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【アバストゥマニ】満天の星空の町、Abastumaniへ

MAO

MAO

ジョージア特派員

更新日
2024年7月11日
公開日
2024年7月11日
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皆さんგამარჯობა(ガーマルジョバ:こんにちは)!
先日、筆者はジョージアの星空の町、Abastumani(アバストゥマニ)へ行く機会があり、ボルジョミから行ってきました。
アバストゥマニはジョージア唯一の国立天文台がある町で、色々な観光パンフレット上での紹介では、星空の写真が掲載されている程、とても綺麗な星空が見えるのです。

そんな星空の町、アバストゥマニを少しご紹介します。

Abastumaniとはどこだろう?

アバストゥマニは、ボルジョミと同じSamtskhe–Javakheti州にあり、その中でもAdigeni(アディゲニ)市の中にある小さな町です。トビリシからは、約250km離れており車で約4時間かかります。
マルシュルトカで向かう場合も、首都トビリシからは本数が非常に限られているので、まず、トビリシからAkhaltikhe(アハルチヘ)というボルジョミよりも少し先の町まで行き、そこでアバストゥマニ行きのバスに乗り換える事をオススメします。

アハルチヘという街は、車でボルジョミから40分程先(南西部)にあり、トルコ国境の町でもあるので、ボルジョミよりさらに南西部の町や、小さな村へのマルシュルトカが走っていたりします。この町についても、ボルジョミ近郊の魅力ある町なので、近々ご紹介しますね!ボルジョミ観光を楽しんだ後に、アハルチヘからアバストゥマニへ行くのも良いですね!

さてアバストゥマニは非常に小さな町ですが、美しい星空だけでなく、豊かな温泉水にも恵まれ、その環境が昔から結核治療に良いと多くの観光客が訪れていました。

歴史的には、16世紀にオスマン帝国に支配された後、1842年にはドイツのFriedenthalがこのエリアを植民地として、短い期間支配していました。

筆者はドイツの植民地?!と驚きましたが、併合に併合を重ね広大な領土になっていた支配地を発展させるには、当時ロシア人の力のみでは難しかった為、18世紀中頃からエカテリーナ2世の下、ロシア帝国支配下にドイツやオランダ等から外国人が招聘され、帝国から信仰の自由や、兵役免除、税金免除などの特権を与えられる代わりに、農業をさせられていたそうです。しかし実際は厳しい条件や、入植者間のトラブルにより失敗に終わる事が多かったそうで、アバストゥマニでも短命に終わりました。

その後1850年にコーカサス総督Mikhail Vorontsovの元で、このエリアは完全にロシア帝国の直接支配下に入りました。Mikhail総督はボルジョミにも別荘を建てた程、コーカサスのエリアの自然環境を気に入っていた人であり、彼はこのアバストゥマニの綺麗な空気、そして温泉水にも魅了され、美しさを発信し、この町を有名にしました。
また今のアバストゥマニの町を作る際(当時は別の名前だった)、近くにあった村の名前”Abbas-Tuman(アッバス-トゥマン)”から名前をとり、Abastumani(アバストゥマニ)にしたとされています。

そしてボルジョミから離れている町ではありますが、驚く事なかれ。アバストゥマニもBojomi-Kharagauri国立公園の一部なのです。(毎回、筆者の勤務する公園の大きさに驚かされます)

Abastumaniのトレイルコースのマップ

何故ここに天文台?

さて、アバストゥマニの国立天文台は、1932年のソ連時代に出来ました。設立者であるE.Kharadzeは、1992年にその60年の彼の長年の天文学研究の功績を讃えられ、天文台の名誉館長の称号を授与され、2002年に亡くなるまで名誉館長でありました。

アバストゥマニは、天文観測の場所として非常に好条件の場所(空気汚染された街から離れている、針葉樹林に囲まれた丘陵地であり、気温や天候が安定している等)であると証明され、故にその結果に基づいて、E.Kharadze氏はこの地での天文台設立の重要性と有益性を各方面に働きかけ、設立したのです。

設立以降、国立天文台は多くの銀河や天体、星雲を発見し、多くの研究に役立ってきました。
今現在は首都にあるイリア州立大学が管理し、研究教育機関として活用もされています。

実際アバストゥマニは、筆者も驚くほど星空がとても綺麗でした。筆者は以前にジョージア北部のKazbegiやMestiaに訪れた事がありますが、その際は天気が悪かったり、日中だけの滞在であった為、満点の星空を見た事がありませんでしたが、ここアバストゥマニの星空は、筆者にとってもジョージア1の美しさと星空の綺麗さでした。

実は筆者は天体観測が趣味で、日本ではMy天体望遠鏡を持っており、月面観測やキャンプで星空鑑賞をする事が趣味だったので、久々の天体観測はとても楽しかったです。
ジョージアは人々が住むある程度の大きさの町であれば、近くに道路が通っている事が多く、場所によっては昼夜問わずトラックが通り、そのガスや町明かりであまり星空が見えません。ボルジョミも国立公園の奥深くや高地(最高2600m付近)に行けば、町明かりからも離れ、天気が良ければ星空は見えますが、普段町の中ではあまり見えない事が現状です。ですので、アバストゥマニの星空には本当に感激しました。

AbastumaniAstrophysicalObservatory

天文台営業時間
10:00-16:00*夜は別途天文ツアーあり
昼の入場料
大人7ラリ、子供4ラリ(1日券は大人12ラリ、子供7ラリ)*6歳以下は無料
夜の入場料
大人20ラリ、学生10ラリ(学生証必須)、子供5ラリ*夜は、天体望遠鏡から星空鑑賞もさせていただけます
アクセス
Abastumani-Kanobili,Abastumani0301
連絡先
599177707
天文台サイト
http://www.genao.org/
満点の星空
設立者の書斎
写真真ん中が設立者E.Kharadze氏
火星儀と展示物

充実の展示物の数々!

さて、筆者は天体望遠鏡で星空を見てみたかったので、夜10時頃に町の中心部にあるホテルを出て、20分程離れた天文台に車で向かいました。
行くと天文台入り口前に車を駐車するように警備の方が仰り、入場料20ラリを支払うとスタッフの方がその場にいた私たちを含めた観光客を案内してくれました。
客がある程度集まるとツアーをしてくれるようで、明確なスタート時間は決まっていないようでした。
私達が訪れた時は、私たちの他にロシア人家族がいらっしゃり、人数が集まっていたので、自然とツアーがスタートしました。

まず初めに天文台の中で、天体望遠鏡のある場所に案内され、専門家の方が部屋のライトを消し、星空の明かりだけの状態にしてから、天体望遠鏡の焦点を当てて下さり、その後覗かせてくださいました。
筆者の訪問時は、連星(双子星)を見せてくださいました。

その後は博物館の館内を案内して下さり、前述の名誉館長を勤めた設立者の書斎も案内してくださいました。

ソ連時代に天文台が設立された為か、もしくは宇宙開発が強い国だからか、全体的にロシア語の展示物が多いですが、英語での説明もきちんとされており、非常に分かりやすい館内展示でした。

案内してくださった方も非常に優しく、博物館を最後までゆっくりと見ていた筆者に寄り添って、急かせずに見せてくださいました。

旧ソ連国なのでユーリ・ガガーリンかと思えば、これはアームストロング船長とのこと

大満足の天体観測

さて、大満足な館内見学を終えて外に出ると、天体望遠鏡を覗かずとも満天の星空で、その美しさから一堂『OH〜!』と声が出てしまいました。

首都からたどり着くには少し長旅ですが、しかしそれ故に綺麗な星空が待っています。

またジョージア政府はここアバストゥマニの環境を守り、星空の町としてリゾート開発を行おうと様々な取り組みを急ピッチで行っています。
例えば、車の排気ガスによる空気汚染防止に、将来的に町内に車での乗り込みを禁じる為に、町の入り口に巨大な駐車場建設を行なっていたり、中心地には多くの建設中のホテルや修繕中の建物があり、力の入れようが伝わります。

今後益々、美しいリゾート地へと変貌するアバストゥマニ。綺麗な星空に癒されに行ってみませんか?

宿泊先のホテルにもあった天体望遠鏡
天文台設立者の書斎にあった相対性理論
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