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最近のスペインの子ども達はクリスマス期間中に2回プレゼントをもらう傾向にあります。でも、なんで2回?
実は、サンタクロース(スペインでは“パパ・ノエル”と呼びます)が台頭したのはここ数十年の話なのです。だいたい1970年以降だと言われています。もちろんクリスマスプレゼントの習慣はそれ以前からありました。誰が持ってきてくれたのかというと、ラクダに乗った東方の三賢王です。
聖書によると、西にひときわ光る星を見つけて救世主の誕生を知った三賢王(三賢者、三博士と言われることも)は、ラクダに乗って礼拝に向かうことを決めます。星に導かれ、何日もかけてベツレヘムに着き、無事イエスと対面を果たします。その時に白髪白髭のメルチョール王は黄金、赤毛のガスパール王は没薬、そして黒人のバルタサール王は乳香を贈りました。メルチョール王はヨーロッパ人、ガスパール王はアジア人、バルタサール王はアフリカ人を表していると言われていて、この三賢王がイエスを訪れたことは、イエスが神の子として公に現れたと解釈されています。よって1月6日は公現祭と呼ばれ、スペインでは祝日に定められています。
このエピソードから、スペインでは1月5日の夜にラクダに乗った三賢王が子ども達にプレゼントを届けるとされてきました。
サンタクロースが定着した今は、スペインの子どもの多くがサンタクロースと東方の三賢王の両方からプレゼントをもらうようになってしまいました。我が家にはスペインの伝統通り三賢王にしか来ませんでしたが、義兄宅に来るサンタクロースがうちの子どもにもプレゼントを置いて行ってくれました(笑)。
現実的な話になりますが、スペイン人のママ友達いわく「本当は東方の三賢王だけでいいのだけれど、2週間あるクリスマス休暇の最初にサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれれば、休み中にそれでたくさん遊べるから」と。一理ありますね。それでサンタクロースからのプレゼントとしてオモチャを与え、三賢王のプレゼントには文房具や本、洋服などの必需品を準備するというママ達もいました。ちなみにプレゼントってひとつではないんですよ。祖父母やおじおばなどの親戚からももらうし、親からも複数もらうことが多いので、結構な数になるのです。
子ども達は三賢王宛の手紙にほしいものを書く習慣もあり、クリスマス近くになると町中に三賢王宛のポストが出ます。年が明けて公現祭が近づくと、三賢王のお使いが子ども達から手紙を預かるというイベントも。
1月5日の夕方から夜にかけては、スペイン各地で三賢王のパレードが催されます。子ども達は自分の町に着き、夜になったらプレゼントを届けに来てくれる三賢王に会いたい一心で見に行きます。このパレードでは観衆に向かってキャンディが投げられるので、それをもらうという楽しみも。中にはちょっとしたオモチャを投げるところもあるそうです。パレードも終わり、寝る前に子ども達はプレゼントを持ってきてくれた三賢王とラクダに飲み物や食べ物を置いてからベッドに入ります。我が家でも子どもが小さい時は、ぐっすり眠っている頃合いを見計らってプレゼントを置き、三賢王のお菓子を食べたりラクダ用の水を捨てたりしたものです。
サンタクロースには申し訳ないのですが、私は子育てを通して知ったスペインのこの東方の三賢王の伝統が好きで、これからもずっと続いてほしいと思っています。