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こんにちは。地球の歩き方岡山特派員のmamiです。
ゴールデンウィーク真っ最中ですね。久しぶりに行動制限のない連休なので県内も観光地は活気づいています。5月は新緑の美しい高梁市成羽町をご案内します。
ここ高梁市成羽町の羽山渓は岡山の秘境だと思います。県道300号線は銅や赤色顔料ベンガラ生産で栄えた吹屋と成羽の両地区を結ぶ交通路として100年前に完成しました。羽山渓に来るには、車一台がやっと通れるだけのこの細い県道を延々と走らせて到着します。
運転免許をとった頃に、どんな場所かも知らず来たことがありますが、あまりの道の狭さに「絶対に前から(車が)来ないで~!」と祈りながら車を走らせたものでした。まさに。「県道」ならぬ「険道」です!
この写真で、この県道の迫力が伝わりますか?奥は「羽山第二トンネル」手前は車道にせり出した岩です。
振り向くとこんな感じです。
このあたりは石灰岩の台地で、炭酸ガスの溶け込んだ水に簡単に溶ける地質です。成羽川の支流の島木川の水の流れが台地を削り、出来上がったのが羽山溪です。
こんな溶食作用のおかげで、このあたり一面には、鍾乳洞やドリーネ、カレンフェルトなど珍しい景色が見られます。
「羽山第二トンネル」を通り抜け、トンネルの出口です。
一見、裂けめのように見えて、「これがトンネル?」って思いますよね。平べったいので匍匐前進をして通るような洞窟に見えますが
カメラアングルをひいてみると、平屋の屋根の高さくらいです。
トンネルの坑門に2.5㍍と書いてありますね。これがトンネルを通過できる車の高さの制限です。トンネルの上を見上げると、更に岩が迫ってきます。
トンネルの中は、今年の1月までは素掘りトンネルで、岩肌がむき出しになりノミで岩を削った跡が荒々しく残っていましたが、補強工事により岩全体がモルタルで覆われました。
安心をして通れるようになりましたがちょっと、一抹の寂しさも感じました。
工事前の岩肌のままのトンネル内部です。トンネルというよりも天然の鍾乳洞を利用した隧道と呼ぶほうがふさわしいと思いませんか。実はそうなんです!ここは元々は鍾乳洞だったんですよ。鍾乳洞を県道にするという発想がユニークですよね。
トンネルの坑門の左側には、私の背よりも低い鍾乳洞の入り口があり、中をのぞいてみても真っ暗です。「穴小屋」と呼ばれる洞窟で棲龍洞(せいりゅうどう)というのが正式名らしいです。
入る勇気なんてありません!
見取り図を見ると、出口付近は高さ30㌢なんて場所もあります!奈良の大仏様の「柱の潜りぬけ」くらいの穴じゃないでしょうか?上の写真では途切れていますが、20㍍ほど奥に「槍立場」と呼ばれる場所があり、水晶殿のように美しく。夏には多く人が涼を求めて来ると書いてあります。看板自体が苔むして古さを醸し出しているので、今現在の話しではなさそうです。
先ほどの「羽山第二トンネル」こそ、この鍾乳洞(穴小屋)の一部を利用して作られたトンネルです。トンネルの周りは、石灰岩の渓谷がつくり出す絶景スポットです。
「羽山第一トンネル」も抜けると「羽山の片洞門」と呼ばれる場所に来ます。こちらは崖の下を県道が通っています。ここも崖を崩して道を通したのでしょうか?よく、崖地には「落石注意」という看板がありますが、もしここにそんな看板があったら怖くて通れませんよね。
この辺りには遊歩道があり、滝も点在しています。
成羽町にはこの場所でしか採掘できない化石や白亜紀の地層が堆積した不整合が見られる全国的にも珍しい場所だそうです。全国的にも珍しい珍百景のようなトンネルを目指してこの秘境に来られませんか?