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【英国】1月25日はウェールズのバレンタインデー「聖ドウィンウェンデー」

June

June

イギリス特派員

更新日
2025年1月21日
公開日
2025年1月25日

ウェールズには2月14日の本家バレンタインデーの前にもうひとつ、恋人たちの日があるんです。それが、1月25日の聖ドウィンウェンデー(St. Dwynwen’s Day)。恋愛の守護聖人ドゥィンウェン(Santes Dwynwen)を偲んで、愛する人に贈り物をするロマンチックな日です。ただ祝日ではないため、イギリス国内でも知る人ぞ知る?マイナーなイベント。そして、聖ドウィンウェンに関しては、悲恋話の主人公なんです。例えるなら、ウェールズのロミオとジュリエットみたいな??悲劇的なラブストーリーだからこそ、ウェールズの人々は感動し、語り継いできたのかもしれません。今回はそんなウェールズ版バレンタインデー「聖ドウィンウェンデー」について紹介します。

 

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恋人たちの守護聖人ドウィンウェン

ドウィンウェンは4世紀に南ウェールズのバナイ・ブライヘイニオッグ(ブレコン・ビーコンズ)周辺を支配していたブライハン王の娘でした。24人の王女たちの中で一番美しく、一番聡明だったとか。

隣国の王子マエロンと恋に落ち、将来を誓うも、父であるブライハン王によって、別の王子と婚約させられてしまいます。マエロンと結ばれないことに傷ついたドウィンウェンはある晩、森へ逃げ込み、「彼と一緒になれないのであれば、いっそ彼のことを忘れさせてほしい」と神に祈りながら、眠り込んでしまいました。

すると天使が夢の中に現れ、「もうマエロンに煩わされることはありません。神が彼を凍らせてしまったから」と彼女に告げました。そして、「神はさらに3つ、あなたの望みを叶えてくれるでしょう」そう言って、天使は消えたのです。

目覚めたドウィンウェンは驚きながらも、迷うことなく、最初に「凍ったマエロンを生き返らせること」を望みます。続けて「心から愛し合う恋人たちを守ること」「望まない結婚はせずにすむこと」を願いました。

その後、ドウィンウェンは願いを叶えてくれた神に感謝し、修道女となって、恋人たちのために祈りながら旅をしました。彼女が恋人たちの聖人とされる由来です。

恋人たちの聖地アングルシー島の「聖ドウェンウィン教会」

さて、恋人たちのために祈りながら旅をした修道女ドウィンウェン。最後にたどり着いたのは北ウェールズのアングルシー島でした。そして、西海岸沖にある潮汐(ちょうせき)の島に小さな教会を建て、生涯独身のまま神に仕えました。

それが現在のスランズウィン島(Ynys Llanddwyn)。今も廃墟となった聖ドウィンウェン教会の遺跡があり、恋人たちの聖地にもなってます。

ちなみにこのスランズウィン島周辺はニューボロー国立自然保護区になっている他、ブルーフラッグ認定ビーチやアングルシー・コースタル・パス(遊歩道)もある人気の観光スポット。最寄りの駐車場からは1.5㎞ほど歩くことになりますが、訪れる価値は十分あります。ただし、潮が満ちると戻れなくなってしまうので、注意が必要です。遊歩道入口にその日の満潮時間が明記されてるので必ず確認してください。

聖ドウェンウィンデーにおすすめのロマンチックな贈り物「ラブスプーン」

聖ドウィンウェンデーにはカードや花を贈るのが一般的ですが、ロマンチックな贈り物にこだわるなら、やはり、ラブスプーン(Lovespoon)でしょう。いまやウェールズのお土産としても人気の伝統工芸品です。

起源は17世紀以前ともされるラブスプーン。ある若者が愛する女性への想いを込めて、装飾的な木製のスプーンを彫り、それを手にプロポーズしたのが始まりだとか。スプーンには「あなたを一生飢えさせません(養います)」の意味も込められていました。そして、プロポーズは見事成功!以来、ラブスプーンにはハート(愛してます)、ベルや十字架(結婚)、珠(子供の数)、蹄鉄(幸福)、鍵(家)など、さまざまなデザインが施されるようになりました。愛を告白するのが恥ずかしいシャイなウェールズ人にはもってこいの伝達手段だったのかもしれませんね。

ディズ・サンテス・ドウィンウェン・ハプス!! Dydd Santes Dwynwen Hapus!!

ハッピー・セント・ドウィンウェンデー!!

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