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今回は、2024年3月に地球の歩き方「旅の読み物」シリーズから、ハワイの文化や歴史をひもとく1冊「史跡と神話の舞台をホロホロ! ハワイカルチャーさんぽ」を上梓された森出じゅんさんにお話を伺いました。著述家でありハワイ文化研究家でもある森出さんとは、筆者も何度か一緒にお仕事させていただいたことがあります。1990年からハワイ在住で、ハワイ州観光局の文化啓蒙プログラム「アロハプログラム」の講師を務めている森出さん。これまでに「やさしくひも解くハワイ神話」や「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景―ハワイの人々が愛する100の神話」、そして最新作の「史跡と神話の舞台をホロホロ! ハワイカルチャーさんぽ」など、数々の著書を手掛けてきました。
森出さんが今回の本「史跡と神話の舞台をホロホロ! ハワイカルチャーさんぽ」を執筆するに至った背景には、30年間にわたるハワイでの生活があります。オアフ島には、旅行者も日常的に歩いている街角に、数々の歴史や神話が隠されていることに気づいた森出さん。それを知って街を歩くのと、知らずに歩くのとではハワイの光景がまったく違って見えるといいます。この違いを多くの人に知ってもらいたいという思いから、この本が企画されました。
森出さんがハワイの史跡や神話に特別な興味をもつようになったきっかけは、子どもの頃からの歴史や神話・伝説への興味でした。ハワイに移住してからは、島全体に神秘的な雰囲気が漂っていることに感銘を受けました。とくにハワイ王国の崩壊という19世紀の悲劇を知り、大きな衝撃を受けました。ハワイはただのリゾート地ではない。その深い歴史と文化を日本のみなさんにも伝えたいという使命感から、この本の執筆に至ったそうです。
執筆する過程でとくに苦労したことは、聞き書きした内容を文献で裏付ける作業でした。30年間にわたり、新しい土地に行くたびに「ここに言い伝えはありますか?」と尋ねることで、不思議な話を数多集めてきました。ところが、それをそのまま書籍に載せるわけにはいかず、文献での確認が必要でした。今まで聞いたことがないようななじみの薄い情報であればあるほど、その確認作業が難しかったといいます。
森出さんは読者に対して、「マラマハワイ」の心を知ってもらいたいと考えています。「マラマハワイ」とは「ハワイを慈しもう、大切にしよう」という意味で、自然だけでなくハワイ全体へのスローガンです。ハワイの歴史や深遠な文化を学ぶことで、島を敬い大切にする気持ちが生まれるという森出さんの固い信念が込められています。
今後のプロジェクトについても伺いました。次は「神話」に焦点を当てた本を考えているとのこと。切り口は秘密だそうですが、王族に焦点を当てた歴史の研究も続けていきたいと語ってくださいました。
この本はオアフ島のカルチャースポットを、頭の引き出しがすっかり空になるまで出しきって仕上げた1冊です。読んでくださったみなさんが必ず、周りもアッと驚くハワイ通になれる! そのような自負のもと、ここにお届けいたします。そのスポットの歴史や言い伝えを知って眺めると、よく知っているはずのその場所がまったく違った印象で目に映るはずです。ハワイが2倍楽しくなるといいますか……。本書を手に、「ハワイ再発見」の旅を楽しんでみてください。
▲写真提供:森出じゅん