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英国人にとって、パブは欠かせない社交場です。
ビールなどお酒を飲む場合はもちろんコーヒー紅茶やソフトドリンクだけでもいいし、昨今はランチやディナーなど食事が充実しているお店も多くなりました。
またキッズメニューを用意して、子供連れに利用しやすいパブも少なくありません。日本のようにファミレスが全国的に浸透していないイギリスでは、パブがその役割を担っているとも言えます。
その代表格が、チェーン展開している「ウェザースプーン(Wetherspoon)」グループ。1979年創業のパブチェーンで、イギリスとアイルランド共和国に800以上という店舗数を誇ります。
ウェザースプーン系列パブの大きな特徴は、まず建物の選定。昔は映画館や劇場や銀行だったものを改装し、地元民にとって懐かしい想い出のある場所を保存しつつパブとして再生させることを得意としています。
たとえば筆者がつい先日、北ヨークシャーの海岸町スカボローでコーヒーを飲んだ「ザ・ロード・ローズベリー(The Lord Rosebery)」のその1つ。
屋号にもなっているローズベリー卿の顔写真は、看板だけでなくメニューの表紙にも印刷されています。
彼は自由党(Liberal Party)の政治家で、1894年~1895年と短期間ながら首相もつとめた人。首相を退任したあと、この場所を自由党の社交クラブとしてオープンしました。
そんな歴史がある建物だから、パブの屋号に彼の名前を冠したわけですねー。
さて、ビールやワインなどのお酒でなくコーヒー&紅茶を飲む場合。ここウェザースプーン系パブでは一律£1.45(2023年2月現在)でボトムレスなんですよ!
カウンターで注文して代金を払うと、マグカップを1つ渡されます。そしてカウンター近くに設置されたコーヒー&紅茶マシンから好きな飲み物を選ぶだけ。
筆者はこの日、次の用事があったのでカプチーノを1杯だけ飲みました。
でも時間をかけて過ごすならば1杯目にエスプレッソ、2杯目はカプチーノ、3杯目は紅茶・・・というのも全然アリ。友人とお喋りに花を咲かせたり、ゆっくり読書やPCワークにも活用できますね。
またウェザースプーンの創業者であり現在も社長をつとめるティム・マーティン氏によると「パブは人々が集まって語らい合う社交の場。よって音楽やスポーツ中継は流さない」という方針。
イギリスのパブでは音楽が大音量でうるさかったり、サッカー試合のTV中継でサポーター達の喧騒が度を過ぎている事もたまにあるので、静かに過ごしたい派にとっては嬉しいポリシーと言えます。(サッカーW杯など一部例外あり)
もちろんロンドン中心地にも沢山あるウェザースプーン系列パブ。
シャーロック・ホームズの聖地ベイカーストリート駅に隣接した「ザ・メトロポリタン・バー(The Metropolitan Bar)」は昔、メトロポリタン鉄道会社の本社があった建物。
またシティと呼ばれるロンドン金融街にある「ザ・ナイツ・テンプラー(The Knights Templar)」は、元ユニオン銀行の支店だった所です。
ロンドンをはじめイギリスに来たら、ぜひ本場のパブを味わってみたいもの。でも最初はちょっとドキドキ・・・?
そんな英国パブ初心者にも気軽に利用できるのが、庶民的な料金設定のウェザースプーン系列パブ。まずはコーヒー1杯から、試してみませんか?!