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長浜神社にやってきました。車を停めて長い参道を歩きます。
ここには「出雲国風土記」の冒頭の「国引き神話」の主人公、八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)を主祭神として祀っています。ただ、古事記にも日本書紀にもこの「国引き神話」はどこにも書かれていません。
国引き神話を簡単にすると
八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)が出雲の国を見渡して、「小さい国だから、どこかの国を縫いつけて大きくしよう」と思いつきます。新羅という国に余った土地があるのを見つけ、丈夫な綱をかけて引っ張ると出雲の国にくっつきました。その後も、ミコトは同じように土地を引っ張り国を広げました。この時ミコトが引っ張った綱をかけた杭は、伯耆の国の大山(だいせん)と三瓶山、引っ張った綱は夜見の島(弓ヶ浜)になりました。「国を引くのが終わった」とおっしゃったミコトは、「おえ。」と言いその地を意宇というようになりました。
緩やかな階段を登りきると視界がいっきに開け、西日が差し込んできました。長浜神社の西には日本海が広がっています。
拝殿です。出雲地方独特の大しめ縄が出迎えてくれます。
燈籠から参道を挟んで右横に写っているものは、「厳藻(いづも)かけ」です。真横に撮れているのでわかりにくいですが、出雲の「出」の形をしています。忌明けのあと、海で身体を浄めた証に海岸の海草をもって神社に参拝し、取ってきた海藻(神馬藻・じんばそう)をいつでもかけられるように設けられています。神聖で美しい藻という意味の「厳藻」が出雲の語源であるとする説が境内に書かれていました。
立派な大しめ縄の下で参拝します。拝殿の中には、大きな綱が二組鎮座していました。綱をかけ海のむこうから土地を引き寄せ縫い合わせた「国引き神話」にちなんだ綱でしょうか。
摂社をまわってみます。天神社で、産霊(むすび)が祀られています。
ものごとの成就・祈願達成・縁結び・合格祈願等に御神徳のあらたかな神様らしいです。
ちょっと、変わった三連式の鳥居ですが、奈良の山の辺の道を歩いた時に檜原神社で見かけたことがあります。なぜ、ここ出雲にもあるのでしょう。
春日神社もありました。四神のひとりには武甕槌命(タケミカヅチノオ)も含まれています。国譲り神話の中で
十握の剣(とつかのつるぎ)を砂に突き立て、大国主神命に国譲りを迫った神で、大国主命の息子、建御名方神(タケミナカタノカミ)との力比べをした神様です。
比較的新しいお社の「正一位稲荷大明神」
平成3年の台風19号の被害の身代わりとなった稲荷といわれていました。地域の被害を一身に受けたそうですが
どんなエピソードがあったのでしょう。
囲いの中の「弓掛けの松」。豊臣秀吉の朝鮮出兵の折、100日祈願をし、その恩賞を持ってきた片桐且元が弓を立てかけた松だそうです。
こんな歴史から「武道・スポーツ上達の守り神」のみならず、「勝負に勝つ神」として広く信仰を集めるようになったといいます。10月の大祭の日には、国引き神話にちなんで綱引き大会があるそうです。