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令和6年7月1日、海上自衛隊呉地方隊は創設70周年を迎え、その一環として、関西地区(大阪、神戸、和歌山)において艦艇一般公開および、体験航海が行われました。今回、筆者は大阪(天保山岸壁)の「護衛艦いずも」の体験航海に乗艦させていただきましたので、ご紹介します。
目次
まもるくんの後ろを航行中の「護衛艦いずも」(DDH-183)、かなり大きいです。
「護衛艦いずも」は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)で、基準排水量 19,500t、全長 248.0 m、最大幅38.0m、髙さ49mで、いずも型護衛艦2番艦の「護衛艦かが」(DDH-184)とともに海上自衛隊史上最大の自衛艦です。
乗員470名のうち、女性隊員は30名です。艦内には女性居住区画もあります。
垂直離着陸可能なステルス機能を持つ戦闘機F-35Bの搭載に向けて1次改修工事が終了、その一端は、飛行甲板で見る事ができます。のちほどご紹介します。
また最近の護衛艦の塗装は、ロービジ塗装で、艦番号などが識別しにくくなっています。
着岸直前、艦橋下に艦長はじめ隊員が集まりだしました。てっきり、入港のご挨拶をされるのかと思いきや、着岸の確認です。着岸位置まで、1m以内の誤差しか許されないため、高い位置にある艦橋から下りて来られ、岸壁を目視確認されています。経験に裏打ちされたすばらしい感覚ですね。
着岸し、午後からの一般公開の準備が始まります。広報ブースも設けられ、受験対象者(33歳未満まで)への説明も行われます。
イベント情報は、あらかじめ、自衛隊ホームページやSNSなどで告知されます。一般公開は当日先着順で、体験航海は事前公募による抽選制です。
大阪の「護衛艦いずも」のみ、体験航海は、自衛隊協力団体や募集対象者向けに実施されました。
早い方は朝の6時位から並ばれていたようで、行列が長すぎて、13時開始予定の一般公開時間を早められました。
お昼前には最寄の大阪港駅まで長蛇の列ができ、12時半にはストップをかけられます。なかなか、お目にかかることのない、「護衛艦いずも」の人気の高さがうかがえます。
一般公開は格納庫です。前部から第1格納庫、第2格納庫、航空整備庫に区分され、長さ125m、幅21mと非常に大きい格納庫です。大型トラック50両収納できる大きさです。
奥には、潜水艦を探知する哨戒ヘリコプターSH-60Kが展示されていました。「護衛艦いずも」は、SH-60J/K哨戒ヘリコプター × 7機、MCH-101輸送ヘリコプター × 2機、最大14機搭載可能です。
また甲板や格納庫の床には、穴がありますが(正式名がわからず、すみません)、写真のように、ヘリコプターなどを固定するための穴です。護衛艦見学をさせていただくたびに、存在するものすべてに、無駄なものは何ひとつないというのを実感します。
翌日は、神戸から「護衛艦まや」、和歌山から「護衛艦あさづき」、大阪から「護衛艦いずも」の体験航海が実施されました。大阪の「護衛艦いずも」の一部をご紹介します。
本来の目的は航空機を乗せる昇降機です。哨戒ヘリのメインローターを広げた状態でも搭載可能です。メインローターを折りたたんだ状態で搭載できる少し小さな第二航空機用昇降機も、別方向にあります。
体験航海のこの日は、大きな第一航空機用昇降機に見学者は乗せていただきました。
窓が並んでいるところは、艦長が指揮をとられる艦橋です。
艦橋の反対側です。横並びの窓がある部屋は哨戒ヘリなど航空機の管制室で、飛行長が指揮をとられます。右後方には、天保山の観覧車が見えます。まさに緊張と緩和な光景です。
日本国籍を示すものとして、航海中、自衛艦旗が艦尾ではためいています。
この日、護衛艦いずもには、たくさんの学生はじめ自衛隊受験対象年齢の若者が乗艦、隊員達は真摯に質問に答えておられる姿が印象的でした。
哨戒ヘリコプター前では、操縦士、航空士、また准看護師や救急救命士の資格をもち、救出・救助と第一線救護活動を担当するMEDIC隊員もおられ、戦術や、MEDICのお話などをお聞きしました。学生さん達も、海上自衛隊職種の奥深さを知る機会になったのではと思います。
航海中、任務を遂行されながら、さまざまなイベントも開催、とても広い甲板、手旗信号と艦橋近くからの発光信号での会話という普段見ることのない企画も。かなり笑いをそそる場面多発で、隊員さん達、とことん楽しませてくれます。
海上自衛隊 阪神基地隊を出港した「護衛艦まや」とは発光信号でやり取り。
「掃海艇なおしま」と反航する場面もありました。
非常にお忙しい任務のなか、速度や時間も上手くあわせていただいたのでしょうね。粋な計らいに、一般人はとことん楽しませていただきました。
艦内、食堂では、「護衛艦いずも」や「護衛艦かが」から、令和6年度インド太平洋方面派遣まで、一般人にもわかりやすい説明会がありました。
航空機運用に特化した艦首から艦尾までが平らな全通甲板と呼ばれる飛行甲板、ヘリコプター5機による同時離着艦が可能だそうです。
F-35Bのパイロットが目印とする戦闘機誘導線が、1次改修工事で引かれました。その他、F-35Bのエンジン熱に耐えられるように甲板の耐熱工事や、電源設備の設置などが行なわれました。
米海兵隊の支援により、F-35Bの発着艦に関する検証を実施、発着艦が可能であることが確認されました。
・金曜日のお昼はカレー➡長期の海上勤務で「曜日感覚」が失われることを防ぐため。
・艦艇では蒸器ガマや電気オーブンが使われる➡ガスだと爆発の危険性があるので直接火は使わない。
・日が暮れると赤い電灯照明➡灯火管制で常に非常時を想定した生活が営なまれている。
艦橋は闇に包まれるが休むことなく航海は続く。
・海水を沸かしたお風呂に入れるのも乗員の楽しみのひとつ! お肌つやつやになりそうですね!
今春、筆者が呉湾艦船めぐりで見た「護衛艦かが」です。「護衛艦いずも」に先がけて艦首の四角形の改修を終え呉基地に帰っていました。写真は艦尾です。
こちらがわかりやすいです。
海上自衛隊呉地方隊では創設70周年のイベントが呉で10月に実施されます。ご興味のある方はホームページやSNSで都度ご確認ください。
また創設70周年を記念し、毎週土曜日・日曜日に呉地方総監部第1庁舎ならびに艦艇の一般公開も事前の申し込みの必要なく実施中です。
総監部地区では、太平洋戦争時代の建物である電話綜合交換所や日本遺産に指定されている第1庁舎、係船堀地区では停泊中の艦艇も見ることができます。
近くには、大和ミュージアムやてつのくじら館などと、海軍や海上自衛隊を知ることができる施設もありますので、海上自衛隊の今と歴史を巡る旅などいかがでしょうか?
また、お腹が空いたら、本場海軍カレーを提供しているお店巡りも楽しいですね!
呉地方隊|見学案内詳細はこちらから