キーワードで検索
地球の歩き方読者のみなさま、こんにちは。
カーニバル休暇にポルトガル領アゾレス諸島最大の島、サンミゲル島へ出かけてきました。
大西洋に浮かぶこの火山島には多くの温泉や間欠泉があります。なかでもフルナス地区の植物園「テハ・ノストラ(Terra Nostra;テラノストラとも表記)」内にある今から300年ほど前に作られたという露天風呂が有名です。
日本のテレビ番組でも「黄金温泉」として取り上げられたことがあるので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
「黄金温泉」と呼ばれるのは、地中から湧き出た鉄分の多い源泉が空気に触れ、酸化することで「黄金色」になっているからだとか。
……とはいえ、キンキラキンの温泉ではなく、どちらかというと茶色では? といいたくなる“鈍い”黄金色をしています。なので取り上げるべきは、色よりもそのサイズだと思います。
だって、とにかく広い! 面積は2400㎡、つまりダブルスのテニスコート9面以上の広さになります。そして深い! 浅いところでも水深1.5m。最も深い、真ん中の島の周辺だと1.7mくらいだそうで、立っているか、浮いているか、泳ぎ回るか……ということになります。小さいお子さんだと、大人にずーっとくっついている状態です。
また、水温は約37度〜40度くらいだそうです。以前ご紹介したモンフォルティーニョ温泉(Termas de Monfortinho)と違い、結構長く入っていられます。
この温泉はフルナスの観光スポットとして有名で、多くの観光客が訪れます。平日の午後にでかけたところ、学校の遠足? といった様子のティーンエイジャー団体がものすごくはしゃいでました。
温泉プールは広いので、芋洗い状態なんてことはありませんでしたが、かなりの範囲で足が届かないので、まあまあ混み合っているなあ、と感じます。オフシーズンの冬場でこうなので、ハイシーズンだともっと混むかもしれません。
でも、大丈夫。実は、確実に混雑を回避する方法があるのです。
それは、庭園に隣接する「テハ・ノストラ・ガーデン・ホテル」に宿泊すること。
1935年に開業したというこちらの4つ星ホテルは、サンミゲル島で最も有名なホテルのひとつ。お安くはありませんが、サービス、食事、ロケーション、アメニティなど、どれをとってもその価値のある、とても快適なホテルです。
そして、何より「宿泊客は、テハ・ノストラ庭園に24時間、無料でアクセス可能」という特権があるのです!
テハ・ノストラ庭園の開園時間は、午前10時から午後5時まで。つまりそれ以外の時間帯は、ホテルゲストのみが使用できるというわけです。
しかも、こちらの温泉は、タオルや水着に色がついちゃったり(水着着用は必須です)、シャワーや着替える場所が限られていたりするのですが、ゲストはホテルのバスローブとタオルをまとって、水着で部屋からお風呂へと歩いて行けます。
早朝のお庭の散歩&朝風呂も特別感がありますし、夜中、星空のもとで入る温泉もなかなか乙なものです。熱い源泉が注がれる場所を独り占めして、打たせ湯なんかもできちゃいます。
到着した日の夜中に疲れ切った家族を部屋に残してひとりで温泉へ行ったところ、案の定、ほとんど誰もいませんでした。暗く巨大な温水にひとりきりで浮かぶと、ときおりやってくる強風に揺れる木々のざわめきや響き渡る鳥の声なんかがやたら不気味で、怖いくらい遠くで独りだな……、なんて思ったのでした。
さて、こちらのホテル、隣接する12haもあるというテハ・ノストラ公園はもちろん、間欠泉を見学できるカルデイラス(Caldeiras das Furnas)や1970年から同じレシピで地元名物の甘い発酵パン、ボーロ・レヴェドス(Bolos Lêvedos)を作り続けるお店「Bolos Lêvedos Rosa Quental 」なども歩いてすぐです。
また、ずらりと地元のパンやチーズ、ハムなどが並ぶ朝食ビュッフェをはじめ、食事もとてもおいしいです。フルナス地区は、地熱で長い時間をかけて肉や野菜を調理した「コジード (Cozido das Furnas) 」という煮込み料理が有名ですが、こちらのレストランには3種類の地熱調理がありました。
地熱料理は硫黄の匂いがする、なんてうわさも聞いていたのですが、コジードも肉料理もベジタリアン料理も(結局、地熱調理メニュー、全種類制覇)、嫌な匂いはなく、おいしかったですよ。
……今、ホテルのサイトを見ていて気がついたのですが、なんだかお寿司屋さんもあるみたいですね!
サンミゲル島の界隈ではマグロをはじめおいしい魚介が獲れるので、お寿司はおすすめです。
私たちは、滞在中、こちらのホテルのお寿司屋さんには気がつかず、ポンタ・デレガーダ地区の「Fuji – Sushi Experience」に行きました。サンミゲル島名物のマグロステーキもいいですが、やっぱりネギトロ巻きとか大トロ握りの方が好みでした。機会があればホテルのお寿司屋さんにも行ってみたいです。
なお、2024年2月現在、温泉の近くにあるふたつのジャクジーが部屋の改装のために閉鎖されていますが、今年の夏には再オープンするそうです。
(撮影by東リカ)
※撮影写真の掲載許可をいただいています。
※写真の無断転載禁止