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日本で交付される国際運転免許証には1年間の有効期限が設けられているため、合法的な運転の権利保持は駐在員にとって悩みの種の一つとなり得ます。また、現在日本で交付される国際運転免許証は厚紙が三つ折りにされた仕様であるため、お世辞にも財布への収まりが良いと言えるものではありません。そんな時にまず検討するのが、駐在国の運転免許証への切り替えです。
国や地域 (あるいは州) によって、そもそもの切り替え可否や手続きの煩雑さは異なりますが、日本の運転免許証を所持する筆者にとって、幸いにもウガンダでのそれは比較的容易なものでした。
本稿は2024年6月11日時点の筆者の実体験を報告するものであり、(本稿を参考にされた場合においても) ウガンダで外国発行免許証の切り替えに生じる如何なる損失の責任は負いかねます。
本稿が取り上げるのは日本の運転免許証からの切り替えにより、ウガンダの運転免許証を取得する方法です。
本稿に記載されている「シリング」は全て「ウガンダ・シリング (UGX)」を指します。
ウガンダ運転免許制度 (UDLS: Uganda Driver Licensing System) の公式ウェブサイト を確認すると、丁寧に「Exchange a foreign driving licence (外国の運転免許証の切り替え)」の情報が記載されています。内容は以下のとおりです。
①、②、④、⑧に関して:申請時点で「有効 (残存期間は明言なし)」且つ「原本」でなければいけません。
⑦に関して:⑤の支払い手続き過程で付与される「支払い登録番号 (PRN: Payment Registration Number)」を忘れずに記入する必要があります。
査証に関しては、かつて受け入れられていた観光用では要件を満たさなくなりました。
日本の運転免許証の翻訳証明に関しては、表裏両面の記載事項全てが含まれている必要があります。また、運転の条件として「眼鏡等」と定められている場合、⑦の健康状態確認欄に記載される内容と一貫性が無ければいけません。担当医師に、記載してほしい内容を予めきちんと伝えましょう。翻訳はカンパラ市内にあるマケレレ大学言語校 (Makerere School of Languages)、もしくは日本大使館により作成されたもののみが有効です。在ウガンダ日本大使館では、現在57,000シリング (約2,375円) (2024年6月11日時点) で運転免許証の内容証明書を発行しています。マケレレ大学に翻訳を依頼する場合、公式ウェブサイトを確認の上、料金等について問い合わせる必要があります。
切り替えには手数料が発生します。交付を希望する免許証の有効期間に応じて料金が異なるため、ウガンダでの滞在期間に応じて適当なものを選択しましょう。筆者は「意外と高い」という印象を受けましたが、切り替えではなく、新規で運転免許証を発行する際にも同様の料金設定となっているため、特段「外国人駐在員コミュニティーからは多めに納めてもらおう」等といった意図はないようです。
料金の支払い手続きはウガンダ歳入庁 (URA: Uganda Revenue Authority) のウェブサイトを通じて、以下の手順で納付します。
筆者はクレジットカードによる決済を選択しましたが、二度ほどエラーとなり、やり直す必要がありました。度々停電が発生するお国柄上、ある程度のシステムエラーは想定内だと割り切った方が良いかもしれません。
支払いを完了し必要な書類が全て整ったら、免許センターに赴き、免許証交付の手続きを行います。予約は不要で、対応は先着順となっているため、営業開始と同時に手続きを始められることが理想です。
受付窓口に到着するまで、敷地入口、セキュリティーチェック(金属探知機有り)、PRN確認ブース、受付棟前と4層に渡り足を停められます。それぞれのスタッフが思い思いの質問を投げかけてくるため、やや緊張させられます。スタッフのいい加減さによる恩恵で、すんなりと受付まで進められることがある一方で、申請者の「挙動不審」や「意思疎通の難」は不要な疑念を抱かせるきっかけにもなり得ます。極力フレンドリーに応対した上で、聞かれていないことに関してはペラペラと口にしないことが賢明です。
プレミアリーグが大人気のウガンダでは「TOMIYASU (アーセナル所属の富安健洋選手)」の名前が広く認知されています。ライフルを携えた警官は、富安選手に関する問いかけに対して筆者が上手に応対できたからなのか、筆者の持ち物を大して確認もせずに笑顔で通行を許可してくださいました。有難い反面、このような対応のムラを一概に称賛するわけにはいきません。
受付に到達する前にスタッフに足を停められ「何しにきた」とややぶっきらぼうに尋ねられます。「免許証の申請に来たに決まってるだろ!」とは言わずに、笑顔で要件をお伝えします。「支払いは済んだのか」と聞かれたので、領収書を提示し、PRNを口頭で伝えます。すると何やら電子端末にPRNを入力し、作業をした後に「電子決済にて支払いが完了していること」の証明として画像の用紙を手渡されました。
受付 (Reception) に進むと提出書類の確認が行われ、その後、別室にある登録 (Enrolment) ブースにて書類の再確認が行われ、指紋採取 (両手全ての指)、免許証用の写真撮影等が行われます。全ての手続きが完了したら、隣室にある待合いスペースで免許証の交付を待つのみです (名前を呼ばれたら、カウンターに向かいましょう)。
想像とは異なり、人でごった返していることも、待つだけで午前中が潰れてしまうようなこともありませんでした。スタッフの方々は非常に手際が良く、提出書類の確認もしっかりと行われるため、不備は細かく指摘を受けることになります。
東部アフリカ地域で交付される運転免許証のデザインには多くの類似点が見受けられます。関連システム等のインフラ構築を含め、どこかの国がモデルとなっているのでしょうか。それとも第三国の援助により導入された等の背景があるのでしょうか。非常に気になるポイントです。
ウガンダにはJICAの事務所があり、少数ですが日系企業も存在しています。本稿が今後当地に赴任し、新たな挑戦に取り組まれる方々の参考になれば幸いです。
記載価格は2024年6月12日時点、OANDA(156.97円=1米ドル=3,766.67シリング)発表の両替レートに基づいて算出しています。