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【メスティア】歴史的登山家と美しい教会

MAO

MAO

ジョージア特派員

更新日
2024年8月23日
公開日
2024年8月23日
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皆さんგამარჯობა(ガーマルジョバ:こんにちは)!
メスティアは山岳地域で、標高4,700mのウシュバ山や5,193mのシュハラ山などを擁する他、山を隔ててロシアの大自然であるこの地域は、昔から多くの登山家の憧れの地でした。
そのため、世界的に著名な登山家であるMikheil Khergianiもここメスティアの出身で、彼の功績を称えるミュージアムもあります。

今日はそのMikheil Khergiani House Museumやその周辺をご案内します♪

MikheilKhergianiって誰だろう

登山が大好きな方であれば、もしかすると一度聞いたことがあるかも知れないミハエル・ヘルギアニ(Mikheil Khergiani)という名前。“Tiger of the Cliffs”や“Tiger of the Rocks”という愛称でジョージア人やロシア人から親しまれているようです。

1932年にメスティアで生まれた彼は、父も従兄弟も登山家の家系で生まれ、ソ連時代の登山インストラクター学校に通うなど登山の英才教育を受けていました。生涯で7度のソ連登山チャンピオンになり、またイギリス、イタリア、フランス、ブルガリアの過酷な山々への登頂も果たし、ソ連共和国内外で有名な登山家になりました。またコーカサスやアルプスで彼が初登頂したルートは、その後登山愛好家に人気のルートになったりもしています。

しかしながら1969年に、イタリア北部の山Monte Civettaに登頂中、落石により彼の命綱が切れ、600m下まで落下し37歳という若さで亡くなってしまいました。

そんな彼の生家がミュージアムとなっており、入館して実際使用されていた彼の登山グッズなどを見る事ができます。

登山にあまり興味が無いよという方でも、ミュージアムとなっている彼の生家は典型的なスヴァネティ、メスティア地域の民家であり、その構造やどのように生活を当時していたのかなども垣間見れるので楽しめると思います。

また筆者にとっては、単純に化学繊維やプラスチックなども無い時代、今から80〜90年前の登山家がどのような装備で登山をしていたのかが知れ、現代人とは比較にならない屈強なパワーと忍耐力で登山をしていたのだと、展示品から感じて非常に勉強になりました(改めて軽くてとっても暖かい服を生み出してくれた現代技術に感謝です)

ミュージアムには、運が良ければ親族の方が案内人としていらっしゃる場合があり、その際は、親族の方々から直接お話しを聞きながら見学できます。

彼の生家
当時Mikhailkhergianiが実際に用いていた登山靴。靴底に藁をクッションとして沢山敷き詰めていた様である。
当時のアイゼンと登山靴の底
Mikhailkhergianiの寝室
彼の栄光の数々
Mikhailkhergianiの銅像

ミュージアムの裏に歴史ある教会

さてヘルギアニミュージアムを出ると、その裏手、徒歩でも行ける距離にLaghami Church(ლაღამის ეკლესია)という教会があります。教会に着いたら鍵がかかっていて、どなたもいらっしゃらない場合があります。その際は入り口の扉に貼っている持ち主の携帯に電話をして、来ていただく必要があります。

この教会は非常に小さな教会ですが、驚く事なかれ。中のフレスコ画がとっても綺麗で有名なのです。

2階建てのこの教会は、一階部分にある聖堂は簡素でありますが、岩を用いて9世紀頃に作られたものです。また一階の聖堂の天井は、石でアーチ状になっており高い技術で作られている事が分かります。

2階は13世紀〜14世紀にかけて増築されたものですが、非常に美しいフレスコ画を見る事ができます。
フレスコ画には、旧約聖書と新約聖書の様々な場面が描かれており、また多くの聖人も描かれています。教会上部のフレスコ画は、東ローマ帝国最後の王朝であるパレオロゴス朝時代(1262年~1453年)から保存されているビザンチン様式による重要な文化財でもあります。

筆者が訪れた際も、持ち主でもあり、ここの修道院長でもある方がご丁寧に案内をしてくださり、ジョージア語と所々英語を用いて説明してくださりとても分かりやすかったです。
筆者と一緒に行った友人は揃って、キリスト教を校風とする学校で長年学んでいた為、キリスト教史や宗教画に関する一般的な知識はあり、修道院長様に沢山質問していると、日本人でキリスト教に興味関心があるなんて!と喜んで詳しい貴重なお話も教えてくださいました。(”日本人は、敬虔な仏教徒というイメージが強いようです”)

またジョージア文字でもキリル文字でも無い、所謂宗教的なシンボルを表した象形文字が描かれており、宗教史や宗教画、建築が好きな人にとっては非常に楽しめる場所になります。

ご説明くださる修道院長様
シンボル文字
イエスの洗礼(Baptisma)のフレスコ
安息日後、油(香油)を届けるマリアのフレスコ
聖母マリアの死のフレスコ

小さな町なのに、芸術文化が溢れる町

ここまでのメスティア紹介でも既に感じる方はいらっしゃるかも知れませんが、比較的小さな山岳地域の町であるメスティアにはミュージアムなどの文化施設が沢山あり、ジョージアの他地域とは違う独特の文化芸術を大切に守り続けている事が分かります。

次の記事では、メスティアで1番有名なミュージアムについて紹介します♪

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