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【北海道】比布町「千島笹工芸館」でみつけた北海道の工芸品~日常使いの作品と驚きの手仕事

市之宮 直子

市之宮 直子

北海道特派員

更新日
2024年11月21日
公開日
2024年11月21日

北海道の北部、上川エリアにある比布町(ぴっぷちょう)。北海道ならではの工芸品が作られていると聞いて出かけました。北海道では工芸品といえば、アイヌ民族の手仕事、アットゥシやイタが有名ですが、さらに身近にある植物が、まさか工芸品になっているとは!と驚いた比布町産の工芸品と工房・ギャラリーなどがある「千島笹工芸館」をご紹介します。なお、現在は冬期休館に入ったので、来春の北海道旅の参考にしてください。

 

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一世を風靡?した北海道比布町(ぴっぷちょう)にある、「千島笹工芸館」

札幌から車で約2時間、旭川中心部から約40分のところにある道北の町、比布町(ぴっぷちょう)。
かつては家庭用磁気治療器のCMで一躍知られるようになった町です。

「千島笹工芸館」は、そのCMの撮影がおこなわれたJR比布駅から歩いて1分!
駅前にある「千島笹工芸館」の矢印へ向かうと、駅の隣りの敷地にある「千島笹工芸館」があります。
「北の竹工房」ブランドとして工芸館で作っている千島笹の工芸品は、比布町のふるさと納税返礼品でもあり、また館内はギャラリーや資料館になっています。

「千島笹(チシマザサ)」は、北海道ではよく見られる植物で、大型の笹。

「根曲がり竹(ネマガリダケ)」としても知られている笹です。
そして、実は毎春、北海道民が”タケノコ“と舌鼓を打っている若く細い山菜が成長したものが「千島笹」だということをこれまで全く意識していませんでした。
この日、竹工芸家で館長の近藤幸男さんのお話を聞いて、何十年も千島笹の美味しさに舌鼓を打ってきたことを初めて気づきました。

おかげで、千島笹に断然親近感がわいてきました。

6か月以上燻った千島笹/Smoked sasa as a material for crafts

「千島笹工芸館」は、北海道出身で京都で竹工芸品を作ってきた竹工芸家の近藤幸男さんが2023年にオープン。
北海道の山に多く自生している千島笹に気づき、北海道に戻ってこれを使って工芸品を作り始めました。

現在、北海道では千島笹の工芸品を作っている人は少なく、材料としての千島笹はお店で販売していないそうです。
このため、千島笹の工芸品を作るには、山から千島笹を切り出すことから始めます。

毎年、9月から雪が降り始める11月中旬頃まで千島笹を山から切り出し、その千島笹を乾燥したり、半年~1年以上もの間燻製にかけたりし、ようやく原材料のヒゴを作るそうです。

北海道比布町産「千島笹」の工芸品

千島笹工芸館のギャラリー/Chishimazasa Kogeikan Gallery

「千島笹工芸館」のギャラリーでは、千島笹で作った作品を手に取りながら見ることができます。

竹の工芸品といえば、籠や丸盆ざるなどを思い浮かべますが、千島笹で作った籠などの工芸品もまた味わい深く、ギャラリーには特に千島笹の燻し具合により風合いが異なるさまざまな作品が並んでいます。

その千島笹の特徴は、別名“根曲がり竹”といわれるように、根本が曲がっていることに加え”節”が多いそう。

このため、作品によっては節の部分が作品に多いと、繊細な作品を作りにくいなど、本州の真竹や孟宗竹などで作る場合とは異なる難しさがあるそうです。

また、千島笹は成長しても太さは最大2~3cmほど。
1本の千島笹から作ることができる”ひご”は、数本程度だそう。

その千島笹を山に取りに行ったり、それを作品を作る竹ひごに加工したり、さらに節を意識しながら、活かしたり避けたりして作品を作り、ようやくひとつの作品が完成します。

できあがるまで、すべての工程をひとりでおこなうことや、ひとつひとつの作業に想像以上の手間がかかっていることに驚きました。

編み方見本/Weaving sample of Chishimazasa

ひと言で竹の工芸品といっても、編み方のパターンにはとても種類があり、館内には30種類もの編み方の見本がありました。

工芸館にある編み方の見本がとてもきれいで、見本だけでも一見の価値がある!と思ったほど。

美しい手仕事~「北の竹工房」

日常的に使いたい千島笹製品は、日用品ながらさまざまなアイテムのバリエーションがあるうえ、より細い竹ひごを使った真竹のアート作品まで展示してあります。(北の竹工房ブランドで販売も行っています。)

日常使いとしてより高い頻度で楽しめそうな作品は、籠花入れや掛け花入れです。
千島笹工芸館のエントランスでは、可憐な野花が入った籠花入れが出迎えてくれました。

燻煙千島笹の色がとてもステキです。

「千島笹の盛籠」/Basckets of Chishimazasa

こちらは、いろいろな編み方で作った「千島笹の盛籠」。
奥には花籠も。

こちらは掛け花入れやバッグ、そして中央下側に移っているのは「茶籠」です。

ハンディタイプの茶せんなどを入れ、野外でお茶を点てて楽しむポータブルな茶籠は、網目のデザインも細かく美しい!

このほか、日常使いで人気があるという作品には「千島笹コーヒードリッパー」がありました。

円錐型のペーパーフィルターを使うスタイルです。
コーヒー好きの方がこだわりのコーヒーを淹れたい、と購入されるそうです。
茶こしもありました。

もうひとつ、馴染みがある作品は「千島笹弁当籠」。
通気性がよく、竹同様に天然の抗菌力があるのでお弁当用に向いているそう。

素材が軽いので、アルミホイルなどと併用し、おにぎりやサンドイッチを入れると中身の型崩れを防ぐこともできるので、使い勝手がよさそうです。

最後に壁掛けアートとして飾ってあったこちらの作品。
節がない長めのひご部分を使いたい場合は、真竹を使うそう。
作品全般、部分的にそれぞれの特性を生かして千島笹のほかに真竹やラタンを取り入れるそうです。

千島笹や真竹などの美しさに初めてじっくりと触れ、魅了されたひとときでした。

「千島笹工芸館」は、11月12日より冬期休業に入っており、開館は、4月中旬の予定です。
夏期の開館時には、「千島笹工芸館」で千島笹の作品を作るワークショップを開催することもあります。

春以降、道北を旅する際は、ぜひ北海道比布町の「千島笹工芸館」に立ち寄ってみてください。
なお、開館日やワークショップの日程などの詳細は、「千島笹工芸館」のインスタグラムをご確認ください。

■千島笹工芸館(北の竹工房)
住所:北海道上川郡比布町西町3-7-1
TEL:080-6078-3251
開館日:土・日・月
開館時間:13:00~16:00
アクセス:JR比布駅より徒歩1分
旭川中心部より車で約30分
旭川空港より車で約35分
URL:https://kitanotakekobo.com/
Instagram:https://www.instagram.com/chishimazasakogeikan/

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