には、温泉まんじゅうもありました。
温泉に入る前にはエネルギー補給が大切なので、黒糖風味のおいしい温泉まんじゅうを。
タオルや浴衣、大浴場へ行く際に便利な手提げバッグなどのほかに、客室備え付けの備品には、スイッチ付きの電源タップもありました。USBを直接差し込んでも使えてとても便利!
ロビーラウンジを見ても、この電源タップからもワーケーションにもぴったりな環境です。
もちろん、スマホの充電にも安心。
そして客室のカギは、ひと部屋につき2個ずつ渡してもらえるので、好きなタイミングで気兼ねなく温泉タイムを楽しめます!
ホテル大雪には、3カ所に大浴場があります。いずれの大浴場も男女の入れ替えがありません。
また、24時間、いずれかの大浴場が利用できるので、連泊で外出せずゆっくりホテルステイする場合にも、思う存分温泉を楽しめるところがポイントです。
趣向が異なる3つの内湯と2つの露天風呂は、温泉のエネルギーも高めで短時間ずつ入浴するのがおすすめです。
このため、それぞれの温泉を満喫するには、できれば連泊がおすすめです。
なお、日帰り温泉入浴(通常利用時間11:00~17:00/大人800円・子ども600円)もすべての大浴場・露天風呂を利用できますが、清掃のため入浴できない時間帯があります(詳細は公式サイトをチェックしてください)。また、宿泊者が多い場合のみ15時で終了となるので、事前にご確認ください。
「ホテル大雪」の夜は、ビュッフェダイニング「HINNAの森」(ヒンナの森)でディナーを楽しみます。
名前に「森」がついている通り、全体が木のぬくもりにつつまれ、ダイニングスペースは、より森のイメージを感じる落ち着いたグリーンのイスも印象的です。
ディナータイムは、入り口で担当スタッフの方に夕食チケットを渡すと、席まで案内してもらえます。
北海道には、北海道産の食材を使ったビュッフェスタイルの食事を提供するホテルは少なくありませんが、HINNAの森のブッフェダイニングは、よりローカルフードを楽しめるメニューが多くあるように思います。
こちらは定番のジンギスカン鍋。どさんこのソウルフードです。
ブッフェのカウンターには、タレ付きジンギスカン用の肉やモヤシ、ネギなどの野菜が陳列され、お好きな具材をお皿に盛り、自分のテーブルで鉄鍋の上で焼いて食べることができます。
ジンギスカンを食べ慣れている道産子も、ジンギスカンがあるとなると、やはり食べてしまいます。
美味!
こちらの野菜たっぷり、サケもたっぷりの汁料理は「オハウ」といって、アイヌ伝統料理のひとつです。
昨年、平取町で初めてオハウを食べて以来、大好きになった料理ですが、ここでまたおいしいオハウに出会いました。
北海道の郷土料理"三平汁"や"石狩鍋"は、オハウに由来するといわれ、道産子にとっては、より馴染み深い味なのかもしれません。
そのオハウですが、食べ慣れた三平汁や石狩鍋よりもサケの味がしっかりと味わい深く、スープにもダシが利いており、とても美味しく、二晩連続でいただきました。
そしてこちらのオハウは、地元のアイヌの方直伝のレシピで作っているそう。
もし、こちらでディナーブッフェをいただく機会があれば、ぜひともこちらのオハウを食べてみてください。
このほか、北海道の郷土料理の「屯田汁」(だんご汁)やアイヌ伝統料理「ルイベ漬けシト」(士別産いももちとサケの醤油漬け)、ローカルグルメの「塩やきそば」(層雲峡から車で2時間圏内の北見で特に有名)や、「エスカロップ」(根室のローカルグルメ)を自分でアレンジできるバターライス、ポークカツ、デミグラスソースも並んでいます。
層雲峡は、峡谷の中にありますが、オホーツク海側、日本海側の中間にあることからも、海の幸・山の幸がより豊富に楽しめるラインアップが印象的です。
特に「ホテル大雪」では、料理の品数などで「すごい料理!」といわれること以上に「おいしい料理」と言ってもらえるようなメニュー開発に日々、試行錯誤をされているそう。
北海道郷土料理のほか、本格ベトナム料理の「海鮮と春雨の冷菜」(ベトナム人シェフ担当!)があったり、フェットチーネで作った「きのことアサリのパスタ」があったり、フランス料理の「キッシュ」があるなど、北海道産の食材を使いながら、その工夫と力の入れ具合はお料理のラインアップを見ると感じられると思います。
季節ごとにメニューを変更するほか、日常的なマイナーチェンジもあるので、毎日まったく同じ料理ではないことも書き添えておきます。
食事と一緒にアルコールをいただく場合は、テーブルに備え付けのドリンクメニューから選んで。
アルコール専用のカウンターで注文できます。
写真はグラスで注文したスパークリング(550円/ボトルは1,430円)。
温泉がとてもよかったホテル大雪ですが、つい、食事の説明が多くなってしまいます。
そんな大満足の食事、朝食メニューからは、大人気の海鮮丼。
お刺身をはじめとする好きな具材を選んでオリジナル海鮮丼を作っていただきます。
おいしそうなクロワッサンや自分で作れるホットサンドなど、パン食用のメニューも充実していますが、この日の朝は、"ごはんのお供"が豊か過ぎて、思わず和食メニューに。
ごはんは、空知産「きたくりん」。イクラやタラコに山わさび。焼き鮭のほか、シシャモは自分で炙っていただけます。温泉卵も美味でした。
和洋折衷な"朝カレー定食"も実現します。
これだけの種類を網羅するには、やはり、2泊以上がおすすめです。
館内には、東館1階、"チニタの湯"へ向かう途中に「休憩室・やすらぎ文庫」があります。
靴をぬいでじかに座って過ごせるスペースです。
絵本や図鑑が並んでおり、温泉に入った前後のフリータイムにゆっくりと過ごすことができます(大人向けの本はロビーラウンジの書棚にあります)。
ホテルロビーからもすぐ目に入るところにある「キャニオンモール」は、リニューアルから間もないお土産ショップです。
商品のディスプレイがとてもセンスよく、見やすいこともあって、通りがかると吸い寄せられるように店内へ。
上川エリアの地酒やクラフトビール、ジャムやハチミツ、鮭皮チップスなどの珍味や定番の温泉まんじゅうなどの食品のほか、地元素材を使ったコスメ、地元の作家が手掛ける革製品やアクセサリーなど、思わず手に取りたくなるものがたくさんあり、特に小さくてセンスがよい商品は、お土産に、自分用にも買いたくなる品揃えです。
そのなかで今回目に留まったのは、希少な国産ハッカを栽培する滝上町のハッカを使った「ハッカ飴」など。
北海道の老舗でハッカ飴や流氷飴で知られる「永田製飴」の創業100周年記念パッケージで販売していました。
お土産のほか、ちょっとした日用品などもあり、忘れ物をしたときにコンビニ使いもできるショップです。
ホテルに宿泊しても、日帰り温泉でもぜひ寄りたいと思ったのは「TAISETSU BAKERY Café & Bar」。
「キャニオンモール」の向かいにあるカフェ&バースペースは、朝9時の開店とともに焼きあがる北海道産小麦とライ麦を使ったパンが人気です。
カンパーニュやクロワッサン、フォカッチャやライ麦パン、マフィンやワッフルと、食事系からスイーツ系までバラエティ豊かなパンが並びます。
人気のパンは、オホーツクの塩を使った「塩パン」や、「木苺のメロンパン」だそう。
特に木苺のメロンパンは、午前中に売り切れてしまうことも多いそうです。
パンを選んだり、コーヒーを飲んだりしている間にも「パンを取り置きしてもらえませんか」というお客さんが次々と訪れていました。
こちらでは、特定のパンの取り置きはしていないので、どうしても欲しい!というパンがある場合は、午前中のなるべく早い時間帯に来店してください。
ちなみに木苺がしっかり入った「木苺のメロンパン」(320円)は、人気にたがわずとてもおいしかったです。
個人的には「木苺のクロワッサン」もおすすめ。友人は、外側がカリっ中がフワっとした「ワッフル」を絶賛していました。
2泊3日、3種類の大浴場、2種類の露天風呂を制覇し、層雲峡の温泉を堪能した「ホテル大雪」ステイ。
いつもは、いろいろなところでより多くの体験を、と、つい1泊ずつ移動してしまいがちなのですが、今回改めて連泊のよさを実感した滞在になりました。
そして3日間、好きなだけ温泉に浸かったせいか、空気が乾燥する北海道のこの季節でも、肌がもっちりとして調子がよい気がしています。
これからの季節はいよいよ寒さが増す北海道ですが、例年、1月から2か月半に渡り「層雲峡温泉氷瀑まつり」が開催されるので、見どころも満載です。
層雲峡温泉で、温泉もグルメもイベントも楽しんでみませんか。
・車でJR旭川駅より約1時間10分(約66km)、旭川空港より約1時間10分(約72km)
・車で札幌より約2時間30分(約200km)