キーワードで検索
スペインでチュロスといえば、朝食やおやつに、お祭りの屋台で、地域によっては夜中に飲みに行った帰りに食べる国民食。小さな子どもからお年寄りにまで愛されています。日本にもチュロスはありますが、シナモン味などフレーバーがあったりとスペインのものとはちょっと違うスイーツです。今回は本場スペインのチュロスのお話です。
チュロスといえば若かりし頃に東京ディズニーランドで食べたシナモン味のお菓子だと思っていたので、はじめてスペインで食べた時に思ったのは「甘くない」ということ。その見た目からも中華粥と一緒に食べる揚げパンを思い出しました。
そう、スペインのチュロスは甘くないんです。シナモンとかハニーとかそんなフレーバーもありません。揚げたてのチュロスに自分で砂糖をかけたり、ホッとチョコレートに浸して甘くして食べるのです。ちょっと意外ですよね。
ギザギザが入っていて細長い棒状かくるっと雫型に丸めてあるものはチュロス、中華揚げパンに似たものはポラスと2タイプに分かれていますが、一般にはまとめてチュロスと呼ばれています。どちらが好みかは人それぞれで、私はまわりがカリッとしたチュロスの方が好きです。
“チュロスはスペインの朝ご飯”と書かれた日本の記事を何度か目にしたことがありますが、定番の朝ご飯というわけではなく、朝に食べることもあるよという程度のものです。1週間に何度も朝ご飯チュロスを食べるという人はまずいないことでしょう。外で誰かと一緒で時間がある時や、のんびりした休日の朝に食べる感じでしょうか。私の町では、日曜日の午前中だけチュロスを出すパン屋さんがあります。もしかしたら私が知らないだけで、もっと頻繁にチュロスを食べる地域があるのかもしれませんが・・・
朝ご飯以外だと夕方のおやつでしょうか。マドリードでは夜遊びした帰りに明け方のチュロスを食べると聞いたことがあります。確かに、マドリード中心部にあるチュロスの老舗『サン・ヒネス』の営業時間を見るとそれが頷けます。なんせ24時間営業なのですから。
私が住むバレンシアでは火祭りの時期になると町のあちこちにチュロスの屋台が出ます。3月の夜はまだ寒いことが多いので、温かいホットチョコレートと一緒に食べるチュロスは格別です。
このホットチョコレートはココアとは違いドロリと濃厚。中には飲むというよりもスプーンですくって食べる濃さのものも。寒い時は、単なる液体状のホットドリンクよりもこの濃厚さが体を温めてくれます。スペインではスーパーでもチュロス用のホットチョコレートの粉末やバーが売っているので、お土産に買って行くのもいいですね。
このチュロスの起源は明らかになっていませんが、15世紀にはすでにイベリア半島で食されていたそうです。スペインにお越しの際は、ぜひ本場のチュロスをお試しくださいね。1人前で量が多いことが多々あるので、揚げ物もいっぱい食べられまーすという人以外は2、3人でシェアすることをオススメします。