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全国的にも珍しい看板建築の聖地「五福通り」~岡山市西大寺~

mami

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岡山特派員

更新日
2024年2月27日
公開日
2024年2月27日
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門前町の五福通りへ向かいます。ここは、昔ながらの商店街ですが、映画『魔女の宅急便』の劇中で”コリコの町”としてロケ現場になりました。映画『ALWAYS三丁目の夕日』、『カンゾー先生』、ドラマ『とんび』(NHK)『この世界の片隅に』(TBS)など、数々の作品にも五福通りが登場しています。
この商店街には、今では少なくなってしまった「看板建築」と呼ばれる建物が数多く残っています。看板建築というのは、木造2階建ての商家の道路に面した部分を垂直に立ち上げ、看板のような平坦な壁を利用しモルタルやタイルなどで洋風のデザイン装飾を施した建物です。

この建物がわかりやすいですね。前からパッと見たら鉄骨造に見えるけど、上の写真のように横から見ると瓦葺の屋根がのぞいています。
五福通りに看板建築が多いのは、昭和初期にバスが通ることを考慮し道路拡張が決まり、邪魔になった大きく張り出した各商家の軒をカットしたため、軒先部分を補修するのを機に、看板建築にしたそうです。だから外観は洋風でも、中に入ると大正時代以前からある筋金入りの日本家屋なのです。

今では珍しい存在になりつつある建築様式ですが、五福通りには十数件存在しているそうです。特に帽子屋さんの「鏝絵(こてえ)」のようなレリーフをもつ建物が私は好きです。

しばらく歩くと「五福座」があります。「魔女の宅急便」の映画のなかでは、すみれさん(吉田羊)の「すみれクリーニング店」でした。

五福座の窓ガラスには、五福通りを舞台にした映画のチラシが貼られていました。映画「ALWAYS三丁目の夕日」は、テレビでも再放送をよくされるので記憶に残っています。

西川という用水路には「新堀橋」という名のレトロな橋がかかっていたのでパチリ。この照明、今も夜になったらつくのでしょうか?
この用水路に特別な思いがあったのか、観音院の近くだからなのか、凝った意匠ですね。実は西川には、このような橋が他にもかかっています。この新堀橋から道なりに東へ歩いていくと新堀川という川に合流します。

「野口商店」と右から書かれた看板建築は、アール様式を取り入れたようなデザインです。横から見るともともとは蔵のある入母屋造りのお屋敷だったことがわかります。
観音院の門前は吉井川が流れ、支流に新堀川を作り、高瀬舟が航行し物資の集積地として繁栄していたので、そんな物資を扱って商いをしていた大店でしょうか? 西川は積み荷は高瀬舟か降ろされ、新堀川を通り、各商家に運ばれるために造られた川だったのでしょうか?
過ぎさった過去をいろいろと想像して楽しめますね。

看板建築の立ち並ぶ町並みから高瀬舟の集積地だった港へ来てみました。港のあった辺りは大きな榎が目印です。
川向いの向洲公園は、その昔、吉井川の三角州だったので、ここが吉井川の堤だったそうです。今は砂州が埋め立てられ、吉井川は公園の奥を流れ、堤沿いは「新堀川」と呼ばれています。
このあたりは、高瀬舟から運ばれた物資を保管する倉が河川敷に立ち並び、「浜倉」と呼ばれていたのでこの榎も「浜倉の榎」と呼ばれていたそうです。なかなか、カッコよくシンボル的な存在ですね。

あ、ちなみに五福通りの「五福」とは、人生の五種の幸福、寿(寿命が長いこと)、富(財力が豊かなこと)、康寧(無病なこと)、好徳(徳を好むこと)、終年(天命をもって終わること)だそうです。西大寺会陽の「はだか祭り」で裸衆が奪い合う宝木(しんぎ)は、この五福を授ける意味で与えられたことから、この通りが五福通りと呼ばれるようになったといわれています。

五福通り

住所
704-8116岡山県岡山市東区西大寺中3-9付近
電話番号
086-944-5038(岡山市東区役所総務・地域振興課)
交通アクセス(車)
山陽自動車道山陽ICから約25分
交通アクセス(公共)
JR西大寺駅から徒歩約10分
駐車場
専用駐車場なし
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