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パリ市に隣接するオー・ド・セーヌ県ブローニュ・ビヤンクール市にあるセーヌ川の中洲・セガン島に、彫刻家の名和晃平さんによる高さ25mのモニュメント「Ether(Equality)」が完成し、その公開式典が2023年6月28日に行われました。この作品は「égalité(平等)」をテーマに、オー・ド・セーヌ県が開いた国際コンペティションで選出されたものです。
セガン島は、以前は自動車会社ルノーの工場があった場所で、現在はその工場跡地を使い再開発が進んでいます。そのセガン島の整備の一環として、オー・ド・セーヌ県は今回のモニュメント作品の設置を決定し、集まった35作品から選ばれたのが、今回、名和晃平さんがフランスのDANAE.IOとタッグを組んで提案した「Ether(Equality)」でした。
作品は十二角形をベースとした多面体で構成された薄いシルバーピングで、高さは25メートル。地面に落下する水滴のシルエットを、上下反転させランダムに積み重ねたデザインです。背後にある建物「ラ・セーヌ・ミュージカル」のデザインと呼応するように建てられています。作品内には直径30センチメートルの鋼管が入っており、それを地下22メートルまで埋め込んだ、「木」が根を張るような構造になっています。
ちなみにラ・セーヌ・ミュージカルとは、最大6000人が収容可能な多目的ホールや1150席のクラシック音楽向けホールなどから構成される、ブーローニュ・ビヤンクール市を代表する文化施設。建築家・坂茂さんとジャン・ド・ガスティーヌさんによる設計です。
今回の国際コンペティションは、2019年に「égalité(平等)」をテーマに開かれました。名和さんは今回の挑戦に対して「平等というテーマが最初あったので、それに対してどういう風に答えるかを一番最初に考えた」と述べ、「(セガン島は)何年かに1回水没するということで、それを構造計算して解決していかなきゃいけない。フランスの法律に沿った設計をしないといけなくて、そこが一番時間かかった」と今回のモニュメント制作について語りました。
式典には坂茂さんも訪れ、名和さんと歓談する一幕も。ブローニュ・ビヤンクール市に新しいランドマークが加わりました。