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【ポルトガル】大航海時代に思いを馳せて。世界遺産「ベレンの塔」

東リカ

東リカ

ポルトガル特派員

更新日
2023年9月26日
公開日
2023年9月26日
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マヌエル様式の優雅な要塞

大航海時代に建てられた要塞

以前ご紹介したジェロニモス修道院と共に1983年に世界遺産として登録された「ベレンの塔」。修道院や川沿いの人気観光スポット「発見のモニュメント」から1kmほど川下のテージョ川沿いに残る要塞です。
大航海時代の最中、交通の要であるテージョ川を行き交う船を監視し、河口を守る目的で建造された要塞、と聞くと堅牢で無骨な建物を想像するかもしれません。ところがベレンの塔は、作家・司馬遼太郎氏が著書『街道をゆく 23 南蛮のみちⅡ』の中でその美しさを貴婦人がドレスの裾を広げて立つ姿に見立てて「テージョ川の公女」と呼んだことでも知られる優美な建物です。

優美な装飾で飾られた要塞

ベレンの塔の建築を命じたのは、ジェロニモス修道院同様、ポルトガル王国の黄金期を築いたマヌエル一世。こちらも彼の名前を冠した「マヌエル様式」、つまり後期ゴシック建築、ルネサンス建築、イスラム建築の要素と珍しい動物や天球儀、ロープ、海藻など大航海時代のモチーフが散りばめられたデザインとなっています。

チャペルの天井には王家の紋章を中心に天球儀、十字の装飾が

ちなみにベレンの塔建設の指揮をとったのは、モロッコのポルトガル領地で要塞を手がけてきた建築家フランシスコ・デ・アルーダ(Francisco de Arruda)。そこで吸収したイスラム建築の要素をこの塔のデザインに色濃く反映したようです。1514年から1519年の間に建造されました。

ベレンの塔に上ってみよう

美しいバルコニーにも出られる「国王の間」

ベレンの塔は高さ約35メートル。地下も含めて6層になっています。

桟橋を渡って内部に入ると、大砲の並ぶ部屋があります。これを見るとやはり要塞だった、と思いますね。ちなみに地下には潮流により海水が入り込む水牢が設けられていたそうです。美しい外観とは裏腹になんとも恐ろしい過去を隠しもつ「公女」でございます。

上階に上るための行列

上階へと続く螺旋階段は人がすれ違えないほど狭いため、上る人と下りる人が係員の指示に従って、交互に移動することになります。中でも行列なんて…と思うかもしれませんが、各フロアはそれほど広くないので回転は早いです。「国王の間」「謁見の間」「チャペル」などフロアごとに内装も外部の眺めもそれぞれ違って魅力的なのでぜひ全てを見学してみてください!

上階の窓から見る監視塔の丸屋根

ベランダのベンチに腰掛けてテージョ川と赤い吊り橋「4月25日橋(Ponte 25 de Abril)」を背景に写真を撮る、なんてこともできますよ。
もし開館時間に間に合わないようでしたら、むしろ夕焼けの時刻やライトアップされる夜間を選んでお散歩や撮影に出かけるのもいいかもしれませんね。

(撮影by東リカ)
※撮影写真の掲載許可をいただいています。
※写真の無断転載禁止

ベレンの塔

住所
Av.Brasília,1400-038Lisboa
URL
www.torrebelem.pt
電話
+351213620034
開館時間
5月~9月:09:30-18:00(最終入場は17:30)10月〜4月:10:00-17:30(最終入場は17:00)
休館日
月曜日、1月1日、イースターサンデー、5月1日、12月25日
入場料
6€、65歳以上は3€、12歳までの子供は無料。
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