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【英国ウェールズ】アングルシー島のパワースポット、新石器時代の埋葬室「ブリン・ケスリ・ズィ」

June

June

イギリス特派員

更新日
2024年11月30日
公開日
2024年11月30日

数えきれないほどの遺跡や古城があるウェールズ。ガイドブックに載ってるような世界遺産の城もあれば、放置されて、ただの遺構や土塁になってるものなど、その年代や様式、使用された目的もさまざま。そして、現在、それらの多くを管理しているのが、ウェールズ政府の歴史的環境保全機関「カドゥ(Cadw)」です。ちなみにカドゥはウェールズ語で「キープ」、保護を意味します。今回は、そのカドゥが無料配布しているツーリング・マップの中から、新石器時代の埋葬室「ブリン・ケスリ・ズィ(Bryn Celli Ddu)」を紹介します。アングルシー島のパワースポットでもあるので、北ウェールズを訪れる際はぜひ、立ち寄ってみてください。

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ウェールズ政府機関「カドゥ」発行の無料ツーリング・マップ

ウェールズを訪れたら、まず、手に入れてほしいのが、このカドゥ発行の無料ツーリングマップ。ウェールズを北中部エリアと南西エリアに分けて、2部で構成されてます。もちろん、公用語であるウェールズ語と英語のバイリンガル仕様。しかも、両面カラー印刷で、写真もいくつか掲載してます。また、カドゥが管理・運営している古城や遺跡だけでなく、ナショナルトラストや他の観光施設の位置も記されてるので、ウェールズ旅行のプランニングに役立つうえ、旅の記念にもなります。観光案内所やホテル、郵便局や大型スーパーなどで手に入りますから、ぜひ探してみてください。

アングルシー島の人気観光スポット、先史時代の遺跡「ブリン・ケスリ・ズィ」

先史時代の遺跡が数多く残るウェールズ北部のアングルシー島。なかでも、1928年から1929年にかけて発掘された新石器時代の埋葬室「ブリン・ケスリ・ズィ(Bryn Celli Ddu)」は、無料で中にも入れることから、アングルシー島の人気観光スポットになってます。

無料駐車場から、ブリン・ケスリ・ズィまでは、のどかな田舎風景の中、フットパス(散策道)を歩きます。すると、牧草地の真ん中に、突如、芝で覆われた小さな塚が見えてくるはず…。

先史時代の遺跡「ブリン・ケスリ・ズィ」です。その名もウェールズ語で、“暗い木立の中の塚”。約5,000年前の人々が死者を埋葬した場所です。でも、これ、実は2つの遺跡で構成されていて、まずは新石器時代の初期に、ストーン・サークルとそれらを囲む“ヘンジ”と呼ばれる土手と溝が造られました。その後、そのストーンサークルが土の丘で覆われ、内部に埋葬室と出入り口になる長くて狭い石の通路が造られたのです。そして、それは太陽の向きに合わせた特別な通路墓でした。ブリン・ケスリ・ズィは夏至に太陽が昇ると、通路から光の柱がまっすぐに差し込み、埋葬室を照らすウェールズ版“ストーンヘンジ”だったのです。

では、その埋葬室に入ってみましょう!入口部分には屋根がなく、通路の途中に一対の門石が置かれてます。そこから、岩板と石で覆われた狭い通路を進むと…

高さ2mの石柱が自立する暗い埋葬室があります。ただ、これでも元々の埋葬室より明るくなったんだとか。実は、現在見られるブリン・ケスリ・ズィは、1928年の発掘調査中に墳墓自体の規模を縮小して再建されたもので、その際、埋葬室は完全に囲まず、後壁の一部を開放して、自然光が入り込むように改造したそうなんです。ただ、これにより、埋葬室で埋もれていた模様の石を外へ出すことに成功。古代遺跡に関する謎がひとつ解き明かされるきっかけにもなりました。そして、夏至を測定する目的もあったとされるブリン・ケスリ・ズィ。今でも、毎年、アングルシー島のドルイド(司祭)たちがここで夏至祭を行ってます。夜明けに上る太陽の光が通路を差し込み、内部の埋葬室と石柱を照らす光景はまるで、ここに不思議なパワーが宿る瞬間のようで、とても神秘的なんだそう。パワースポットと崇められる所以かもしれません。

次は外に出て、墳丘をまわり込み、埋葬室の後壁側へ。そこには曲がりくねった蛇紋様の模様が刻まれた「パターンストーン」のレプリカがあります。オリジナルは貴重な古代の遺物として、現在、カーディフの国立博物館に展示されてます。つまり、ここが元々の埋葬室の中心部とされる、先述の模様の石、パターンストーンが埋もれていた場所です。パターンストーンはレプリカのように直立していたと考えられています。でも、一体、どうやって??何のために??アングルシー島にはこうした“スタンディングストーン”と呼ばれる直立した巨石があちこちに点在してます。そして、その多くが謎めいてて…ウェールズに巨人や魔女の伝説が多いのも納得です。

以上、今回はアングルシー島のパワースポット、新石器時代の埋葬室「ブリン・ケスリ・ズィ」を紹介しました。石の文化を誇るケルト人の末裔とされるウェールズ人。ウェールズには、こうした不思議な石や「ドルメン」と呼ばれる支石墓が各地に残っていますが、中でも、アングルシー島は高い密度で分布しているので、北ウェールズを訪れた際はぜひ古代遺跡巡りをされてはいかがでしょうか。

 

■ブリン・ケスリ・ズィ(Bryn Celli Ddu Chambered Tomb)

住所:Llanddaniel Fab, Llanfair PG LL61 6EQ

URL:https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/bryn-celli-ddu-chambered-tomb

 

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