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今回、建部町をご紹介しようと散策していると、旭川にある建部井堰(いせき)が「世界かんがい施設遺産」に認定されたというニュースが飛び込んできました。
国道484号線沿いから井堰に通じる、細い道に入るのがわかりにくいと思っていたら、入口に立派な案内標識が建っていたので迷うことなく到着しました。
一見、よくある川の中州のような場所ですが、1721年以前(江戸時代初期)に築かれたという全長650㍍の井堰です。現存する日本最大の江戸時代を代表する取水堰だそうです。
令和5年11月4日、「第74回ICID国際執行理事会」で築造当時の状態で保全されてきたことが評価され、登録が決定しました。
井堰に降りてみると、平成24年に土木学会選奨土木遺産に認定されているというプレートがありました。旭川が備前と美作の国境だったことから、川の中央で途切れた「片持ち式」の斜め堰となっていて、この形状も建部井堰の特徴みたいです。
井堰の左側を流れるのが旭川から取水した水が流れる「大井手用水路」です。中央の右に流れる水路は、用水路からオーバーフローした水を旭川に戻しています。
多くの井堰が管理のしやすさのためコンクリート製に造り変えられている昨今、今もこうして、300年も前の井堰が建部の郷の田畑を潤しているというのは、地元の方々の努力と手入れの賜物ということは、いうまでもありません。
大井手用水路の大掃除の様子のblogをです。blog内の「一ノ口井堰」は、地元の方が親しんで使っている建部井堰の別称です。このように水生生物の生態調査も兼ねて、手入れをされているようです。
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一ノ口井堰(建部井堰)から水を引く大井手用水では恒例の大掃除
オーバーフローした水が旭川に戻る排水口です。底に敷き詰められた石も300年前のものです。
井堰の周囲は、巨石による捨て石と石組で構成されています。保存状態がいいですね。
地上からでは、650㍍もある井堰全体を見渡すことが出来ませんが、近くの八幡温泉の休憩室で建部井堰のパネル展示をしているという情報を得て行ってみました。
ここが八幡温泉です。旭川沿いに建つ、アルカリ性単純温泉の湯が湧き出ています。
「建部井堰」の展示を見たいと受付で申し込むと、温泉の休憩室に案内していただきました。
井堰の上空からのパネル写真を撮らせていただきましたが、光の反射で照明や私が写り込みわかりにくい写真ですみません。下の先端が取水堰で、川の中央で途切れた「片持ち式」の斜め堰という意味がこの写真を見るとよくわかると思います。
300年以上の歴史を持つこの井堰が、いつまでも守り続けられ、用水が田畑を潤し続けることを願わずにはいられません。