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今日は大晦日ですね。日本で大晦日の食べ物と言えば年越しそばですが、スペインでは白ブドウ。年が明ける夜中の12時の鐘に合わせて12粒のブドウを食べると、幸運な新年になると言われているのです。近くに鐘がなくても大丈夫。テレビでスペイン中に生中継が入るので問題ありません。今回はこんなスペインの国民的行事をご紹介します。
スペインのクリスマスは12月24日のイブから1月6日の公現祭まで2週間続くので、そのちょうど真ん中で年が変わります。
クリスマスは基本的に家族と過ごしますが、大晦日の夜は仲のいい友達と過ごす人も多く、家から出て明け方まで続くカウントダウンディナーパーティーに行ったり、朝までクラブで飲んだり踊ったりすることも。日本人としては厳かに迎えたい新年なのですが、スペイン人はヒャッホー!!とお祭り騒ぎで年明けを楽しむだけ。夜が明ければ単なる休日でしかなく、私たち在住日本人にとってはなんとも物足りません。
お正月がキリスト教国では大切なクリスマスの途中にあるので、存在感が薄いのは仕方ないですね。元日は国の祝日、学校も6日まではお休みですが、2日からはお役所や銀行、商店も営業します(※中には連休にする企業もあります)。大晦日から年始は、私にとって1年でもっとも日本が恋しくなる季節です。
そんな中、唯一の伝統行事といえるのが新年の幸運を願う12粒のブドウを食べることです。
12粒のブドウは、元日の午前0時(夜中の12時)に12回鳴る鐘の音に合わせて食べるというルールがあります。約30秒で12粒を食べるスピードは意外と速くブドウの皮や種が邪魔になるため、私は直前になると皮を剥き、種がある場合はそれをとって待機します。
この時、マドリードの中心にあるソル広場には大勢の人がカウントダウンに集まっています。広場にはマドリード州庁舎の時計塔があり、ここの鐘が12回鳴るシーンは全国に生中継されます。これがスペイン版ゆく年くる年的番組なのですが、いつもセクシーな衣装を着たプレゼンターの女性が出演し、厳かさはゼロ。その代わりにフィエスタ感は100%!
自分の住む地域でカウントダウンをする広場に行く人もいますが、多くの人は家の中でこの中継を見ながらブドウを食べるのです。食べ終わったら、フェリス・アーニョ!!(新年おめでとう)とスパークリングワインで乾杯!! そして両頬にキスしたりハグしたりして年が明けたことを祝います。ちなみにソル広場は混み合うだけでなく、割れたボトルやグラスが落ちていることもあるそうなので、行く方はお気を付けくださいね(スリにも!!)。
この習慣は19世紀末には既に存在していたといわれています。ただ、1909年にアリカンテ地方のブドウが豊作で大量にあったことから、それを売りさばくためにこれを流行らせたことがきっかけで現在至るとのこと。理由は何であれ、今ではスペイン中に広く普及した大晦日の習慣になりました。
ところで12粒のブドウのような国民的行事とまではいきませんが、もうひとつ年越しの習慣があります。それは、男女問わず赤い下着をつけて新年を迎えることなんです。実はこちらの方が12粒のブドウより古い歴史があります。中世、赤は不吉な色として教会から着用を禁じられていました。その後赤が幸運を呼ぶ色になっても着用は許されず、それならばと密かに赤い下着を着たのがはじまりなんだとか。面白いですね。
そのため12月の下着屋さんのウィンドーには赤いブラジャーやパンティ、ブリーフをつけたマネキンが飾られ、クリスマスの装飾とともにこの時期の風物詩になってます。
いかがでしたか? 12粒のブドウは日本でも手に入るので、年が明ける12時に12回の鐘さえ聴くことができれば採り入れられますね。赤い下着ならより簡単! それでは皆さま、良いお年をお迎えくださいませ。Feliz Año!!