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「地球の歩き方」読者のみなさま、こんにちは。2023年の夏に米国オレゴン州ポートランドからポルトガルの首都、リスボンに引越した東リカです。これからどんどん出かけて、ポルトガル、また欧州各地の魅力的なスポットをみなさんと共有していきたいと思っています。
早速ですが、記念すべきポルトガルの1つ目のスポットは、リスボンが誇る世界遺産「ジェロニモス修道院(Mosteiro dos Jerónimos)」です!
ジェロニモス修道院があるのは、リスボン南西部のベレン地区。ベレン地区は、ポルトガルが海洋大国として栄華を極めた大航海時代の面影が残る場所として知られています。リスボンの中心地から少し離れていますので、同じく世界遺産に登録された「ベレンの塔(Torre de Belém)」や大航海時代の記念碑「発見のモニュメント(Padrão dos Descobrimentos)」、またおしゃれな美術館「MAAT」とセットで見学する人が多いようです。
バスやトラムのMosteiro Jerónimos駅が最寄りとなりますが、電車(CP – Comboios de Portugal)のベレン駅からも歩くことができます。
ジェロニモス修道院は、この夏「チケットが売り切れで入れなかった」と知人が嘆いていたほど人気のある観光名所。ハイシーズンは、早朝に到着するか、「リスボアカード(リスボンカード)」を利用するか、オンラインでチケットを事前に購入することをお勧めします。
ちなみに入り口前の長蛇の列は入場の列で、入場券やリスボアカードを持っていても並ぶ必要があります。炎天下だと挫けそうになるかもしれませんが、意外と早く進みます。2023年8月現在は臨時休業中ですが、西翼に入っている「国立考古学博物館」手前までの列でも20分ほどで入れました。
ジェロニモス修道院は、ポルトガル王国の黄金期を築いた「幸運王」マヌエル1世の命により、大航海時代の立役者エンリケ航海王子の功績とインド洋航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマの偉業への敬意の表明と航海の安全を祈願して大航海時代の真っ最中、1502年に着工されました。
1498年のインドへの海上ルート発見などを経て海上交易により莫大な利益を得ていたマヌエル1世は、その潤沢な資金を惜しげもなくつぎ込み、半世紀をかけて「海洋国家ポルトガル」を象徴する修道院の大部分を完成させました。後期ゴシック建築、ルネサンス建築、イスラム建築の要素とアフリカ・アジアの珍しい動物や海のモチーフなどに見られる大航海時代の自然観を備えたこのポルトガル独自の建築様式は、後に「マヌエル様式」と呼ばれるようになったそうです。そしてジェロニモス修道院は「マヌエル様式の最高傑作」と称されています。
中庭を囲む回廊のアーチや尖塔はもちろん、柱や扉などそこかしこに繊細な装飾が施されており、遠近ともに見どころ満載です。美しいタイル(アズレージョ)で彩られた食堂や霊廟も必見です。回廊は55m四方とかなり広いため、それほど混み合った印象ではなく、すてきな写真も撮影できますよ。
ジェロニモス修道院の南側には、サンタ・マリア教会(Igreja Santa Maria de Belém)があります。こちらは別の入り口になっているのですが、それほど待たずに入場可能でした。
高い天井、ステンドグラス、巨大な宗教画、黄金色に輝く祭壇など、こちらも圧倒の豪華さです。
内部には、ジェロニモス修道院の建築を命じたマヌエル1世が王妃マリア、息子のジョアン3世、王妃カタリナと共に眠っています。また、ヴァスコ・ダ・ガマ、ポルトガルを代表する詩人ルイス・デ・カモンイスらの棺も安置されています。じっくりと見学してみてくださいね。
(撮影by東リカ)
※撮影写真の掲載許可をいただいています。
※写真の無断転載禁止