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ちょうど1か月前に、毎年9月にバレンシアで2つのパエリアコンテストが開かれることを書きました(こちら)が、9月20日に開かれたワールドパエリアデイカップ/World Paella Day Cupを会場内で見られる機会があったので、今日はそのお話です。
今年で5回めを迎えたこのコンテストは、2018年に9月20日が世界パエリアの日に制定されたことがきっかけに始まりました。外国人シェフがオリジナルレシピのパエリアで腕を競い合います。昨年はバレンシアの市役所広場で開かれましたが、今年の会場はヨットハーバーに近いマリーナ地区。知る人ぞ知るF1公道コースをつくるために整備された区画です。
会場には1次審査を通過した中国、イタリア、ペルー、アイルランド、コロンビア、プエルトリコ、フランス、ルーマニア、ブルガリア、メキシコ、アラブ首長国連邦、そして日本の12人のシェフが勢ぞろい。皆さん、やや緊張した面持ちです。前日に下準備の時間があったので、当日は1時間でパエリアを炊き上げなければいけません。材料は各国から持ってきたものやバレンシアで調達したものを使うのですが、お米はバレンシアの保護原産地呼称米、ボンバ、セニア、アルブフェラの3種のどれかひとつを使います。
低い柵で囲まれた会場内には関係者しか入れないものの、そのまわりから見学することができ、屋台も出ていたのでビールを片手に見ている人の姿も。特に目立ったのが、大声援を送っていた賑やかなコロンビア応援団と遠くから駆け付けた日本応援団です。コロンビア応援団はバレンシアに住んでいるそうですが、日本応援団ははるばる日本から来ていて、日本代表の檜尾信吾シェフがどれだけ愛される人柄なのかが伝わってきました。
まずはトーナメント形式の準決勝があり、審査の結果、決勝に進む6人が決まりました。
5人の審査員には、昨年の優勝者・京都のestilo hの畑下公平シェフの姿も。香りや味、オリジナリティ、お米の炊き加減、パエリアには欠かせないお焦げのでき、などが審査のポイントになるそうです。もうひとつの伝統的なバレンシア風パエリアのコンテストでコーディネーターを務めるパエリアマスターのヘスース・メレロ氏は「オリジナルと言っても、具材がパエリアにマッチしているか、全体でパエリアという料理にまとまっているかも見極めないといけない」と言っていました。
決勝に残ったのは中国、コロンビア、プエルトリコ、メキシコ、ルーマニア、日本。ここでまた1時間かけて準決勝とは異なるレシピのパエリアをつくります。
そしていよいよドキドキの結果発表。まずは第3位は日本!! 昨年の優勝には及びませんでしたが、3位入賞は素晴らしいことです。バレンシア風パエリアにも使う鶏肉とモロッコインゲンのほかに、日本らしい発酵キノコに柚子胡椒、照焼ソースを使ったパエリアでした。私も試食できたのですが、照り焼きソースの甘みがおいしく、これは外国人も好きな味だなと思いました。ちなみに、準決勝は、牡蠣、チョリソ、白ネギ、パプリカ、自家製牡蠣味噌、あおさ、すだち、そして山椒を使ったパエリアで通過しました。
続いて2位はコロンビア。キノコのほかに、バレンシアの清涼飲料オルチャ―タやココナツを使うというオリジナリティが評価されたのでしょうか。これは試食できず残念でした。
そして優勝はこちら。
プエルトリコです!! プエルトリコの大きな蟹(jueyes de boriken)やサザエに似た巻貝、カサゴなどの海の幸を使い魚介の出汁がよく出ていて、とても美味でした。
本場ゆえパエリアへのこだわりが強く、使う具材にもうるさいバレンシアでオリジナルパエリアを作るのは、なかなかハードルが高いと思います。道を外れない範囲でオリジナリティを出し、それをうまく作ることはさぞ難しいことでしょう。来年はどんなパエリアが登場するのか楽しみですね。
最後に、気になる方もいらっしゃるかと思いますので、3位に輝いた日本代表シェフのレストラン情報をお知らせします。