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スペインでは1月6日まで完全にクリスマスモードなので、日本人にとってはお正月だという感覚はありません。そんな中で、唯一新年を迎える気分を味わえるのが時計の針が元旦の0時になる時にスペイン中で行われる”ある習慣”です。
それは、元旦の0時、すなわち夜中の12時を知らせるために12回鳴る鐘の音に合わせて12粒のブドウを食べること。上手に食べることができると、良い1年になると言われているのです。
スペイン各地の市庁舎前の広場などで年越しイベントが開かれ、そこに鐘の音を聞きに行く人もいますが、寒い冬の夜、また大晦日のディナー直後(スペインのディナータイムは遅いので、終わっていないところもあるはず)なので、ぬくぬくと家で過ごす人が大半。その場合はテレビ中継を見ながら12粒のブドウで験担ぎをします。
スペインのNHK的放送局RTVEが、マドリードの中心地プエルタ・デル・ソル広場から年越しイベントを生中継するのです。広場に立つマドリード州政府庁舎の建物には時計塔があるので、大勢の人が詰めかけます。この時計が12回の鐘を鳴らす様子は全国に放映され、それに合わせて食べる、というわけ。この時計はスペインで1番有名な時計と言えるでしょう。
ブドウを食べ終わると、スパークリングワインで乾杯してハグやキス。そして年越しイベントを催している広場では花火が上がり、盛大に華やかに新年を迎えます。
この12粒のブドウで新年の幸運を願う習慣は比較的新しく、20世紀のはじめに広まったそうです。豊作であまったブドウを大量に売るためにアリカンテのブドウ農家が思いついたのだとか。今では大晦日の夜になくてはならない国民的行事となりました。