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北海道函館市にある道の駅「縄文ロマン南かやべ」に立ち寄ってみたら、「縄文ロマン」を実体験したのでご紹介します。
目次
函館市にある道の駅「縄文ロマン南かやべ」は、函館市中心部から車で約1時間。
もともとは茅部郡南茅部町だったエリアで、現在の住所表記は函館市臼尻町です。
緩やかな曲線状に建てられた建物には、道の駅と隣接した「函館市縄文文化交流センター」があります。
こちらのセンターは歴史博物館で、函館市内で発掘された縄文遺跡の土器や石器などを展示しています。
なかでも著保内野遺跡から発掘された「中空土偶」は、北海道で初めて国宝に指定されました。
発掘された当時はそのニュースで持ち切りなったていたことを思い出します。
このため、道の駅「縄文ロマン南かやべ」は、国内で唯一の「国宝がある道の駅」でもあります。
数年前にも立ち寄ったことがある「道の駅縄文ロマン南かやべ」でしたが、今回初めて「史跡 垣ノ島遺跡」の入り口があることを知り、中に入ってみました。
実はこちら、ユネスコ世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の史跡のひとつで、道の駅の近くにあることは知っていたのですが、入り口が道の駅の建物伝いであるほど近くとは知らず、世界遺産がこれほど近くにあったことに驚きました。
しかも9時から16時まで、自由に見学ができます。
早速、入り口を入ってみると、すぐに海が見えてきました。
道の駅の建物側からは、想像もしなかった光景です。
さらに進むと建物からつながっている高台にスクリーンがあり、垣ノ島遺跡の簡単な説明動画を上映しています。
冬には少し寒いのですが、この動画を見たあとでは、まるで知識がなく訪れたにもかかわらず、急に遺跡に興味がわいてきました。
というわけで、こちらを訪れたら、ぜひこの動画(確か5分ほどだったと思います)を見てから遺跡をめぐってみることをお勧めします。
実はこの時、運よくガイドをしてくださるスタッフの方がいらっしゃいました。
説明動画を見たあと、遺跡についておしえていただくチャンス!とばかり、あれこれ質問をしました。
質問への回答と説明があまりにも興味深く、思わず"にわか"ではありますが、縄文文化ファンになりそうなほど。
なんと、こちらの垣ノ島遺跡は、縄文時代、それも今から9000年ほど前から約6000年にも渡り、縄文人が定住していたそうです。
9000年も前という太古の昔を想像しても、また、6000年もの長い間、同じ場所で縄文人が生きてきたことを想像しても、今の時代と思わず比べてしまい、数千年も同じ場所に縄文人が住み続けられるほど平和な時代が長く続いたことに驚きを禁じえませんでした。
また、縄文時代は"集落の展開"ごとに6つのカテゴリーに分けられているそうですが、一番古い時代を除き、5つのカテゴリーに渡って縄文人の暮らしが営まれてきた遺跡は、ほかにはないそうです。
※集落の展開とは、住居のほかにどのような施設(墓や貯蔵施設、祭祀場など)が造られたりどのように設置されるようになったかなど。
そしてさらに詳しくおしえていただいたのは、垣ノ島遺跡には縄文人がおこなっていた"祈り"の儀式をおこなう場所(祭祀場)があるのですが、周囲の目印となる山と夏至の日の出を結ぶ直線、そして、当時は活火山だった北海道駒ヶ岳の手前にある山と北極星を結ぶ直線がちょうど交わるところに祈りの場所があるそうです。
縄文人が実際に夏至の日の出などを意識して祈りの場所を決めていたのかどうかは証明できないとのことですが、外国の大昔の文明がとても高度だったことを知ったとき以上に、北海道の縄文人がおこなっていた祈りの儀式やその場所を現在でも意味がある方角と一致していることは、当時の文明・文化をとても身近に感じました。
そして当時もおそらくシンボルツリーとしての役割を果たしていたのではないか、とも推測される栗の木やクルミの木がありました。
ところが、北海道にはもともと栗もクルミも生えていなかったそうで、これらの木は縄文時代にはすでに本州から持ち込まれていたのではないかとのことです。
(当時同様に食べられていたトチノミは、北海道に自生していたそう。)
また、垣ノ島遺跡や本州の遺跡では、北海道日高エリアで産出される"石"がみつかっているそうで、はるか昔から本州との行き来、日高と道南エリアの行き来があり交易がおこなわれていたのかもしれません。
「縄文ロマン」という言葉は、これまであまりピンと来ていなかったのですが、「垣ノ島遺跡」の地に立ち、当時の面影を伝える遺跡を目の当たりにすると、急に縄文時代が身近に感じられ、同時に「縄文ロマン」という言葉の意味を実感しました。
実は、知る人ぞ知る「パワースポット」とも言われているそうですが、海を見下ろす高台に築かれた縄文人が定住していた「垣ノ島遺跡」の発掘は、まだほとんど(発掘されているのは全体のわずか2%ほどとのこと!)進んでいないそうです。
まだ多くの秘密が埋蔵されている可能性があるという点からも、何かしらパワーが眠っていそうな印象を受ける垣ノ島遺跡です。
この日はあいにくのお天気で、厚い雲が空を覆っていましたが、強い風が吹いていたので、時折雲が吹き飛ばされ、空が明るくなると、真っ青な海の絶景が見渡せました。
スタッフの方によると、とても風が強かったのですがとりわけこの日は海が青く見える日だそうです。
なお、垣ノ島遺跡は、冬の積雪が多い日でも、通路は除雪機で通行できるように整備しているとのことで、1年を通して見学が可能です。
当初の想像以上に「垣ノ島遺跡」での体験は興味深く、車で8分ほどでアクセスできる「大船遺跡」(おおふねいせき)へも行ってみました。
大船遺跡も「北海道・北東北の縄文遺跡群」のひとつで、今から約5,500年~4,000年前に縄文人が暮らしていた遺跡です。
紀元前3,500年頃から紀元前2,000年頃までの当時は、すでに竪穴建物などが造られていたそうで、土器や石器も多用されていたそうです。
大船遺跡の傍らにたくさん積まれていたのは「石皿」です。
大船遺跡もまた太平洋を臨む高台にあり、冬で木の枝に葉がないので、太平洋がとてもよく見えました。
垣ノ島遺跡、大船遺跡とも縄文人、縄文文化をとても身近に感じることができました。
太平洋が見える高台にあるので、歴史をよく知らなくても場所の雰囲気を感じることができると思いますが、少し知識を得るだけで、とても興味深い見学になると思います。
なお、垣ノ島遺跡がある「道の駅縄文ロマン南かやべ」は、夏季限定で、縄文文化にもつながる"クルミ"が入っている「じょうもんクルミソフト」を販売しているので、次回はぜひ、夏に訪れようと思います。
ちなみに「北海道・北東北の縄文遺跡群」のいくつかの遺跡では、じょうもんクルミソフトのほかにも縄文時代をモチーフにした「縄文グルメ」を販売・提供しているそうです。
じょうもんクルミソフト以外は、北東北での提供のみのようですが、青森へ行く機会があれば、ぜひ縄文グルメを堪能してみたいです。
なお、今回、垣ノ島遺跡でお聞きした内容は簡単なメモしか残しておらず、貴重なお話を聞き漏らしたり、内容を聞き違えている点があるかもしれません。ご了承ください。