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目の前に広がる急勾配の葡萄畑を眺めながら、美味しいランチが楽しめるココ・ファーム・ワイナリー。私自身、これまで何度もカフェを訪れているのですが、どの季節に訪れても心と体が満たされる素敵な場所です。今回、ランチコースとワイナリー見学を体験し、そのあと少し足を伸ばして「あしかがフラワーパーク」で花巡りもしてきたので、都内から日帰りで楽しめる足利の魅力をご紹介します。
ココ・ファーム・ワイナリーのカフェで、季節のお料理と自家製ワインを楽しめるデギュスタシオン・コースをいただきました。乾杯の「北ののぼ」と一緒に登場したのは「足利マール牛と、ヤシオマスのラビゴットソース」。ラビゴットソースは、茗荷、大葉、生姜、漬け物などを刻んでいて、和風の食べるドレッシングという感じです。
コース料理には地元食材がたくさん使用されていて、旬の美味しさがギュッと詰め込まれています。続けて出てきたアスパラは、あまりに大きくてびっくり。片手では持ちきれない程の大きさでした。添えてある自家製マヨネーズは、今朝つくったものだそう。鮮度抜群の濃厚なマヨネーズだけで、ワインがどんどん進みます。
季節の天ぷらはアナゴと天然ヤマウド、足利産のセリです。衣はサクっ、中はふわりとした天ぷらに合わせるのは「2021 甲州F.O.S.」。グラスに注ぐときれいなオレンジ色で、思わず見惚れてしまいます。次はメインのお肉……と思ったのですが、その前に箸休めメニューをいただきました。土佐醤油とリンゴ酢で仕上げたサラダは、爽やかでペロリと平らげてしまいました。
お肉は足利産のマール牛とラタトゥイユ。黒胡椒の粒を砕いて醤油、みりん、砂糖を加えた佃煮が添えてあるのですが、これがまた絶品。ぜひ味変しながら楽しんでみてください。お肉に合わせる赤ワインは、「2021 陽はまた昇る」「2021 農民ロッソ」「2021 風のルージュ」の3種。飲み比べて味の違いを楽しんでいただきたいのですが、スパイシーで柔らかなタンニンの余韻が続く「2021 風のルージュ」がマール牛の旨味を引き立てていて相性抜群でした。
やよい姫と牛乳のアイスのデザートは、葡萄畑を眺める特等席でいただきます。やよい姫100%の濃厚なソースと牛乳アイスのバランスが絶妙。甘味が強くまろやかな酸味のやよい姫の味が生きていて、想像を超える美味しさでした。「苺って、こんなに美味しい食べ方があるんだ」と驚きながら、一気に食べ進めてしまいました。デザートには、デザートワイン「MV マタヤローネ」を合わせたのですが、仕事を終えた夕暮れどきに、仕込みの作業を終えた園生が「またやろうね」と言った一言が名前の由来なんだそう。素敵なエピソードですよね。一口飲むと、爽やかな酸味とほのかな甘味が調和して口の中に広がり、幸福感に包まれます。
ココ・ファーム・ワイナリーでは、1日に3回ほど葡萄畑や醸造場の見学ツアーを実施しています。元々、ワイナリーは知的障害を持つ「こころみ学園」の園生たちの心身を育むためにつくられたのですが、現在も園生とともに葡萄の栽培やワインの醸造作業を行っています。
見学ツアーに参加する人は、専用のバッジをつけて出発。ツアーでは、葡萄の搾汁機やステンレスタンクなど貴重な品々を見ることができます。搾汁機は中に大きな風船があり、風船を膨らませることでステンレスの側面と風船の間で葡萄をギュギュッと潰すそう。丁寧に説明してくれるので、ワインを身近に感じます。
大きなステンレスタンクは、1樽で約8500リットルものワインが入るそうで、見上げるほどの大きさ。間近で見ると、迫力満点でした。白ワインだと約1万本、赤ワインだと約8000本のワインを一気に発酵していきます。ここでできたワインは、近くの作業スペースで瓶詰めしていくのですが、ハイシーズンには、1日に約1万本ものワインを瓶詰めすることもあるというから驚きです。同ワイナリーでは、20万本/年ものワインを仕込んでおり、九州・沖縄サミットやJAL国際線ファーストクラス機内などにも採用されていて、高い評価を得ています。
次は少し移動して、冷んやりとした山の中へ。ここは年間10〜15度に保たれている天然の貯蔵庫。多くの樽のワインが並び、熟成がゆっくりと進んでいきます。瓶内二次発酵の様子や、瓶詰めする前後のコルク栓を見比べることもできるので、子どもから大人まで年齢を問わず楽しめること間違いなし。
急勾配の葡萄畑は、山頂まで舗装された山道を歩いて登ることもできます。スキーのジャンプ台とほぼ同じ傾斜で、平均傾斜が38度。無理のないペースで登って欲しいのですが、頂上でいただくワインは格別。足利の山々の絶景を見ながら、特別なひとときが過ごせます。同ワイナリー周辺の地層は茶褐色なのが印象的。この辺りはジュラ期の地層が多く見られるそうで、葡萄の成長にもいい影響を及ぼしているのだとか。
今回は、ココ・ファームが育てる椎茸の様子もご案内いただくことができました。山林保全を兼ねて椎茸を原木で栽培しているのですが、ショップで販売されている「椎茸スープ カプチーノ仕立て」は私も大好きなスープのひとつ。フルコースの一品に出てきそうな香り豊かな極上スープなので、見かけたらぜひ食べてみてください。
*通常の見学コースでは、椎茸の見学は含まれていません。
ココ・ファーム・ワイナリーには、なんと秘密のシアタールームまであるんです。時折、こちらで映画を上映するそう。ココ・ファーム・ワイナリーが特別協力をした映画『テロワールの鍵』は、ワイン映像フェスティバル(仏)グランプリ受賞作品しており、イベントで上映することもあるそうです。
ココ・ファーム・ワイナリーから足を伸ばして訪れたのは「あしかがフラワーパーク」。藤の花があまりにも有名ですが、一年中さまざまな花が咲き誇ります。現在は「ローズガーデン2024」を開催しており、500品種、2,500株のバラやクレマチスが園内を彩ります。
園内に入った瞬間、ふわりとバラの香りに包まれていい気分になりました。高さ4m・全長120m・20面のバラのスクリーンやアーチは圧巻。園内は2時間弱で十分楽しめるかと思うので、足利を訪れた際は、季節のお花を楽しめる「あしかがフラワーパーク」にも足を運んでみてください。