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【岡山】映画のロケ地にもなった要塞のような広兼邸 ~高梁市成羽町~

mami

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岡山特派員

更新日
2023年6月16日
公開日
2023年6月16日
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吹屋の町並みから4㌔ほど離れた場所に、広兼邸という江戸時代に小泉銅山とローハ製造で富を得たお屋敷があります。下から見上げると反りのついた高い石垣の上に並ぶ建物は、威圧感たっぷりの要塞のような姿です。

私が「広兼邸」を知ったのは、昭和52年に横溝正史原作の金田一耕助シリーズ「八墓村」という映画のロケに使われた時でした。当時、地方の片田舎に映画のロケが来ることは珍しかったので、映画は見ていなくても「八墓村」のロケ地という事で県内では有名なお屋敷です。(ここだけではなく、県内の満奇洞、矢掛本陣。中世夢が原などでもロケを行っています。)蛇足ですが、最近では司馬遼太郎原作の「燃えよ剣」でも使われています。
石垣の下は花畑で、もう少し早く来ていたらツツジが満開だったようです。5月下旬は芍薬やアヤメが咲いていました。

楼門をくぐると庭園が開けます。ほぼ、つつじです。ここは5月上旬に来ると見事な景色だったと思います。

庭から下を見下ろした景色です。元々、庄屋の家柄なので、ここから田畑のようすを伺っていたのでしょうか。

入場料を払った時にいただいた解説には、” 邸宅の向かいには明治初期、天広神社が建てられ、広兼個人の神社として祀られていた。” とあります。それらしい建物が見えます。左の建物が神社っぽいですね。境内も整備されて庭園のようになっているとか。マイ神社を建設するなんて大富豪か権力者じゃないとできませんね!今は静かな里山で当時の賑わいをうかがい知ることはできませんが、銅山とベンガラで栄えていた吹屋の時代にタイムスリップしてみたくなりました。

庭園は細長く奥へ奥へと続いています。

一番奥の土蔵の中は見学が出来ました。高台に建つせいか、水の心配がないのか、土蔵の壁は全て土壁となり、平瓦を使った海鼠(なまこ)壁でないのが特徴でしょうか。

土蔵の中には、花嫁衣装やハレの日に使うお膳、墨絵や書などを展示していました。

離れへ行きます。ここだけが大正時代の建物だそうです。

お茶室や客間、風呂と兼ね備えていますが、当主の結婚式の時に一度使ったきりで、その後は一度も使われていないそうです。
うわ~。こういう謂れを知ると、何か因縁があるのかしらと勘ぐってしまいます。

お庭に水琴窟があるので、見逃さないように。涼やかなきれいな音色です。

お庭から母屋を眺めます。部屋の中にあがって見学することはできません。母屋は二階建てで庭に面した部屋が店の間になります。

台所には、立ち入ることが出来たので興味深く見学しました。多くの人が暮らしていたので、精米場があったり山からの清水を利用した水汲み場などほかの豪邸では見られない設備が整っています。

井戸よりも楽に水が得られそうです。

石垣に面した建物はほとんどが倉庫だったり、馬小屋でした。左端の一段上がった部屋が気になったので覗いてみたら…

6畳ほどの下女部屋でした。光は奥に見える小さな窓がひとつだけなので、非常に薄暗い部屋です。3人ほどの相部屋としても狭すぎるわ…と思ったのですが、帰って調べてみたら10人ほどの女性が暮らしていたようです。それも、建物の右側は厩(馬小屋)左側は厩肥落とし!今ほど衛生状態の良くなかった時代だから臭い、うるさいの劣悪な環境です。厩の窓より、この部屋の窓の方が小さいことに納得のいかない筆者です。

同じ棟でも手前が「番頭部屋」奥が「下男部屋」です。意匠の差もありますが、太陽光が入って来るだけで部屋の衛生さが違って見えますね。

広兼邸を見学し終えたら駐車場にある直売所で野菜や漬物を買って帰りました。地元の方々が野菜や漬物を持ち寄って商いをしているようです。閉店間際だったので買い物をしたら大根をおまけしてくれました。梅干しも昔ながらのすっぱ~い物が手に入ります。

広兼邸のすぐ近くには坑道があります。笹畝坑道といい、吉岡銅山の坑道のひとつです。残念ながらメンテナンスのため臨時休館中でした。整備が終わったら再訪したい坑道です。

住所
〒719-2342岡山県高梁市成羽町中野2710
電話番号
0866-29-3182(成羽町観光協会吹屋支部)
公式サイト
高梁市観光協会公式サイト
開館時間
8:30~17:00
休館日
12月29日~31日
料金
大人400円、小人200円(郷土館や弁柄で館などの入館も一緒になった1,000円もあり)
交通アクセス(車)
岡山自動車道賀陽ICから約55分または、中国自動車道新見ICから約40分
交通アクセス(公共)
JR備中高梁駅からタクシーで約40分
駐車場
普通車30台、バス5台
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