キーワードで検索
世界最古である長編小説「源氏物語」は、紫式部が石山寺から、琵琶湖に映る月を見て、書き始めたと言われています。悠久の時を超えて、紫式部に繋がる、ゆかりの地への旅に出かけませんか。今回は石山寺港から乗船できる期間限定のクルーズ船をご紹介します。
石山寺港発着です。期間中、2種類の船舶が入れ替わりで運行します。
筆者は琵琶湖汽船の高速船「ランシング」でクルーズを楽しみました。環境に配慮した低燃費エンジン搭載です。
もう一船は、杢兵衛造船所の「一番丸」です。
旅客定員は90名です。船内、VTRも流れています。「瀬田川・琵琶湖リバークルーズ」は約45分間のクルーズです。紫式部を感じる空間への船旅に出発です。
開放的なデッキスペースで心地よい風を感じます。
石山寺港を出港した船は、滋賀県民はじめ生活道として欠かせない瀬田川に架かる沢山の橋を通過し北上します。瀬田川橋(名神高速道路)~瀬田川橋梁(東海道新幹線)~瀬田の唐橋(滋賀県道2号)~瀬田川大橋(国道1号)~瀬田川橋梁(東海道本線)などです。
シートがかかっていますが、瀬田の唐橋です。全長が約227mある大きな橋で、日本三古橋の1つとされています。
また、歌川広重の浮世絵「近江八景」には「瀬田の夕照」として描かれている名橋で、「日本の道100選」にも選ばれています。
1889年(明治22年)まで、瀬田川に架かる唯一の橋であった瀬田の唐橋は、交通の要衝かつ京都防衛上の重要地であり、「唐橋を制する者は天下を制す」といわれる程、幾度となく戦乱の舞台にもなりました。
瀬田の唐橋は「急がば回れ」の語源とも言われ、以前は京都に行くには琵琶湖を船で行く方法があり近道なのですが、比叡山から吹き下ろす強風で船がなかなか出せず、出航しても転覆することも多々あったそうで、「急ぐなら瀬田の唐橋を渡った方が安全で確実」という意味で「急がば回れ」という言葉にもなった、そんな沢山の秘話と歴史を持つ橋を通過します。
瀬田川橋梁を通過する東海道新幹線が見えます。この周辺、滋賀県にある大学・ボート部の艇庫が並んでいます。
遠くに琵琶湖大橋が見えます。琵琶湖で一番狭い所に橋が架かっていますが、やっぱり琵琶湖の大きさを感じます。
瀬田川でUターンし石山寺港に帰ります。
この日、沢山の大学の艇が元気よくアメンボのように、スイスイ進んでいました。
少し前になりますが、虎虎(とらこ)著、逢坂望美イラストのライトノベル「中二病でも恋がしたい!」では、大津市の瀬田川周辺が登場し、ファンの間では聖地になり、漁港もその一つでした。京都アニメーションの制作でアニメ化もされたそんな懐かしい場所にも出会えます。
紫式部気分で舟遊びもとうとう、石山寺港に帰着です。
乗船中、瀬田川の両岸を見るとランニングやサイクリング、また岸に座って瀬田川をのんびり眺めておられる方々など、思い思いに自然を楽しまれていました。
石山寺の横をクルージングしますが、筆者は石山寺を見る事はできませんでした。石山寺の「月見台」横から、瀬田川を望むことができたので、目を凝らしてみると見つけられるかもしれません。
是非石山寺へお越しの際には、令和版の「石山詣」をクルーズ船で体感しながら、「源氏物語」誕生地の風を感じてください。