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山形県鶴岡市の奥座敷といわれる「湯田川温泉」。「白鷺の湯」とも呼ばれる、庄内三名湯のひとつです。湯量が豊富で、多くの人に愛されていますが、開湯1300年を迎えた歴史ある温泉街でもあるんです。今回は、そんな「湯田川温泉」に佇む「九兵衛旅館」を訪れたので、湯めぐりの魅力をご紹介します。
「九兵衛旅館」の自慢は、温泉はもちろん、海の幸・山の幸・野の幸をたっぷり楽しめる、お食事も見逃せません。どんなお料理が食べられるのか、ワクワクしながらお夕食に向かった私たちを出迎えてくれたのは、濃厚な胡麻の風味と柔らかい口あたりが絶妙な、鶴岡名物「胡麻豆腐あんかけ」。具沢山なので、お椀一杯でかなりの満足感があります。前菜は「こごめ胡桃味噌」や「黒バイ貝旨煮」「酒田沖船凍イカの塩辛」などが並びます。中でも「夏野菜と魚介の旨出汁ジュレ」は、海老やウニ、季節のお野菜が出てき感動もの。どの前菜も美味しくて一気に箸が進みます。
次に、お造りが運ばれてきたのですが、大根が美しくカットされており、目が釘付けになってしまいました。見て楽しい食べて美味しいとは、まさにこのこと。美しい曲線を描く大根の中に、歯ごたえのある引き締まったクエとガザ海老が入っています。お造りを食べたあと、この大根をいただくと、パリパリと美味しい音が響き、さらに食欲をそそります。
季節の野菜でつくる名物の和風ムースは、とうもろこしが登場。見た目はプリンのようですが、とうもろこしの旨みを感じます。焼き鯛茶漬けは、薬味がたくさんあるので、自分好みにアレンジしていただきましょう。鯛そのものの塩味がやや強めなので、程よくご飯が進みます。手作りあんみつは、抹茶とバニラのアイスが入っていて、ぎゅっと寄せ集まった見た目も華やかな甘味。優しい甘さなので、ほっと一息、美味しい時間の締めに最高でした。
お夕食も豪華でしたが、朝ごはんだって負けていません。「朝ごはんで、こんなに品数が多いの⁉︎」と思わず、声に出してしまうほどの品数が並びます。食前に、小松菜のジュースをいただいたのですが、りんごの酸味とヨーグルトの隠し味が、いいバランス。毎日飲みたくなる、カラダが喜ぶ味わいです。ご飯は、白米か朝粥が選べるので、お好みの方を選びましょう。
予想を超えた味わいで、驚いたのはサラダに添えてある自家製黒胡麻ドレッシング。玉子焼きや、お豆腐に付けても美味しく食べられる、食感のいいドレッシングで、新鮮野菜のおいしさをグッと引き立ててくれます。
他にも「酒田沖船凍イカのお刺身」や「長芋煮」「焼き物」などがあり、どれもため息が出るほどの美味。帰りにロビーによると、モーニングコーヒ or 紅茶もいただけるので、お庭を見ながら豊かな朝時間を過ごしてみてください。
「九兵衛旅館」には、四隅で可愛らしいうさぎが出迎えてくれる「山の湯」、迫力のある金魚の水槽がある「川の湯」、宿泊者が無料で利用できる「貸切風呂」があります。「山の湯」は、内湯と露天風呂があり、ゆっくり過ごすことができます。「川の湯」は内湯のみですが、金魚を愛でながら入浴する貴重な体験ができますよ。扉を開けると、大きな金魚の水槽が目に飛び込んでくるので、インパクト大です。
泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉。硫酸塩泉は美人の湯のひとつとして知られています。実際に浸かってみると、さらりとした柔らかな湯が肌によくなじみ、湯上りには体の芯までポカポカに。肌がしっとりすべすべになって、触れるととても気持ちがいいんです。
「九兵衛旅館」に宿泊すると、姉妹旅館の「ますや」「珠玉や」の温泉巡りもできるのが魅力。今はあまり見かけなくなりましたが、浴衣姿で温泉街をそぞろ歩きするのも風情があっていいですよね。「ますや」には飲泉もあるので、コップ一杯いただいて、体の中からゆっくり温めてみましょう。どの温泉も源泉かけ流しで、贅沢な気分になります。
「九兵衛旅館」がある湯田川温泉は、毎分約1,000リットルと豊富な湧出量を誇るのだとか。姉妹旅館は同じ源泉から湯を引いているので、基本的な湯質は同じですが、場所が変わると雰囲気が変わって上品な余韻を楽しめます。
今回は「月の館」にあるお部屋に宿泊させていただきました。メゾネットタイプで、プライベート温泉を楽しめます。時間を気にせず掛け流し温泉を楽しめる、特別なひととき。冷蔵庫には、ミックスジュースと桃ジュースのウェルカムドリンクも用意されていました。暑いので、こういう気遣いは嬉しいですよね。ひんやりと濃厚な味わいを、ゴクゴクと一気に飲み干してしまいました。
美味しいお料理も温泉もある、豊かな自然に囲まれた湯田川温泉。一度は訪れる価値がある温泉街だと思うので、身も心もお肌もリフレッシュしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。