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1週間後のフィナーレを前に、バレンシアの各所で“ファヤ/ファジャ”(最後に燃やすオブジェ)の設置が始まっています。私が住む郊外の町でも火祭りが催されるので、我が家のベランダからは今ちょうど設置中の“ファヤ”が見えます。爆竹音も日に日に聞こえるようになりました。
最終日に燃やされる“ファヤ”は日本では“張り子人形”と紹介されることが多いのですが、そもそも一体の人形ではないし、スケール自体が違うのです。現地では、一般に“ファヤ”と呼ばれています。火祭りグループのことも“ファヤ”と呼ぶので、区別するときにはmonumento fallero(火祭りモニュメントの意味)と言ったりします。
“ファヤ”はバレンシア市内だけで400か所近い場所に飾られます。たいていの場所にはそこのグループの子ども部門の小さな“ファヤ”と、大人部門の大きな“ファヤ”の2つがあるので、その数はおよそ800!! “ファヤ”の多いルサファ地区では、少し歩くだけで大小いくつもの”ファヤ”を見ることができます。
さて、今日は火祭りの楽しみ方をお話ししたいと思います。
3月1日から19日まで、毎日午後2時には市役所広場で轟音を楽しむ爆竹ショー“マスクレタ”が開かれます。たった5分程度爆竹が鳴るだけなのに、大勢の人が押し寄せるのですよ。広場の中で聞くには、少なくとも30分~1時間以上前には場所取りに行きましょう。私は先週末、1時間前に行って広場中心部のいい位置を確保して聞きました。ただの爆竹かと思いきや意外とハマるので、何度も聞きに行く人も。バレンシアっ子はマスクレタが大好きで、お祝い事の時にも鳴らしたりします。
観光案内所でもらえる地図や町で売っている火祭りガイドを買って、あちこちの“ファヤ”を見て歩くのがお祭りの一番の醍醐味。時間帯や場所によっては、路上でパエリアを作る火祭りグループや豪華な民族衣装を着た人たちに出くわします。
ところで火祭りは既に始まっていますが、“ファヤ”はいつ完成するのでしょう? 子ども部門の小さな‟ファヤ“は3月15日の午前8時、大人部門の大きな“ファヤ”は16日の同じく午前8時までに完成させないといけないというきまりがあります。つまり、16日からはすべての“ファヤ”を完成した形で楽しむことができるのです。
特に大きな“ファヤ”は、入場料を数ユーロ払って中に入ることができます。気に入った“ファヤ”があったら、中に入ってゆっくり見学することをオススメします。
大きな“ファヤ”のある通りにはイルミネーションが瞬き、夜の火祭りを盛り上げてくれます。
数年前までは、いくつかの“ファヤ”は神戸のルミナリエのようなイルミネーションを設置し、音楽とともに光のショーをしていたのですが、今では近隣の住む人への配慮やエコロジーではないという点から、マルバロサの“ファヤ”だけになりました。マルバロサは海の近くで中心から離れていますが、光と音のショーを見たい方は足を運んでみてください。スタート時間は20時、21時、22時で、17日(金)は23時、18日(土)は23時、24時の回もあります。地図を貼っておきますね。
また、今年のイルミネーションコンテストでは、クバ-プエルトリコ(Cuba-Puerto Rico)の”ファヤ”が1位になりました。隣接するスエカ-リテラト・アソリン(Sueca-Literato Azorín)は2位、クバ-リテラト・アソリン(Cuba-Literato Azorín)は4位。これらのイルミネーションのあるルサファ地区には“ファヤ”もたくさんあるので、火祭りではぜひとも訪れたい場所です。
お祭りでもっとも華やかなプログラムが献花パレードです。民族衣装で着飾った老若男女が楽隊を引き連れて、聖母広場に設置されたバレンシアの守護聖母デサンパラードスの巨大レプリカに花を捧げに歩きます。17日と18日の午後3時半から始まり、夜中の0時頃まで延々と続きます。ルートは、サン・アグスティン広場(Plaza de San Agustín)からサン・ビセンテ・マルティール通り(Calle San Vicente Mátir)を通ってまっすぐ大聖堂に向かうルートと、アルフォンソ・エル・マグナニモ広場(Plaza Alfonso El Magnánimo)前からラ・パス通り(Calle La Paz)を通って行くルートの2つがあります。
火祭り終盤には花火大会も開催されます。今年から場所が変わり、芸術科学都市(Ciudad de las Ciencias)のソフィア王妃芸術宮殿(Palacio de las Artes Reina Sofia)辺りであがることになりました。中心地から少し離れ、不便になります。16日は24時半、17日は25時、18日は25時のスタートです。
火祭りの一番の見どころ、“ファヤ”の点火ですが、コロナ前より時間が早まっていますのでご注意ください。19日は18時にコロン通り(Calle Colón)で火のパレードがあります。その後まず、20時になると各所の子ども部門の小さな“ファヤ”、20時半には子ども部門で1位になった“ファヤ”、そして21時には市役所広場の子ども部門の“ファヤ”に火が付きます。大人部門の大きな“ファヤ”は22時に点火が始まり、22時半は1位になった“ファヤ”、23時に市役所広場の“ファヤ”が燃やされ、火祭りは終了となります。
点火前には打ち上げ花火が上がり、音楽の演奏が入るところもあり、爆竹を使って点火する瞬間は見ものです。ただ、特に大きな“ファヤ”はあまり近寄れないので、真ん前で火の熱さを感じながら見られる小ぶりなものが意外とオススメです。また、大きな“ファヤ”や人気の“ファヤ”は燃えるところを見ようと大勢の人が押しかけます。あらかじめどこで見るか決めておいて、早めに行って場所取りをしましょう。
火祭りが一番盛り上がる15日の夜から最終日までは、タクシーを捕まえるのが困難になります。バスも中心地に入れずルートが変わるので、一番確かな交通機関は地下鉄とトラム。かなり歩くことになるので、歩きやすい靴はマストです!!
また、火祭りにはスペイン中からスリが集まると言われています。日本から来た私の友人もこれまでで2人被害に遭っています。くれぐれもご注意くださいね。