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皆さんგამარჯობა(ガーマルジョバ:こんにちは)!
先日メスティアの山岳映画祭が7月に開催されるとご紹介させていただき、筆者も映画祭に行ってきました。
ボルジョミやトビリシとは異なり、日によってですが、雨が降った後などの冷え込みが激しく、日によっては長袖に上着を羽織っている日もあったほど、やはり山岳地域の北部ジョージアは涼しかったです。
これからメスティアに関しては、別記事で特有の文化や伝統を紹介して行こうと思うのですが、普段あまり行く機会がないメスティアまでの道中で、いろいろとご紹介したいものを見つけたので、今回はその1つを紹介します。
筆者は今回、車でメスティアに向かったのですが、車でメスティアに向かうには、トビリシからクタイシにまず向かいます。そしてクタイシからメスティアに向かう際には、別紙の図の通り、おもに2通りあります。
①つ目は、Samegrelo-Zemo Svanetiの州都であるZugdidiを通る方法(通常)
②つ目は、Tshkaltuboを通り、ウシュグリ村を経由する方法(新しいルート)です。
②の方が①よりも約90kmほど短く行ける道なので、Mestiaの方に道を尋ねるとまれに②をすすめられますが、
2024年7月末現在筆者が向かった際は、②はまだまだ道路が建設中で、道が非常に悪いので、①のルートをおすすめします。
筆者はメスティア滞在中に、一度クタイシに行く必要があり、以前3月頃メスティアに来た際に新しい道(②のルート)が建設予定と聞いていたので、”もし所要時間を短縮できたらいいな”と思い、ホテルで念のために②の道の状況について尋ねてみました。するとホテルの方から②をすすめられたので、②のルートで行きましたが、まだまだ建設途中で、数kmにおよび地面が岩や石なので、車のスピードは出せず、結局所要時間は同じ、もしくは②の方が長いと感じたので、帰り道は通常の①のルートで戻りました。
地元のジョージア人の方にとっては、建設中=新しい道という発想になり、新しい道をすすめられることがまれにありますが、もしすすめられても、セカンドオピニオンとして、タクシードライバーや運送業を生業とし、道路状況に詳しい人に尋ねることをおすすめします。
ただし、後半年〜1年で新しいルートは完成しそうだなという感じであり、またこのルートからの風景が絶景なので、完成した際は、美しい車窓が楽しめると思います。
さて前述の通り、①のルートを使って、Zugdidiを通りメスティアへ向かう道中に、Enguri dam(エングリ ダム)という看板が見えてきます。前方に走る何台もの車はその看板の方に左折して行き、筆者も向かいました。
実は3月に訪れたことがあったのですが、3月のメスティア周辺は、雪景色。もちろんダム湖の水は凍っており、緑はなく、まったく違う景色だったので(冬も雪景色がすばらしいのですが)、夏の緑の景色が見たいと向かってみることにしました。
エングリダムはそもそも、ソ連の有名な政治家であるフルシチョフの案が発端になる話ですが、彼は自分のお気に入りの保養地の場所であったアブハジア(現ロシア占領地)内のリゾート地であり黒海沿岸の町であるピツンダ(Pitsunda)を大変気に入っていたため、そこをより発展させるべく、大規模なダムと水力発電計画を部下に提案しました。
しかし、彼の部下や専門家たちは、黒海沿岸のその町にダムを建設すれば、壊滅的に海岸侵食が進み、町に大きな影響を及ぼすだろうと判断し、最終的に海岸線への影響がかなり少ないと評価されたエングリ川にダムを建設することになりました。
そのような歴史的背景もあり、このダムはジョージアとアブハジアにまたがっており、水力発電施設に関しては、ダム自体はジョージアにあるものの、発電所自体は、アブハジア内にある状況です。
歴史的にはエングリダムの建設は1961年に始まり、1978年に暫定的な運用を始め、1987年に完成しました。
1999年、欧州委員会はジョージア側のダムの部品交換や、アブハジア側の発電所5基の発電機のうちの1基の改修など、エングリダムの緊急修理のためににジョージアに資金を供与し、日本政府もこの際に同様に国際協力として支援をしているのです。
そのような日本との関わりが深いエングリダムは、メスティアへの道中の疲れた体を癒やしてくれる、美しいエメラルドグリーンの湖水の風景が見られるとてもきれいな場所なのです。
さてエングリダムでは、ダム湖の周辺をバスで見学できるツアー込みの入場料(フルとショート)や、徒歩で見学するツアーなど、さまざまなツアーが設けられています。
またおしゃれなお土産物が販売されているお店や、ダムの様子をVRで体験できるアクティビティ【10ラリ】、コーヒーや軽食が販売されているカフェ、清潔な無料のお手洗いなどもあり、メスティア(ダムから残り2時間30分ほど)までの道中に休憩場所として訪れるには最適な場所です。
前述のダムの歴史や、ダムの仕組みなどを見学したい場合は入場することが最適ですが、もし時間がなく、湖水の風景を見てみたいだけ! という場合であれば、メスティアへさらに車を走らせると、そこからの道中はダム湖に沿って進んでいくので、夏のお天気のいい日であれば、きれいなエメラルドブルーの湖水を車窓から楽しむことができますよ。
今回の記事では、クタイシから出てメスティアへ向かう道中のエングリダムについて紹介しましたが、メスティア市内はもちろんのこと、メスティア周辺にはたくさんの見どころポイントがまだまだあふれています。
引き続き、メスティア情報について紹介していきますので、お見逃しなく〜。