キーワードで検索
イベリア半島のほぼ中心に位置する海のないマドリード。そんなマドリードの名物のひとつが、イカのリングフライをはさんだボカディージョです。
ボカディージョとは、スペイン版のバゲットサンドのこと。日本でたとえるとおにぎりに相当するスペイン人の国民食です。中に挟む具は生ハムやチーズ、チョリソ、スペインオムレツ、豚のソテーなどなどバラエティ豊か。イカのリングフライを挟んだ”ボカディージョ・デ・カラマレス(Bocadillo de Calamares)”は、マドリードのB級グルメとして庶民に愛されています。
でもなぜ内陸も内陸のマドリードの名物が海の幸であるイカなのか? カトリックの教義で肉食を禁じる日があるので、昔はその間肉類の代わりに魚介類を食べていました(今でも信心深い人は肉食を絶つ日があります。信心深くない我が家の夫でさえ、聖週間の聖金曜日はお肉類は一切口にしません)。また、マドリードは首都で人口も多いので、交通網の発展によって魚介類の流入も増えてきました。なので、海がなくても魚介類を食べる習慣はあったようです。きっと塩漬けやオイル漬けの保存食が多かったことでしょう。イカのリングフライが盛んに食べられるようになった理由としては、イカは骨もなく柔らかなので食べやすいことや19世紀にアンダルシア文化が入ってきたことを挙げる説があります(アンダルシア地方では魚介のフライをよく食べます)。それをパンに挟んで手軽に食べるようになり、イカのリングフライサンド、”ボカディージョ・デ・カラマレス”が人気になったというわけ。
”ボカディージョ・デ・カラマレス”は非常にシンプルで、パンに挟まれてるのはイカのリングフライのみ。ソースや野菜などは一切入っていません。はじめて知った時は「え? おいしいの?」と思いましたが、イカのリングフライに塩味が付いていますしパンとの相性もよく、これがなかなかおいしいのです。
私はたまに家で冷凍のイカリングを揚げてバゲットに挟んで食べることがあります。マドリードの人には邪道だと怒られそうですが、その時はレタスとマヨネーズもプラスしています(笑)。
マドリードのマヨール広場のまわりには”ボカディージョ・デ・カラマレス”を出すバルが何軒かありますので、さっと食事を済ませたいときや小腹が空いたときにぜひ試してみてくださいね。