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埼玉県の北西部に位置する神川町で、発酵食を食べ歩き、心と体が喜ぶひとときを過ごしてきました。「おふろcafé 白寿の湯」でこだわりの寝かせ玄米®を食べたり、古生層から湧出する名湯に浸かったり、「ヤマキ醸造」でお豆腐づくり体験をしたり。都内から日帰りで満喫できる、寛ぎの旅をご紹介します。
「おふろcafé 白寿の湯」には、関東有数の源泉濃度を誇る自慢の温泉があります。「白寿の湯」という名前は、「みなさまに白寿(九九歳)までも元気に健康に長生きしてほしい」という願いを込めて名付けられたそう。地下750メートルから湧出する赤褐色の湯が特徴ですが、源泉はナトリウム・塩化物強塩泉(高張性・中性低温泉)で溶存物質は約35gと、国内でもトップクラス。温泉好きも驚くほどの源泉濃度なので、5〜10分入るだけでも体の内側からホクホクになります。
入浴後にお肌をペロリと舐めるとしょっぱさを感じるほど。この濃さがゆえに、湯舟のふちや床には褐色の温泉成分の結晶が堆積し、名物の「千枚田」が出来上がるのですが、温泉通にはたまらない光景です。他ではなかなか見れないので、お見逃しなく。
お湯は海水と同程度の塩分濃度で、採水した直後は無色透明ですが、空気に触れて熱を加えると不透明な褐色になるそう。女湯には「糀」入りの泥パックが置いてあるのですが、こういった気遣いも嬉しいですよね。パック後は肌がなめらかになるのを実感できます。
お湯の塩分濃度が高いため、保湿力が高く、湯上がり後もしっとり感が持続するから不思議。保湿クリームやローションが必要ないほどの名湯なので、"あえて"脱衣所に保湿系コスメを置いていないそう。ご自身の肌で入浴後の潤いを体感してください。
温泉に入った後は館内でゆっくり寛ぎたい人も多いはず。約1万冊の漫画や雑誌、書籍を楽しめる「葉隠」エリアには、心地いいハンモックや床を丸くくり抜いたソファ席があるので、自分だけのお気に入りの席を見つけてみてください。私のおすすめは、寝そべりながら読書を楽しめるスペース。秘密基地にいるようなワクワク感がありました。天井まである本棚は圧巻。電源やWifiを完備しているので、ワーケーションにもピッタリです。マッサージチェアや無料コーヒーもあるので、本を片手にとことんリラックスして過ごしましょう。
「おふろcafé 白寿の湯」の魅力のひとつが、食事処「寝かせ玄米®と糀料理 俵や」です。こちらでは玄米や糀を使った健康志向の食を楽しめるのですが、「『俵や』目当てで来館したい」と思うほどの美味しさなんです。玄米は食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富な健康食として知られていますが、「俵や」のご飯はその玄米を三日間ほど保温し続けた「寝かせ玄米®」と呼ばれるもの。モチッとした食感が印象的ですが、噛むほどに旨みを感じます。自慢の玄米は、糀で素材の味を引き出した副菜とも相性抜群。今回は、「発酵玉手箱 俵や御膳」を注文しましたが、美味しくて一気に食べ進めてしまいました。
「俵や」の食材は、地産地消のものが盛りだくさん。神川町周辺の自慢の食材を多く取り入れています。寝かせ玄米®のお米は、神川町産のキヌヒカリを使用。「発酵玉手箱 俵や御膳」のドリンクは、埼玉県本庄市に店舗を構える「あさみ珈琲」のアイスコーヒーも選べます。アイスコーヒーは鼻を抜けるような爽快感で、スッキリした味わいでした。
料理長の佐藤良さんは「産地と生産者に敬意を払い、そこに糀や発酵を加えて体にいい食事を提供したい。食材ひとつひとつを丁寧に、かつ真摯に向きあい、メニューやイベントを考えています。食べて健康に、そして温泉でゆっくり寛いでもらえたら嬉しいです」と話してくれました。
また「おふろcafé 白寿の湯」は「温泉サバ陸上養殖場」を併設しており、大切に育てられた鯖を食べられるのも魅力。「海なし県で旨い鯖を食す 鯖づくし御前」や「とろ鯖と寝かせ玄米®の押し寿司」など、鯖メニューも豊富なのでぜひ試してみてください。
「おふろcafé 白寿の湯」はさまざまなイベントを開催しているのですが、この日は「海の幸 さばき会」で鰆を捌いてくれました。鰆と一緒に仕入れた太刀魚やヤガラも並び、集まった子どもたちも興味津々の様子。佐藤料理長が捌いてくれるのですが、食育という観点から魚の特徴や体のつくりなど、丁寧に説明してくれるので大人も聞き入ってしまいます。
目の前で、三枚におろす職人技を見れる贅沢なイベント。鰆は足がはやいので、通常「生」では食べられませんが、イベントでは捌いてすぐに握ってくれます。鮮度抜群だからこそ味わえる、特別感のあるメニュー。月によって捌く魚が変わるので、詳しく知りたい方はHPのイベント情報をご確認ください。
「おふろcafé 白寿の湯」から車で10分ほどの場所にあるのがヤマキ醸造。ヤマキ醸造は味噌・醤油・豆腐の製造工場なのですが、今回は工場に併設している直売店 糀庵を訪れました。
車を停め敷地内に入ると、どこからともなくお醤油の香りがふわり。直売店 糀庵の2階では「醤油もろみ蔵見学」や「醤油搾り体験」ができますが、今回は「豆腐作り体験」をしてきました。神泉の名水から作った濃厚な豆乳に、天然にがりを入れるのですが、「にがり」は一瞬で入れるのがポイント。瞬時にサッと入れることを「にがりを打つ」と呼ぶそうです。
出来立てのお豆腐は、温かくぷるぷるしています。ここで出来立てを食べると「他のお豆腐では物足りなくなってしまうかも」と思ってしまうほど濃厚な味わいで、まさに感動もの。「お豆腐って、こんなに濃厚だったんだ」と思わずにはいられない、貴重な体験をできるのはここならでは。体験後に修了認定証を渡してくれるので、いい思い出づくりになります。
「豆腐作り体験」をした後は、1階にある喫茶 糀庵で「醤油ミルク」味のジェラートをいただきました。ほんのりお醤油を感じる味わいは、熱った体を程よくクールダウンしてくれます。他にも「味噌ミルク」味などもあるので好みのジェラートを探してみましょう。
「直売店 糀庵」から「ゆばカフェ紫水庵」へは徒歩3分ほど。紫水庵では、蔵の発酵調味料をはじめ、朝一番に汲み上げた生ゆばを使った湯葉料理を楽しめます。まったりと豆乳をまとった、濃厚でとろっとした食感の生ゆばが堪能できるので、こちらに立ち寄るのもおすすめです。
神川町の豊かな自然を味わいながら、ゆったりと寛ぐひととき。GWは「おふろcafé 白寿の湯」や「ヤマキ醸造」で、ちょっと贅沢な日帰り旅を体験してみてはいかがでしょうか。