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タジキスタン西部最大の都市ボフタールを紹介します。今回も当地に暮らす日本人の峻典さんと、行き当たりばったりの週末旅に出かけました。
食の水準は発展途上であるという見方もあります。批評に終始せず、明るくユーモラスなレポートとなるよう心がけます。
食あたりに関しては、どこで何を食べたとしても一定のリスクが伴うというのが同国の現状です。本稿は「安全」のお墨付きではございませんので、旅行者の皆様におかれましてはくれぐれも体調とご相談の上で、本稿紹介店舗の利用をご検討ください。
ボフタールはタジキスタン南西部ハトロン州の州都で、推定11万人の人口を擁しています (Source: タジキスタン政府)。ハトロン州の総人口は推定334万人 (Source: タジキスタン政府; 2020年1月時点) であり、国内最大人口を要する行政区画です。ボフタールはかつて「クルガンチュベ」と呼ばれていましたが、2018年1月に現在の名称に改称されました (Source: 大統領府)。タジキスタンでは頻繁に地名が変更されるため、時折、タクシーを利用する際等に「正しい行先を伝えているはずなのに何故か伝わらない」という不思議な現象が起こります。
現在の名称: Бохтар (ロシア語) – Bokhtar (英語) – ボフタール (日本語)
旧称: Курган-Тюбе (ロシア語) – Qurghonteppa (英語) – クルガンチュベ (日本語)
首都ドゥシャンベからの距離は車で約100km、片道1時間30分程でアクセスが可能です。一方で、パミール高原に向かう主要経路からは逸れているため、時間に制約のない優雅な旅人を除き、敢えてこの地を訪問する観光客はそう多くはないでしょう。果たして、この地を観光目的で訪れる日本人は1年に何人いるのでしょうか。
街の中心部に位置する公園です。写真の奥に輝く建物がハトロン州のお役所です。公園内には勢いのある川が流れており、真夏の夕涼みには最適です。
タジキスタン国内のありとあらゆる都市にそびえ立つソモニの像が、ボフタールにないわけがありません。こちらのソモニ像は漆黒で迫力があり、勇ましさが溢れ出ています。
トリップアドバイザーでは「Museum Bibikhonum (ビービー・ハーヌム博物館)」という名称で表記が成されていたため、ティムール朝の影響を受けた装飾品や出土品を見ることができる機会と捉えて筆者はワクワクしました。
汗だくなりながら博物館のある丘の上まで階段を上がり、建物の中に足を踏み入れるや否や、寝転がっているおじさんに「出てけ出てけ」と身振りで促され、やむなく鑑賞すること無く建物を後にしました。
この地のイスラム教徒 (但し、それに限らない) にとっては、意義のある神聖な場所であろうという憶測の下、強行することは控えることにしました。
ボフタールは内戦勃発時の「反政府勢力の基盤」であり、この傾向は現代にも受け継がれているという記述もインターネット上では目にします。実際にボフタールを訪問してみると、街の人たちから私たちに向けられる視線に特段警戒心等は感じられず、東洋人の姿が珍しいのか好奇心を抱いているようでした。複数回「ニーハオ」と声をかけられましたが、応じた上で「日本から来た者です」と爽やかに笑顔で返答をしました。
先日訪れた地方都市のバザールが評判に反してやや期待にそぐわないものであっため、こちらに関しても「ついでに立ち寄ってみよう」程度の気持ちで訪問しましたが、クルガンチュベ・バザールに関しては物凄く活気がありました。衣類や日用品だけでなく、調理された食べ物やデザートを販売する露店も数多く並んでいました。
首都ドゥシャンベにあるバザールでは、食べ物と食べ物でない品々を販売するエリアは大まかに区分されていますが、クルガンチュベ・バザールにおいては、販売する品物・サービスが激しく入り乱れていました。血や肉汁を滴らせた精肉店の真横に衣類販売店が位置している様は、中々にユニークな光景です。
意識して電車に乗ろうとしなければ、かすりさえしないような代物です。一週間に数回しか停車しないソ連時代の電車を間近で拝むことができる貴重なポイントです。プラットフォームには自由に出入りすることが可能なようで、運賃は乗客のみ乗車時に支払うというシステムです。
実際に電車に乗ってみると、Google Map上の線路を逸脱して進んでゆくではありませんか。峻典さんと筆者は「地図にない線路を走ってる!」として、大はしゃぎしました。
Google Mapでボフタール市内の飲食店を探ってみると、案外タジク料理以外のジャンルのレストランがヒットします。峻典さんの「久々にパスタを食べたい」という希望に同意し、「La Bottega」というお店を選択しました。
1人前: 15ソモニ (約190円)
首都ドゥシャンベ市内でも、脈絡なく「Milano」等イタリアンな名前を店に付ける経営者は多いのですが、タジク料理屋さんで「La Bottega」は一本取られました。完全にクリーミーなパスタのお口になっていた私たちにとっては、ショッキングな発見ではありましたが、このご縁を大切にボフタール風プロフを堪能することにしました。価格は首都圏の相場の三分の二から半分程度でした。油ぎっしゅ感が増しましに感じられたのは、入店時間が午後1時を回っていたためでしょう。
尚、こちらのお店の何らかのルーツがイタリア北東部にないとも言い切れないので、「La Bottega」さんに関しては、あくまでも「(一見すると) 脈絡がないように見える」という筆者個人の感想に過ぎないという点を補足させていただきます。
中央アジア料理を食べ続けていると、次第にこのお馴染みサラダが食卓になくてはならない存在となってゆきます。プロフの油っこい後味を中和してくれる非常に有り難い存在です。
1人前: 12ソモニ (約152円)
至るところでお目にかかることができるお馴染みのスープです。食べ続けることによって、店ごとの味やダシの濃淡の違いが分かるようになります。
1人前: 22ソモニ (約279円)
シャカロブ (Шакароб) というタジキスタンの伝統料理です。峻典さんが「料理名の響きが面白い」というお馴染みの理由で注文した一品です。見ても食べても実態が分からない代物でした。作り方等の詳細をご存じの方がいらっしゃいましたら、どうぞご教示願います。
タジキスタンのその他多くの食べ物と同様ですが、挑戦される場合は、特に時期とお店を厳選することが推奨される料理です。
ヴァフダット通 (просп. Вахдат) とアイニ通 (РҶ059) が交差する中心部のロータリーの一画に位置するトルコ料理屋さんです。ドゥシャンベにあってもおかしくないような、整った清潔感のあるお店でした。
東洋人を目にするのが珍しいのか、入店時には店中のお客さんから視線を向けられましたが、筆者が親指を立てて微笑みかけると、周囲の空気は少しほころんだように感じられました。
1人前: 65ソモニ (約824円)
1人前: 25ソモニ (約317円)
ノン (4切れ): 4ソモニ (約51円)
フレンチ・フライ: 16ソモニ (約203円)
チキン・ナゲット: 20ソモニ (約253円)
行き当たりばったりの滞在であったため、夕方になり宿泊場所を探し始めました。2つの施設に電話をしたものの繋がらず、唯一通じた上に英語での会話が可能であったのがこちらの「Hotel Ramz (Рамз)」です。当日の駆け込み予約であったためやや割り増しされている可能性もありますが、Googleで4.1の評価を獲得しており街の中心部に位置している点を踏まえると、200ソモニ (約2535円) という宿泊料は決して悪いものではないと思います。
「4階で構わないか?」等と聞かれた場合は必ずエレベーターが稼働しているか確認するようにしましょう。無論、若く体力に余裕のある私たちには選択肢はありません。地上階に近い客室は積極的に他のお客様たちにお譲りします。
館内はまるでサウナの内部のような高温状態でしたが、客室にはそれぞれエアコンが取り付けられていました。寝巻やタオル、アメニティー各種も用意されています。お湯も問題なく使用可能です。
支払った宿泊料はてっきり「素泊まり」の価格だと思っていたものの、どうやら朝食が含まれているようでした。朝食会場の営業時間は7:00~8:30です。
翌朝8時過ぎ、筆者がわくわくしながら朝食会場に向かうと、何と会場は既に施錠されていました。今後2度とあるか分からない、このホテルの朝食を体験できる機会が失われたことは非常に残念でしたが、本能に忠実に「働き」、そして本能に忠実に「働くことを放棄する」スタッフを責めることなど、誰ができましょう。
異国の地を訪れた際は、如何に「多くの地を訪れ、多くの物事を経験するか」にエネルギーを注ぎがちですが、このような状況に置かれた際には潔く背を向け、得られなかった体験を想像し続けることもまた、旅の醍醐味ではないでしょうか…。
… 等と屁理屈を捏ねながら、前の晩に利用したトルコ料理屋さんで再度、朝食をいただきました。
トルコ料理屋さんであるにも関わらず、顆粒タイプのコーヒーしか用意がありませんでした。
目玉焼き & ソーセージ: 15ソモニ (約190円)
肉入り目玉焼き: 20ソモニ (約253円)
顆粒タイプのコーヒー: 5ソモニ (約63円)
ボフタールの街中では、仲良く手を繋ぐ若い男女のカップルの姿を度々見かけました。公園のベンチで何やら親しげに過ごしているカップルも見かけました。首都ドゥシャンベにおいても、公共の場であからさまに男女が仲良くしている光景を見かけることは稀なので、意外にもオープンな地方都市の価値観を垣間見た気がしました。
一概に「地方」「保守的」「伝統的」等の情報を事前に察知していたとしても、やはり実際にその地を訪れてみなければ、その地に暮らす人々の真髄等分からないということを再認識しました。引き続き、タジキスタンの様々な所に冒険に出かけたいです。
ボフタール市の皆さま、お邪魔しました。
記載価格は2023年7月15日時点、OANDA(138.4円=1米ドル)とタジキスタン国立銀行(1米ドル= 10.92ソモニ)発表の両替レートに基づいて算出しています。