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こんにちは~。岡山特派員のmamiです。
先月、島根県出雲市へ行ってきました。「出雲国風土記」や記紀に登場する神話の世界を訪ねる旅です。
「古事記」に、イザナキ神とイザナミ神の男女二神が天の沼矛(ぬほこ)を使い国づくりをしたお話があります。次に神々を生みますが、火の神を生んだことが原因で、イザナミ神は命を落とします。 イザナキ神は、亡き妻に会いたい気持ちが募り、死者の国である黄泉国へ行きます。この黄泉の国と現世の境目として登場するのが黄泉比良坂です。
「けっして私を見ないでください。」という約束を破り、変わり果てたイザナミノミコトの姿に驚いたイザナギノミコトは、追いかけて来る黄泉の軍勢を振り切り命からがら現世に戻ってきます。
そのとき、イザナギ神が黄泉の国への入口をふさいだ岩が、千引の岩(ちびきのいわ)というこの岩です。最初は、怪しい”心霊スポット”のような場所かと思っていましたが、来てみると山裾に広がるすがすがしい空気に包まれた明るい場所でした。
ここには天国(黄泉の国)へのポストがあるんですよ。今回はこのポストにも魅かれてここに来ました。便せんや筆記用具も用意してくださっているので、亡き両親にあてて手紙を書きました。
生きている人間が行くべき場所ではない黄泉の国ですが、こんな形で想いを届けてもらえるのは素敵なことではないでしょうか。日々、仏壇やお墓の前で手を合わせますが。それとは違う何かを感じます。
手紙をポストに投函した後、管理をされている方から興味深いお話を聞かせてもらいました。
昨年、この場所でNHKが「ドキュメント72時間」のロケをし、10月6日に放映をしたところ、1年間に1700通ほどの手紙が投函されていたのが、その10月だけで2000通もの手紙が投函されていたそうです。
「来月、集まった手紙をお焚き上げしますが、すでに1万通を超えています。」
テレビの威力はすごいですね。
「こんな、なんにもない場所より、魅力的な観光地がいくらでもあるのに。」と仰られましたが、いえいえ、似たり寄ったりの観光地へ行くよりも、“あの世”と“現世”をつなぐ場所という唯一無二の場所へ亡くなった人の面影を抱きながら来てみたかったのです。
黄泉比良坂の近くにはイザナミ神を祀った揖夜 (いや) 神社があります。拝殿が壁で囲われていない造りが特徴的で開放的です。そしてイザナキ神のお墓は、出雲国と伯伎国(ははきのくに) の堺にある比婆(ひば)の山にあります。