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【スペイン】バレンシアの大洪水後の交通事情

田川 敬子

田川 敬子

スペイン特派員

更新日
2024年11月27日
公開日
2024年11月27日
©VisitValencia

日本でも報道された通り、10月29日にバレンシア市郊外で豪雨による大規模な洪水が発生し、多くの自治体が水浸しになる未曽有の災害がありました。なんと200名以上の人が亡くなり、今も行方不明者の捜索が行われています。私の住む町は被害がなかったものの、近隣の多くの町が変わり果てた様相となりとてもショックでした。バレンシア市近郊の鉄道網も大きなダメージを受け、ほぼ1か月経つ今でもまだ復旧作業が続いてます。今日は、現在の公共交通機関の運行状況についてお話します。

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<洪水から約10日後、高速道路脇には洪水で流されてきた泥だらけの車が積みあげられていました。青空との対比が切ない・・・。合計11万5000台が廃車になったと聞きました>

市バス(EMT Valencia)の状況

バレンシア市内には被害がなかったため、市内はどこもこれまでと変わりがありません。市バス(EMT Valencia)は通常通りの運行です。

メトロ(Metro Valencia)の状況

バレンシアのメトロは、通常バレンシア市内中心部では地下を走り、それ以外の地域では電車やトラムとして地上で運行しています。

空港の真下にある駅から市内へは地下鉄が通っていたのですが、現在はサービス休止中です。その代わりに空港からバレンシア市内のスペイン広場にバスが出ています。

 

今日11月27日現在でのメトロの運行状況はこちらのサイトにある地図をご覧ください。
https://www.metrovalencia.es/wp-content/uploads/2024/11/Plan-mobilitat-FASE1-TRAMVIA-V25.pdf

【運行中】
4号線: Mas del Rosari/Lloma Llarga Terramelar/Fira València-Dr. Lluch
6号線: Tossal del Rei-Marítim
8号線: Neptú-Marítim
10号線: Alacant-Natzaret

【運休中】
1号線: Bétera-Castelló
2号線: Llíria-TorrentAvinguda
3号線: Rafelbunyol-Aeropuerto
5号線: Marítim-Aeropuerto
7号線: Marítim-Torrent Avinguda
9号線: Alboraia Peria Aragó-Riba-roja de Túria

 

バレンシア市より北は被害がなかったのですが、被害のあった地域を通る路線は運休中となっています。

運休中の路線は振り替え輸送バスが通っていますので、必要な方はそちらをご利用ください。

詳しくはメトロ(Metro Valencia)のサイトをご覧ください。

地下鉄の全面復旧には数か月かかると言われており、被害のすさまじさを感じます。

 

鉄道(Renfe)の状況

鉄道はというと、バレンシアとバルセロナ、マドリードを結ぶ高速鉄道(Renfe、Iryo、Ouigo)も現在では問題なく動いています。但し、アリカンテ線は途中の線路が復旧工事中のため運休中です。バレンシア―アリカンテの移動はバス(ALSA)をご利用ください。

 

バレンシア県内の鉄道の今日現在の運行状況はこちらのサイトをご覧ください。

https://www.renfe.com/es/es/grupo-renfe/comunicacion/renfe-al-dia/avisos/horarios-servicio-cercanias-a-partir-15-noviembre

 

近郊線も現在は5路線中3路線で復旧作業が続いています。

 

【運行中】
C5: Valéncia Estació del Nord-Caudiel
C6: Valéncia Estació del Nord-Castelló

【一部運行中】
C1: Valéncia Estació del Nord-Gandía(Silla-Gandía間のみ運行)
C2: Valéncia Estació del Nord-Xàtiva/Moixent(Alzira-Xàtiva/Moixent間のみ運行)

【運休中】
C3: Valéncia Estació del Nord-Utiel

 

運休中の区間には振り替え輸送バスが通っていますので、時刻表やバスのルートは上記のサイトからご確認ください。C1とC2はクリスマス前には全面復旧する予定だそうです。

 

いつもC2を利用している私は、現在電車と振り替え輸送バスを使ってバレンシア市内に出るのにいつもより30分ほど余計に時間がかかってしまいます。運行本数も減りました。でも、洪水があった日から2週間は振り替え輸送もなく不便だったので、“足がある”だけで文句は言えません。むしろありがたい気持ちでいっぱいです。

 

実はあの日、洪水が起こった頃、私はバレンシア市内北駅からC2の電車に乗って自宅のある郊外の町に帰る途中でした。各駅停車なのになぜか途中で「通過します」とアナウンスが入り停まらなかった駅がひとつふたつあり不思議に思っていたのですが、帰宅後テレビのニュースを見て沿線が大変なことになっていることを知り驚きました。おそらく通過した駅とその周辺は既に水が溢れていたのでしょう。後日、途中駅のホームと改札を結ぶ地下通路が天井までいっぱいに水に浸かった写真を見てゾッとしました。もしあと1時間遅い電車に乗っていたら途中で降ろされ、その町で帰宅難民に開放された劇場で一晩明かすことになっていました。

雨が降らないからなのか、雨に弱い町

降雨量の少ないバレンシアですが、まとまった雨が降ると道路が浸水しやすく、時に普段はほとんど水が流れていない川が溢れることもあり「水に弱い」という印象を持っていました。雨が少ないから対策を怠っているのでしょうか。

 

実は1957年10月にバレンシア市内を流れていたトゥリア川が氾濫し、中心部が最大2mの高さまで水が溢れたことがあるのです(当時の死者は80人余り)。この川は過去に何度も氾濫していたそうで、その後市外に水路を建設。1972年からそこに水を流しています。そして、水がなくなった川床が現在の市民の憩いの場、全長8.5㎞のトゥリア庭園に変身したのです。このように過去に何度も洪水で痛い目に遭っているバレンシアなので、今後州政府はどんな対策をとっていくのか注目したいところです。

©︎VisitValencia <市内を横切るトゥリア庭園には、もともとトゥリア川が流れていました>

ここに書いた交通情報は本日11月27日時点のものです。全面復旧までには変更があるはずなので、ご利用の際は文中にあるMetro ValenciaやRenfeのサイトで確認をお願いいたします。

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